シニアの冬の健康管理|60代・高齢者の寒さ対策と元気に過ごすコツ

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まちFit
スタジオ運営責任者
東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
「冬になると朝がつらい」「寒くて外に出るのがおっくう」「暖房は節約したいけれど、体のことも心配」――60代を過ぎると、冬の過ごし方が体調に影響しやすくなります。冬は、寒い部屋と暖かい部屋の温度差、暖房器具の使い方、乾燥と感染症、動く量の減少、雪や凍結による転倒など、気をつけたいことがいくつも重なる季節です。
この記事では、60代・高齢者のご本人と、離れて暮らす親御さんが気になるご家族に向けて、冬の健康管理のポイントと寒さ対策を、消費者庁、国土交通省、厚生労働省、製品評価技術基盤機構(NITE)、東京消防庁、長寿科学振興財団(健康長寿ネット)などの情報をもとに、まちFit編集部監修のもとで整理しました。最初に「すぐに救急車を呼ぶべきサイン」を確認し、そのあとで毎日の工夫を順に紹介します。
先に確認|冬にすぐ救急車を呼びたいサイン
冬の健康管理の工夫を読む前に、命にかかわるサインを確認しておきましょう。次のような様子があれば、セルフケアより先に119番で救急車を呼んでください。
急な頭痛・顔のゆがみ・息苦しさなど
厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」は、高齢者で「すぐに救急車を呼びましょう!」という症状として、次のようなものを挙げています(一部を抜粋)。
- 突然の激しい頭痛
- 急にふらつき、立っていられない
- 顔半分が動きにくい、しびれる
- 笑うと口や顔の片方がゆがむ
- ろれつがまわりにくい
- 突然の激痛
- 急な息切れ、呼吸困難
- 突然、片方の腕や足に力が入らなくなる
寒い季節は血圧が上がりやすい場面が増えます(理由は次の章で解説します)。血圧の目安や家庭での測り方は、次の記事にまとめています。

ふるえ・ぼんやりする様子は「低体温症」のサインのことも
低体温症は、体の深いところの温度(深部体温)が35℃以下まで下がった状態です。健康長寿ネットは、低体温になると激しい震えや意識障害、錯乱などが現れ、最終的には呼吸と心臓が止まってしまうと説明しています。
雪山の話と思われがちですが、MSDマニュアル家庭版は「非常に高齢の人では、寒い部屋で何時間もじっと座っていると、屋内で低体温症になることがあります。」としています。また「これらの症状は極めてゆっくり現れるため、本人も周囲の人も、何が起こっているのかなかなか気がつきません。」とも書いています。最初は体が激しくふるえ、進むと動きが鈍くなり、意識がもうろうとしてきます。ふるえが止まって動きが鈍くなってきたら、むしろ危険なサインです。
同マニュアルは、意識のない状態で見つかった場合は、可能であれば濡れた衣類をそっと脱がせて乾いた温かい毛布でくるみ、救急車を呼んで暖かい場所で待つよう案内しています。重い低体温症の人を急に揺さぶると危険な不整脈を起こすおそれがあるため、そっと扱います。
入浴中にぼんやりする・浴槽で動けない
冬は入浴中の事故が増えます。消費者庁は、浴槽内で意識がもうろうとしたら「気を失う前に湯を抜きましょう」と呼びかけ、同居者にはこまめに声をかけて様子を確かめるよう勧めています。入浴の前後に気をつけたいことは、この記事の後半と、次のヒートショックの記事でくわしく解説しています。

お餅などをのどに詰まらせた
消費者庁は、高齢者の餅による窒息死亡事故の半数近くが1月に起きていて、なかでも正月三が日に多いとしています。食べ物を口に入れたあとに苦しそうにしている、顔色が悪い、声が出せない、のどをつかむしぐさ(チョークサイン)が見られたら窒息が疑われ、詰まったものをすぐに取り除く必要があります。周りの人は119番に通報し、通信指令員の指示にしたがって応急手当てを行ってください。
なぜ冬はシニアの体に負担がかかりやすいのか
冬の健康管理を考える前に、まず「なぜ冬が体にこたえるのか」を知っておくと、寒さ対策のねらいがはっきりします。
冬は高齢者の「入浴中の事故」と「窒息」が増える季節
消費者庁によると、令和5年に不慮の事故で亡くなった65歳以上の方は39,016人で、そのうち「不慮の溺死及び溺水」が8,270人、「不慮の窒息」が7,779人でした。交通事故で亡くなった方(2,116人)を大きく上回っています。どちらも12月・1月の冬場に多くなる傾向があり、溺死・溺水のうち浴槽での事故は6,541人(家や居住施設の浴槽で6,073人)と約8割を占めています。
消費者庁は、冬に入浴中の事故が増える理由として「温かい室内と寒い脱衣所や浴室との寒暖差などによる急激な血圧の変動や、熱い湯に長くつかることによる体温上昇での意識障害」を挙げています。
寒い家に住む人ほど血圧が高くなりやすい
国土交通省が支援する、住宅の断熱と健康の関係を調べた全国調査では、改修前後の健康調査の結果から、次のような「得られつつある知見」が報告されています。
- 起床時の室温の低下による血圧上昇への影響は、高齢になるほど大きい(第2回中間報告)
- 室温の低い家に住む人ほど、起床時の血圧が高血圧となる確率が高い(第2回中間報告)
- 室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧の季節差が顕著に小さい(第3回中間報告)
- 居住者の血圧は、部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で有意に高い(第3回中間報告)
つまり冬は、外の寒さだけでなく「家の中の寒さ」と「部屋どうしの温度差」が血圧に関わっていると考えられます。冬の健康管理で家の中の温度から見直すのは、このためです。
年齢とともに寒さに適応しにくくなる
MSDマニュアル家庭版は「加齢により、寒さに適応する能力が損なわれます。」とし、その理由として、ふるえによって熱をつくる力が減ること、体の表面の血液を中心へ効率よく戻せなくなること、皮下脂肪が減って熱が逃げやすくなることを挙げています。心臓や血管の病気、甲状腺機能低下症、脳卒中や関節炎などであまり動けない場合や、アルコールや一部の薬も、低体温のリスクを高めるとしています。
なお、手足が冷えてつらい「冷え性」と、体の深部の温度が下がる「低体温」は別のものです。冷え性の原因と対策は、次の記事でくわしく紹介しています。

のどが渇きにくく、水分が足りなくなりやすい
健康長寿ネット「脱水症」は、高齢者について「口渇中枢の感受性低下によりのどが渇きにくくなり、水分補給が減少します。」と説明しています。夜中のトイレを気にして水分を控えることも、水分不足の原因になるとしています。また「入浴中や就寝中は想像以上に発汗しますので、入浴前後や就寝前、起床時などにも水分補給を勧めて下さい。」とも書いています。寒くてのどが渇いた感じがしない季節でも、水分をとる習慣は欠かせません。
冬の健康管理①|家の中の寒さと温度差を減らす
ここからは、60代・シニアの方が冬を元気に過ごすための寒さ対策のコツを、6つに分けて紹介します。最初は、いちばんの土台になる「家の中の温度」です。
居間と寝室を暖かく、温度計で「見える化」する
MSDマニュアル家庭版は、高齢者の低体温症の予防として「高齢者は、暖房費を節約するために室温を低めに設定することがありますが、室温は20℃以上に設定すべきです。特に、寝室を暖かくしておくことが重要です。」としています(米国の医学書の日本語版で、住まいや暖房の事情は日本と異なる点もあります)。消費者庁も、部屋どうしの温度差について温度計を活用し、温度の「見える化」をするよう勧めています。
- 居間・寝室・脱衣所など、よく使う場所に温度計を置き、温度差を目で確かめる
- 朝起きる前や入浴前に、寝室・廊下・脱衣所などを暖めておく
- 暖房費が気になっても、寝室や長くいる部屋は冷やしすぎない
- 寒い部屋で長い時間じっと座り続けない
服は重ね着で調節し、首・手足・頭を冷やさない
MSDマニュアル家庭版は、衣類を重ね着すること、頭からも熱が多く奪われるため帽子をかぶること、手や足の指も守ることを勧めています。健康長寿ネットも、冷え性対策として「頭寒足熱」のとおり上半身より下半身に1枚多く着ること、冬はマフラーなどで首を冷やさないこと、体をしめつけるものは避けて重ね着でこまめに調節することを挙げています。
健康長寿ネットは、冷暖房で室内と外の温度差が10℃以上になることも多く、自律神経のバランスが崩れて「冷え」を感じる方も多いとしています。外出のときは、玄関で上着を一枚足すなど、急に寒い場所へ出ない工夫も役立ちます。
入浴の前後は温度差をとくに小さく
消費者庁は、冬場の入浴中の事故を防ぐポイントとして、次のことを挙げています。
- 温度差を減らすため、前もって脱衣所や浴室を暖めておきましょう
- 脱水症状等を防ぐため、入浴前に水分補給しましょう(入浴中でも喉が渇いたらこまめに)
- 食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう
- 湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう
- 浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう
- 同居者がいる場合、入浴前に同居者に一声掛け、入浴中であることを認識してもらいましょう
冬の健康管理②|暖房器具は「低温やけど」に注意する
寒さ対策に欠かせない暖房器具ですが、使い方によってはやけどの原因になります。NITE(製品評価技術基盤機構)は、温かいと感じる程度の温度でも、長い時間同じところの皮膚に触れていると「低温やけど」になるとして、「44℃では3~4時間、46℃では30分~1時間、50℃では2~3分で「低温やけど」になると言われています」と説明しています。熱源に触れた部分が圧迫されていると、より短い時間でやけどになります。
さらにNITEは「特に高齢者の場合、若年者に比べて感覚が鈍く、熱源に接する時間が長くなるため、重症化する傾向があります。」としています。低温やけどは皮膚の深いところまで及ぶことがあるため、見た目が軽くても注意が必要です。NITEが挙げる、足元を温める製品の注意点は次のとおりです。
- 電気あんか:就寝前に布団を温め、就寝時はスイッチを切るか、身体に触れない距離まで十分に離す(タオルやカバーで包んでも低温やけどのおそれがあります)
- カイロ:直接肌にあてない/就寝時には使わない/同じ部位にあたる状態で長時間使わない/ベルトやサポーターなどで圧迫しない/こたつの中や暖房器具の近くで使わない
- 電気マット:布団の中に入れて、就寝用の暖房器具として使わない/折り曲げたり、しわの寄った状態で使わない
また厚生労働省は、暖房器具の種類や置き場所を決めるときは、カーテンなど燃えやすいものから距離をあけるなど、火災の予防にも気をつけるよう呼びかけています。
冬の健康管理③|乾燥と感染症を防ぐ
冬はインフルエンザなどの呼吸器の感染症がはやる季節です。健康長寿ネットは「高齢者では、インフルエンザになると肺炎を合併する率が高いため注意が必要です。」とし、高熱や体のだるさが数日続くことで食欲が落ちて栄養状態が悪くなったり、歩けていた人が寝たきりになったりすることがあるとしています。
国が勧める6つの予防策
厚生労働省「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」は、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの急性呼吸器感染症の予防として、次の方法を挙げています。
- 外出後の手洗い等(流水・石鹸による手洗い)
- 適度な湿度の保持(加湿器などを使って適切な湿度50~60%を保つ)
- 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
- 人混みや繁華街への外出を控える(流行してきたら、特に高齢者や基礎疾患のある方は)
- 室内ではこまめに換気をする
- ワクチン接種
湿度については「空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、急性呼吸器感染症にかかりやすくなります。」と説明しています。乾燥は肌のかゆみの原因にもなります。冬の肌の乾燥とかゆみのケアは、次の記事にまとめています。

寒い日の換気は「暖房をつけたまま少しだけ」
冬は換気をすると部屋が冷えてしまうのが悩みどころです。同じQ&Aは「暖房器具を使用しながら、換気を行ってください。」としたうえで、「短時間に窓を全開にするよりも、一方向の窓を少しだけ開けて常時換気を確保する方が、室温変化を抑えられます。」と説明しています。24時間換気の設備や台所・洗面所の換気扇を回し続けることでも、室温を大きく変えずに最小限の換気ができるとしています。換気のために家の中の温度差を広げてしまわないよう、暖房とセットで考えましょう。
予防接種は早めに、かかりつけ医や自治体に確認を
健康長寿ネットは、インフルエンザの予防接種は感染しても重症化しないことが目的であり、発症の予防にはマスク・うがい・手洗いもあわせて行うよう勧めています。また、ワクチンの効果が出るまで2週間ほどかかることから「12月前半までにはワクチン接種を済ませておく方がよいでしょう」とし、「65歳以上の方は、自治体による接種費用の一部公費負担があります。」としています。対象となるワクチンや費用、受けられる時期は年度や自治体によって変わるため、お住まいの市区町村の案内やかかりつけ医で確かめてください。
冬の健康管理④|水分と温かい食事で体の中から整える
水分は「時間を決めて、少しずつ」
のどが渇きにくい冬は、時間を決めて水分をとる習慣が役立ちます。健康長寿ネットは、飲み込みに問題がない方には、口が渇いた感じがなくても定期的に飲む習慣を生活にとり入れることを勧め、入浴の前後や就寝前、起床時の水分補給を挙げています。一方で、心臓や腎臓の病気がある方や、より高齢の方については「急速な水分摂取はなるべく避け、より緩徐な水分摂取をお勧めします。」としています。持病で水分の量を医師から指示されている方は、その指示を優先してください。水分補給の目安と続け方は、次の記事でくわしく紹介しています。

温かい食事とたんぱく質。お酒で温まろうとしない
MSDマニュアル家庭版は、低体温症の予防として温かい食べ物や温かい飲み物をとることを勧めています。一方で「アルコールは皮膚の血管を広げるため、一時的に体が温まったように感じますが、実際にはより多くの熱を放散させます。」として、お酒は控えるよう呼びかけています。寒い夜の晩酌で「体が温まった」と感じても、実際には熱が逃げていることがある点に気をつけましょう。
健康長寿ネットは、たんぱく質が不足すると「免疫機能が低下して抵抗力が弱くなり、さまざまな病気にかかりやすくなります。」とし、たんぱく質が不足すると筋力も低下するとしています。高齢者は肉や魚を食べる量が少なくなりがちなので、意識してとるよう勧めています。鍋料理や汁物に肉・魚・豆腐・卵を加えるのも一つの方法です。1日の必要量の目安ととり方は、次の記事で紹介しています。

お正月のお餅は小さく切って、ゆっくり
先に触れたとおり、高齢者の餅による窒息事故は1月に集中しています。消費者庁は、餅などを食べるときのポイントとして次のことを挙げています。
- 小さく切り、食べやすい大きさにする
- 一度に口に入れる量は、無理なく食べられるくらいにする
- 食べる前にお茶や汁物などで喉を潤す
- ゆっくりとよく噛んでから飲み込む
- 周りの人は高齢者の食事の様子に注意を払い、見守る
食事中によくむせる方は、飲み込む力が弱っているサインかもしれません。むせる原因と誤嚥を防ぐ工夫は、次の記事にまとめています。

冬の健康管理⑤|寒い日も体を動かす習慣を続ける
寒いと外出がおっくうになり、冬は体を動かす量が減りがちです。しかし、体を動かすことは冬の寒さ対策にもなります。MSDマニュアル家庭版は、低体温症の予防として、特に寒いときに定期的に運動をすることを勧め、運動で体の熱をつくる量が増えるとしています。前出の国土交通省の調査でも、断熱改修で室温が上がり暖房の使い方が変わった住宅では、住宅内で体を動かす時間が有意に増えたと報告されています。家を暖かくすることと、家の中で動くことは、セットで効いてくると考えられます。
国の運動ガイドが示す目安
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の推奨シート(高齢者版)は、次のように示しています。
強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)。
同じ推奨シートは、あわせて「筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を、週3日以上行うことを推奨する。」「筋力トレーニングを週2~3日行うことを推奨する(多要素な運動に含めてもよい)。」としています。また「座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する」とも書かれています。冬は暖かい部屋で座っている時間が長くなりやすいので、テレビのコマーシャルのたびに立ち上がる、家事の合間に足踏みをするなど、こまめに体を動かしましょう。
目安に届かなくても心配はいりません。同じ推奨シートには「上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨する。」とも書かれています。寒い日は、まず「今より少しでも多く動く」ことから始めれば十分です。
動かない冬が続くと心配なこと
日本整形外科学会は、骨・関節・筋肉などの運動器の衰えで、立つ・歩くといった動作がしにくくなった状態をロコモティブシンドローム(ロコモ)と呼び、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」と説明しています。冬のあいだも少しずつ動く習慣を保つことが、転倒予防やフレイル予防の面でも大切です。
暖かい部屋でできる運動の例
推奨シートは「特に身体機能が低下している高齢者については、安全に配慮し、転倒等に注意する。」としています。室内で運動するときは、いすや手すりなど、つかまれるものを用意してから行いましょう。椅子に座ったままできるストレッチなら、寒い日でも暖かい部屋で続けられます。手順は次の記事で紹介しています。

冬の健康管理⑥|雪や凍結の日の転倒に備える
東京消防庁によると、毎年12月から3月にかけて、積雪や凍結した路面で滑って転ぶ事故による救急搬送が起きており、過去5年間で801人が救急搬送されています。積雪の多かった年は搬送人数が急に増え、降雪時と雪が降ったあとの数日間に事故が多くなっています。
年齢別では50歳から84歳までで多く、東京消防庁は「通常の転倒による救急搬送は65歳以上の高齢者が多くなりますが、積雪時では50代から増加することが一つの特徴です。」としています。搬送された方の3割以上が中等症以上で、時間帯では午前7時台・8時台に多くなっています。東京消防庁は、次のような注意をよびかけています。
- 靴は滑りにくいものを選ぶ
- 足元に十分気を配り、ゆっくりと歩く
- 降雪後の数日間は事故が多いので、特に注意する
- 天候を事前に調べ、残雪や凍結した路面を避けて、余裕を持って行動する
雪の日に無理に出かけず、用事を別の日にずらすのも立派な転倒予防です。転びにくい靴の選び方は、次の記事にまとめています。

家族ができる冬の見守り
冬の健康管理は、一人でがんばりすぎないことも大切です。MSDマニュアル家庭版は、高齢者や乳幼児が低体温症になりやすい理由の一つとして、体を暖かく保つための対策をほかの人に頼っていることを挙げています。離れて暮らすご家族は、電話や訪問のときに次のような点を気にかけてみてください。
- 部屋が寒すぎないか(暖房を節約しすぎていないか、寝室は暖かいか)
- ふだんの食事の量と、食事以外に飲んでいる水分の量
- 「なんとなく元気がない」「反応が鈍い」といった、いつもと違う様子
- 入浴の前に一声かける、入浴中にこまめに声をかけるなど、入浴時の見守り
- 暖房器具やカイロ・電気あんかを安全に使えているか
健康長寿ネットは、高齢者の脱水を早く見つけるために、家族や介護者ができるだけ「普段の食事摂取量」と「食事以外の飲水量」をよく観察することが大切だとしています。また「何となく元気がない」「ぐったりしていて反応が鈍い」といった場合にも脱水の可能性があるとしています。一人暮らしの方の困りごとと備え方は、次の記事でも紹介しています。

よくある質問
冬の健康管理について、ご本人やご家族が気になりやすい点をまとめました。
- 冬にシニアが特に気をつけたいことは何ですか?
-
家の中の寒さと部屋どうしの温度差を減らすこと、暖房器具による低温やけどを防ぐこと、乾燥と感染症への備え、こまめな水分補給と温かい食事、室内で体を動かす習慣、雪や凍結の日の転倒予防がポイントです。国土交通省が支援する調査では、室温の低い家に住む人ほど起床時の血圧が高血圧となる確率が高いと報告されているので、まずは居間や寝室、脱衣所の温度から見直してみましょう。
- 冬の部屋は何度くらいにすればよいですか?
-
米国の医学書の日本語版であるMSDマニュアル家庭版は、高齢者の低体温症を防ぐために室温を20℃以上に設定し、特に寝室を暖かくしておくことを勧めています。あわせて消費者庁は、温度計で部屋どうしの温度差を「見える化」するよう呼びかけています。持病のある方は、暖房の使い方も含めてかかりつけの医師に相談しましょう。
- 冬は夏ほどのどが渇きません。水分補給は必要ですか?
-
はい、冬も水分補給は大切です。高齢になるとのどの渇きを感じにくくなり、水分をとる量が減りがちです。入浴の前後や就寝前、起床時など、時間を決めて少しずつ飲みましょう。心臓や腎臓の病気がある方は急に多く飲まず、ゆっくりとるようにし、医師から水分量を指示されている場合はその指示を優先してください。
- カイロや電気あんかを使うときの注意点は?
-
NITE(製品評価技術基盤機構)は、44℃で3~4時間、46℃で30分~1時間触れていると低温やけどになるといわれているとして、注意を呼びかけています。カイロは直接肌にあてず、寝るときには使わないこと、電気あんかは布団を温めたら寝る前にスイッチを切るか体から十分に離すことが大切です。高齢者は熱さを感じにくく、重症化しやすい傾向があります。
- 寒い日は無理に外で運動しないほうがよいですか?
-
雪の日や路面が凍っている日は、無理に外へ出る必要はありません。東京消防庁は、降雪後の数日間は転ぶ事故が多いとして、特に注意するよう呼びかけています。暖かい室内で、椅子に座ってできるストレッチやラジオ体操、足踏みなどで体を動かしましょう。厚生労働省の運動ガイドも、推奨値に満たなくとも少しでも体を動かすことを勧めています。
- 冬の晩酌は体が温まるのでよいですか?
-
MSDマニュアル家庭版は、アルコールは皮膚の血管を広げるため一時的に温まったように感じても、実際にはより多くの熱を逃がしてしまうとして、控えるよう勧めています。消費者庁も、飲酒後の入浴は避けるよう呼びかけています。体を温めたいときは、温かい食事や飲み物、重ね着や暖房を使いましょう。
参考にした主なデータ・指針
- 消費者庁「コラムVol.12 高齢者の事故 ―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―」(令和5年の65歳以上の不慮の事故死39,016人・不慮の溺死及び溺水8,270人・不慮の窒息7,779人・交通事故2,116人、12月・1月に多い傾向、浴槽での事故6,541人〈家や居住施設の浴槽6,073人〉、冬場に溺れる事故が増える原因、入浴時の注意ポイント、餅による窒息死亡事故の半数近くが1月に発生、餅を食べるときのポイント、窒息のサインを引用)
- 国土交通省「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査の中間報告(第2回)」(PDF)(起床時の室温の低下による血圧上昇への影響は高齢になるほど大きいこと、室温の低い家に住む人ほど起床時の血圧が高血圧となる確率が高いことを引用)
- 国土交通省「住宅内の室温の変化が居住者の健康に与える影響とは?~断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)~」(PDF)(室温が年間を通じて安定している住宅では血圧の季節差が顕著に小さいこと、部屋間の温度差が大きく床近傍の室温が低い住宅で血圧が有意に高いこと、室温上昇で暖房習慣が変化した住宅で住宅内身体活動時間が有意に増加したことを引用)
- MSDマニュアル家庭版「低体温症」(高齢者が屋内で低体温症になりうること、症状の現れ方、意識不明で見つかった場合の対応、加齢による寒さへの適応力の低下とリスク要因、室温20℃以上・寝室を暖かく・重ね着と帽子・温かい食べ物と飲み物・アルコールを控える・寒いときの定期的な運動という予防策を引用)
- 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「低体温」(低体温の定義と症状、冷え性との違い、室内外の温度差と自律神経、頭寒足熱の服装を参照)
- 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「脱水症」(高齢者でのどが渇きにくくなる理由、夜間のトイレを気にした水分の我慢、入浴前後・就寝前・起床時の水分補給、急速な水分摂取を避けること、家族による食事量と飲水量の観察、元気がない様子と脱水の関係を引用)
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「就寝時の“足元”暖房にご用心!~電気あんか、カイロ、電気マットの取扱いに注意~」(PDF)(低温やけどの温度と時間の目安、高齢者が重症化しやすいこと、電気あんか・カイロ・電気マットで気を付けるポイントを引用)
- 厚生労働省「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(急性呼吸器感染症を予防する6つの方法、適切な湿度50~60%、冬場における換気の留意点、暖房器具の火災予防を引用)
- 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「インフルエンザ」(高齢者で肺炎を合併する率が高いこと、予防接種の目的、12月前半までの接種、65歳以上の接種費用の一部公費負担を引用)
- 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」(たんぱく質が不足すると免疫機能が低下し筋力も低下すること、高齢者はたんぱく質が不足しがちなことを引用)
- 東京消防庁「積雪や凍結路面に係る救急事故に注意しよう」(12月から3月の積雪・凍結路面による救急搬送、過去5年間の救急搬送人員801人、年齢層・初診時程度・時間帯の傾向、事故防止のポイントを引用)
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」(上手な医療のかかり方)(高齢者ですぐに救急車を呼ぶべき症状を抜粋して引用)
- 厚生労働省「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』推奨シート:高齢者版」(強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上に相当)、筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上、筋力トレーニングを週2~3日、推奨値に満たなくとも少しでも身体活動を行うこと、身体機能が低下している高齢者の安全への配慮、座位行動の時間に注意すること、という推奨事項を引用)
- 日本整形外科学会 ロコモONLINE「ロコモを知ろう」(ロコモティブシンドロームの定義「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」を引用)
まとめ|冬を元気に過ごすコツは「家を暖かく、こまめに動く」
60代・シニアの冬の健康管理は、家の中の寒さと温度差を減らすことが土台になります。そのうえで、暖房器具を安全に使い、乾燥と感染症に備え、水分と温かい食事をとり、寒い日も室内で少しずつ体を動かすことが、冬を元気に過ごすことにつながります。いつもと違う様子があれば、無理をせず早めに相談しましょう。
今日から始める冬の寒さ対策のポイント:
- 居間・寝室・脱衣所に温度計を置き、温度差を小さくする
- カイロは肌に直接あてず、寝るときは使わない。電気あんかは寝る前に切るか離す
- 湿度50~60%と、暖房をつけたままの少しだけ換気。予防接種は早めに確認
- 水分は時間を決めて少しずつ。お酒で温まろうとせず、温かい食事とたんぱく質を
- 暖かい部屋で座りっぱなしを避け、いすにつかまってできる運動を続ける
- 雪や凍結の日は無理に出かけず、出るときは滑りにくい靴でゆっくり歩く
冬も体を動かす習慣を、まちFitで一緒に
「寒いと外に出るのがおっくう」「一人だと運動が続かない」――そんな冬こそ、通う場所と仲間がいると続けやすくなります。まちFitは「健やかな毎日を、まちのそばで。」をコンセプトに、60代からのシニアの方が無理なく通える健康スタジオです。天候に左右されない屋内のスタジオで、同世代の仲間と一緒に体を動かせます。
- 雪や寒さの日も、屋内のスタジオで体を動かせる
- 椅子を使うなど、無理のない姿勢で続けられる運動
- 同年代の仲間と通うから、冬でも運動習慣が続けやすい
- スタッフが体調や目的に合わせて声かけ・サポート

池上と川崎のスタジオでは、椅子に座ったまま行う有酸素運動の「安心、楽しいチェアビクス」も開いています。立って行う運動に不安がある方や、寒い季節に体を動かすきっかけがほしい方にも参加しやすいレッスンです。持病のある方は、主治医に相談のうえご参加ください。
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