シニアの乾燥肌・かゆみの原因と対策|60代・高齢者のスキンケア習慣

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まちFit
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東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。

「冬になるとすねや背中がかゆくてつらい」「夜、布団に入るとかゆくなって目がさめる」。60代・シニアの方に多いこうしたお悩みの背景にあるのが、乾燥肌(乾皮症)です。年齢を重ねると、肌の表面を守る皮脂や汗が減り、肌は乾きやすくなります。

この記事では、日本皮膚科学会の診療の手引きや皮膚科Q&A、健康長寿ネットなどの専門機関の情報をもとに、高齢者に乾燥肌とかゆみが起こる原因と、入浴・保湿を中心とした毎日の対策、皮膚科を受診する目安を、まちFit編集部監修のもとでまとめました。

目次

高齢者の乾燥肌とかゆみとは?まず知っておきたい基礎知識

乾燥肌(乾皮症・皮脂欠乏症)とはどんな状態?

日本皮膚科学会の「皮脂欠乏症診療の手引き2021」は、皮脂欠乏症を乾皮症と同じ病気と位置づけ、「水分保持機能や表皮被覆機能の破綻により,皮膚乾燥を呈する疾患の総称である.」と説明しています。わかりやすく言うと、肌の中に水分をためておくはたらきと、皮脂や汗で肌の表面をおおって守るはたらきがうまく働かず、肌が乾いてしまった状態です。

同じ手引きによると、はじめは肌が乾いて細かい粉をふいたようになる程度ですが、進むと表面がざらざらしてはがれる皮が大きくなり、さらに進むと、さざ波のような模様や、ひし形の模様のひび割れができます。

高齢者では7割以上に肌の乾燥がみられる

同手引きは、皮脂欠乏症は高齢者で高い頻度で起こることが知られており、高齢者の7割以上で皮膚の乾燥が認められているとの報告があるとしています。健康長寿ネットも、かゆみは高齢者にとって非常に頻度が高く、つらい訴えだと説明しています。肌が乾いてかゆくなるのは珍しいことではありません。だからこそ、毎日のケアで上手に付き合っていくことが大切です。

すね・背中に起こりやすく、冬に多い

手引きは、年齢などによる乾燥肌が起こりやすい場所を両脚のすね側(伸側)とし、背中や腕にみられることもあるとしています。反対に、皮脂や汗の多い顔や、わきの下などのこすれ合う場所では起こりにくいとされています。健康長寿ネットは、老人性乾皮症(高齢者の乾燥肌)は空気が乾燥する冬に多くおこるとしています。

なぜ高齢者は乾燥肌とかゆみが起こりやすいのか

手引きは、肌が乾燥する要因を大きく3つに分けています。年齢などによる肌の変化(生理的要因)、冬の外気や暖房による乾燥・入浴やスキンケアのしかた(環境要因)、皮膚や全身の病気・治療にともなうもの(非生理的要因)です。シニアの方には、この3つが重なりやすいのが特徴です。

加齢で皮脂や汗が減り、肌が水分を保てなくなる

健康長寿ネットは、老人性乾皮症とは「加齢に伴い皮脂や汗の分泌が減少し、皮膚の角層の水分保持機能が低下することにより、皮膚が乾燥した状態のことです。」と説明しています。手引きも、肌の表面の皮脂の量は加齢に伴って減ること、手足は顔や体幹より皮脂が少ないこと、男性より女性のほうが少ないことを紹介しています。

冬の外気と暖房、入浴やスキンケアのしかた

手引きは、環境要因として、冬の外気や室内の暖房による湿度の低い環境、紫外線を浴びること、「過度の入浴,脱脂作用の強い洗浄料や擦り洗いなど不適切なスキンケア」を挙げています。熱いお湯での長風呂や、ナイロンタオルでのゴシゴシ洗いは、知らないうちに乾燥を進めてしまいます。

冬は体が冷えて、熱いお湯に長くつかりたくなる季節でもあります。お風呂以外でできる冷えの対策は、次の記事にまとめています。

病気や治療が関係していることもある

手引きによると、高齢者の皮脂欠乏症は、加齢による変化に加えて、糖尿病や慢性腎不全、抗がん剤の投与などが原因になっている場合もあります。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aも、肌に何もできていないのにかゆくなる皮膚そう痒症について、肌の乾燥のほかに、腎臓、肝臓・胆道、糖尿病やホルモンの異常、内服薬なども原因になっていることがあるとしています。セルフケアで良くならないかゆみは、受診して原因を確かめることが大切です(受診の目安は後の章で紹介します)。

かくと悪化する「かゆみの悪循環」

手引きは、皮脂欠乏症はしばしばかゆみを伴い、かくことで肌のバリア機能がさらに壊れるとしています。かくことをくり返して炎症が起こると湿疹になり(皮脂欠乏性湿疹)、湿疹が広がると、貨幣状湿疹と呼ばれる状態に進むこともあります。健康長寿ネットも、皮脂欠乏性湿疹は老人性乾皮症がもともとの原因で、それをひっかくことによっておこると説明しています。「かゆい→かく→肌が傷つく→もっとかゆい」という悪循環に入る前に、肌の乾燥を防ぐことが対策の基本です。

乾燥肌のかゆみを防ぐ対策|60代・シニアの毎日のスキンケア習慣

健康長寿ネットは、老人性乾皮症の治療の原則は保湿剤を用いることだとし、特に冬の乾燥する間のスキンケアが非常に大切だとしています。ここでは、入浴と保湿を中心に、手引きと健康長寿ネットが勧めている方法を紹介します。

対策1:入浴は熱すぎず長すぎず、泡でやさしく洗う

健康長寿ネットと手引きが挙げている入浴の注意点は、次のとおりです。

  • 熱すぎるお湯や、あまり長いお風呂はさける
  • 石けんは通常どおり使ってよいが、皮膚の脂を取り除いてしまうようなゴシゴシ洗いはさける
  • 皮脂を取り除く力が強すぎる洗浄料はさける
  • ナイロンタオルやブラシ、たわしでこすらない。石けんをよく泡立て、泡を手のひらに取ってやさしく洗う
  • 特に乾燥の強い場所には、石けんを使う量を最小限にする
  • 石けんの使いすぎや、すすぎ残しをしない

手引きは、石けん・洗浄剤の主成分は界面活性剤で、使いすぎやすすぎ残しは皮膚の乾燥を悪化させる可能性があるとしています。また、ナイロンタオルやブラシでこすると角層から水分が逃げやすくなり、乾燥を助長するとしています。

湯の温度や入浴時間の具体的な目安は、冬の入浴事故(ヒートショック)を防ぐ観点から、消費者庁などが示しています。冬のお風呂を安全に楽しむための対策は、次の記事で紹介しています。

対策2:保湿剤は入浴後に、1日2回を目安に

手引きは、入浴後は角層から水分が逃げるため、「直後でなくても良いが,保湿剤を外用すべきである.」としています。保湿剤を入浴の1分後に塗った場合と1時間後に塗った場合で、肌の水分量に差がみられなかったという報告も紹介されています。一方、健康長寿ネットは、保湿剤は入浴後の皮膚が少し湿ったときに塗ると効果的だとしています。あわてて塗る必要はありませんが、お風呂あがりの身支度の流れで塗り忘れないようにすると、毎日続けやすくなります。

塗る回数について、手引きは、1日1回より2回塗るほうが高い保湿効果を期待できるという報告を紹介しています。お風呂あがりに加えて、朝の着替えのときなど、もう1回塗るタイミングを決めておくとよいでしょう。

対策3:保湿剤の量は「少しテカテカする程度」

塗る量が少なすぎると、十分にうるおいません。手引きは、塗る量の目安として「FTU(フィンガーチップユニット)」を紹介しています。

  • チューブの軟膏やクリームを、大人の人さし指の先から第1関節まで出した量(約0.5g)が1FTU
  • 1FTUで、大人の手のひら2枚分くらいの広さに塗る
  • ローションの場合は、手のひらに1円玉大を取ると約0.6g

同手引きは、実際には「少しテカテカする程度に塗る」といった目安が役に立つとしています。すねや背中など乾きやすい場所を中心に塗りましょう。背中は手が届きにくいので、ご家族に手伝ってもらうのも一つの方法です。

対策4:保湿剤は使い心地がよく、続けられるものを

健康長寿ネットは、薬局でも様々な保湿剤が市販されており、基本的には使用感がよく、かさかさ感がとれるものを選ぶのがよいとしています。手引きも、一時的で軽い乾燥肌には、市販の医薬品や医薬部外品、化粧品の保湿剤を使いながら生活習慣を見直すことが重要だとしています。製品どうしの効果を比べた根拠はないため、使い心地に満足でき、安心して続けられるものを選ぶことが大切だとされています。

乾燥が強い場合は、医師が医療用の保湿剤を処方することもあります。手引きは、はっきりした皮むけやかき傷があって悪化が予想される場合には、かゆみがなくても医療用の保湿剤による治療を考えるとしています。

衣類・部屋の湿度・紫外線|暮らしの中の乾燥肌対策

乾燥肌のかゆみは、肌にふれるものや部屋の環境といった、ちょっとした刺激でも起こります。手引きが患者さんへの指導として挙げている、暮らしの中の工夫を紹介します。

肌着は、チクチク・ごわごわしない素材を

手引きは、羊毛の素材やごわごわした素材などの衣類の刺激や、髪の毛の先がふれるといったわずかな刺激でもかゆみが起こるため、そうした刺激のない衣類を選ぶよう勧めています。健康長寿ネットも、衣類はできるだけチクチクせず、刺激の少ないものを選んだほうがよいとしています。

冬は加湿器などで部屋の湿度を保つ

手引きは、冬は暖房によって室内の湿度が下がるため、必要に応じて加湿器などで対策することも必要だとしています。寝室の温度や湿度の整え方は、睡眠の記事でも紹介しています。かゆみで眠りが浅くなっている方は、あわせてご覧ください。

日差しの強い季節は、紫外線を浴びすぎない

乾燥肌は冬だけの悩みではありません。手引きは、長い期間日光を浴びることで角層から水分が逃げやすくなるという報告があるとして、過度に日光を浴びるのは避け、紫外線の強い5月から8月、特に紫外線量の多い10時から14時ごろに外出する際は、帽子をかぶる、なるべく日陰を歩くといった配慮を勧めています。紫外線を浴びる時間が長くなるときは、日焼け止めの使用も勧めています。散歩やウォーキングをする時間帯の選び方は、次の記事で紹介しています。

こんなときは皮膚科へ|受診の目安

手引きによると、保湿剤による治療はよく効き、一般に経過は良好です。ただし、保湿は症状をおさえる対症療法なので、やめたり季節が変わったりすると、また乾燥肌が出てきます。毎日のケアを続けることに加えて、次のようなときは自己判断せず、皮膚科で相談しましょう。

赤み・ぶつぶつ・じくじくした湿疹がある

健康長寿ネットは、乾燥肌が悪化して湿疹になってしまうと、ステロイドの外用などの適切な外用療法や、かゆみを止める内服療法が必要になるとしています。手引きも、保湿剤で治療しても悪化して湿疹になった場合は、ステロイド外用薬などの炎症をおさえる薬を併用するとしています。

かゆくて眠れない、日中もかいてしまう

手引きは、かゆみの程度を判断する基準の一つとして、「かゆくて目がさめる」「かゆくてほとんど眠れない」といった夜間の症状や、「かなりかゆくて,人前でもかく」といった日中の症状を挙げています。健康長寿ネットは、かゆみ止めと呼ばれる抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤の内服薬は、かいてしまって皮膚が悪化するという悪循環を断ち切るのに必要だとしています。かゆみで眠れないほどなら、がまんせずに受診しましょう。

肌に何もできていないのに、全身がかゆい

健康長寿ネットは、発疹がないのに体がかゆい場合は老人性乾皮症であることが多いとする一方で、肝臓の病気や腎臓の病気、透析にともなってかゆみが起こることもあるとしています。皮膚科Q&Aも、皮膚そう痒症では原因となっている病気がある場合にはその治療が必要だとしています。保湿を続けても良くならないときは、持病や飲んでいる薬も伝えたうえで受診しましょう。

足の皮むけやかゆみ、かかとのひび割れが続く

健康長寿ネットは、かゆみの原因として、湿疹のほかに、疥癬(かいせん)や痒疹(ようしん)、白癬やカンジダなどの真菌(カビ)の感染によるかゆみがあり、診断に応じた治療が必要だとしています。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aによると、「足の指の間や足の裏がかゆい」「足の指の間や足の裏の皮が剥ける」といった症状が暖かくなるころに毎年出る場合は、足白癬(水虫)の可能性が高いとされます。また、足の裏全体が硬くなる角質増殖型の足白癬は、一年中かゆみがなく、冬はひび割れのために痛むことがあるとされています。ただし、皮膚科専門医でも見ただけでは診断がつかないことも多く、真菌検査で確かめる必要があるとしています。乾燥肌だと思っていた足の症状が続くときは、皮膚科で相談しましょう。足の皮膚や爪のケアと受診の目安は、次の記事で紹介しています。

高齢者の乾燥肌とかゆみについてよくある質問

乾燥肌のかゆみは、高齢者に多いのですか?

はい。日本皮膚科学会の「皮脂欠乏症診療の手引き2021」は、高齢者の7割以上で皮膚の乾燥が認められているとの報告があるとしています。加齢によって皮脂や汗の分泌が減り、肌が水分を保ちにくくなるためです。すねや背中に起こりやすく、空気が乾燥する冬に多くみられます。

保湿剤は、お風呂あがりすぐに塗らないといけませんか?

日本皮膚科学会の手引きは、入浴後は直後でなくてもよいが保湿剤を塗るべきだとしており、入浴の1分後と1時間後に塗った場合で肌の水分量に差がなかったという報告を紹介しています。健康長寿ネットは、入浴後の皮膚が少し湿ったときに塗ると効果的だとしています。あわてる必要はありませんが、塗り忘れないよう、お風呂あがりの習慣にしましょう。

保湿剤は1日に何回、どのくらい塗ればよいですか?

日本皮膚科学会の手引きは、1日1回より2回塗るほうが高い保湿効果を期待できるという報告を紹介しています。量の目安は、人さし指の先から第1関節までの量(約0.5g)で大人の手のひら2枚分の広さです。実際には、少しテカテカする程度に塗るのが目安になります。

保湿剤は市販のものでもよいですか?

日本皮膚科学会の手引きは、一時的で軽い乾燥肌には、市販の医薬品や医薬部外品、化粧品の保湿剤を使いながら生活習慣を見直すことが重要だとしています。製品どうしの効果を比べた根拠はないため、使い心地がよく、安心して続けられるものを選びましょう。ケアを続けても良くならない場合や湿疹ができた場合は、皮膚科で相談してください。

乾燥肌の人は、お風呂でどんなことに気をつければよいですか?

健康長寿ネットは、熱すぎるお湯や長いお風呂をさけ、ゴシゴシ洗いや、たわし・ナイロンタオルなどの摩擦をさけるよう勧めています。日本皮膚科学会の手引きは、石けんをよく泡立てて泡を手のひらに取り、やさしく洗うこと、石けんの使いすぎやすすぎ残しをしないことを勧めています。

乾燥肌のかゆみで、皮膚科を受診する目安はありますか?

赤みやぶつぶつなどの湿疹ができた、かゆくて眠れない、保湿を続けても良くならない、肌に何もできていないのに全身がかゆい、といった場合は皮膚科で相談しましょう。健康長寿ネットは、湿疹になると適切な外用療法や内服療法が必要になるとし、肝臓や腎臓の病気でかゆみが起こることもあるとしています。

参考にした主なデータ・指針

まとめ|高齢者の乾燥肌のかゆみは「洗いすぎない・毎日保湿」が対策の基本

高齢者の乾燥肌とかゆみは、加齢で皮脂や汗が減り、肌が水分を保ちにくくなることが背景にあります。7割以上の高齢者にみられるとの報告もある、身近な悩みです。熱すぎるお湯や長風呂、ゴシゴシ洗いをさけ、入浴後を含めて1日2回、少しテカテカする程度に保湿剤を塗る。この毎日のスキンケアが、かゆみの悪循環を防ぐ対策の基本です。60代からは、湿疹ができた、眠れないほどかゆい、保湿しても良くならないといったときに、早めに皮膚科で相談することも大切にしましょう。

今日から始める乾燥肌ケアの習慣:

  • お風呂は熱すぎず長すぎず、泡と手のひらでやさしく洗う
  • 入浴後は塗り忘れずに保湿。1日2回、少しテカテカする程度に
  • 肌着はチクチク・ごわごわしない素材を選ぶ
  • 冬は加湿器などで部屋の湿度を保ち、夏は日差しをさける
  • 湿疹や眠れないほどのかゆみは、がまんせず皮膚科へ

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この記事はまちFit編集部監修のもと、公的機関や学会などが公開する情報を参照して作成しています。内容は一般的な健康情報の整理であり、特定の効果を保証するものではありません。

本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とする医療行為に代わるものではありません。症状には個人差があります。かゆみや湿疹が続く場合や、気になる症状がある場合は、自己判断せず皮膚科など医療機関にご相談ください。

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