足踏み体操のやり方5種|シニア・60代・高齢者が自宅でできる足腰づくり

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まちFit
スタジオ運営責任者
東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
「最近、足が上がりにくくなってつまずくことが増えた」「外を歩きたいけれど、天気や転倒が心配」。そんな60代・シニアの方が、自宅で今日から始められるのが足踏み体操です。椅子に座ったままでもでき、道具もいりません。
この記事では、埼玉県の介護予防プログラム集や、健康長寿ネット、厚生労働省のe-ヘルスネットなどの公的な情報をもとに、高齢者が自宅でできる足踏み体操のやり方5種と、期待できる効果、安全に続けるための注意点を、まちFit編集部監修のもとでまとめました。
足踏み体操とは?高齢者の足腰づくりに向いている理由
この記事では、椅子に座った姿勢や立った姿勢のまま、その場で太ももを交互に持ち上げる運動を「足踏み体操」と呼んで紹介します。体操の資料では「もも上げ」「腿あげ運動」とも呼ばれています。
歩くときに足を前に振り出す筋肉を使う
健康長寿ネットによると、歩くときに脚を振り上げるために働くのは、太ももの前の大腿四頭筋、腸腰筋(ちょうようきん)、すねの前脛骨筋です。
厚生労働省のe-ヘルスネットは、太腿を前に振り出す下腹の深部にある腸腰筋や、つま先を上げる前脛骨筋が発達しているほど、歩幅が広く歩行速度が速くなること、しっかりと足を振り出せることで転倒のリスクが低減することが分かっていると説明しています。そのうえで、これらの筋肉を効果的に鍛える方法の一つとして、「立位で太腿を交互に引き上げる腿あげ運動」を挙げています。足踏み体操は、この腿あげの動きです。
足が上がりにくくなる原因と、つまずきを防ぐ対策は、次の記事で詳しく解説しています。

座っても立ってもできる、手軽な筋力トレーニング
健康長寿ネットは、50代・60代から始める運動として、手軽に行える筋力トレーニングに、椅子スクワットや「椅子に座った状態や立った状態での足踏み」、椅子の背を持って立った状態でのつま先立ちを挙げています。
埼玉県の「ご近所型介護予防 プログラム集」も、太ももを持ち上げる体操を「歩く能力を高める体操」として紹介しています。目的は腸腰筋の強化で、立った姿勢でも座った姿勢でも行えます。足腰に自信のない方は座って、体力のある方は立って、と自分に合った形を選べるのが足踏み体操のよいところです。
ロコモ・フレイル予防の入り口にも
日本整形外科学会のロコモONLINEは、ロコモティブシンドローム(ロコモ)を「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」と説明しています。同サイトによると、ロコモが進行して身体能力の低下が自覚症状を伴って顕著になったものが身体的フレイルで、ロコモはフレイルよりも人生の早い時期から現れます。立つ・歩くための足腰の力を保つ足踏み体操は、ロコモ予防、ひいてはフレイル予防の入り口として取り組みやすい運動です。
足踏み体操を始める前に:体調チェックと準備
足踏み体操は軽い運動ですが、体調が悪い日に無理をすると転倒やけがにつながります。始める前に、体調と環境を確かめましょう。
運動前のセルフチェック
健康長寿ネットは、レジスタンス運動(筋肉に負荷をかける運動)を始める前に、次のような項目で体調を確かめ、ひとつでも当てはまればその日の運動は中止するとしています(主な項目を抜粋)。
- 足腰の痛みが強い
- 熱がある、体がだるい
- 吐き気がある、気分が悪い
- 頭痛やめまいがする
- 睡眠不足や過労気味で体調が悪い
- 少し動いただけで息切れや動悸がする
- 胸が痛い
- (夏季)熱中症警報が出ている
当てはまるものがなくても、「いつもと違う」「体調がおかしい」と感じたら無理はせずに中止し、必要に応じて医療機関を受診しましょう。運動中は息を止めず、息を吐きながら行います。同ネットは、息を止めると身体に過剰な力が入り、血圧が上がりやすくなるとしています。
場所と椅子の準備
埼玉県の「ご近所型介護予防 プログラム集」は、運動前の確認ポイントとして、転倒しないように床にある物を片付けておくこと、夏は熱中症、冬は急激な温度差による身体への負担に注意することを挙げています。健康長寿ネットのもも上げは、背もたれから背中を離して椅子に座る姿勢で行います。
立って行う場合は、椅子の背もたれや机など、つかまるものがある場所を選びます。日本整形外科学会のロコトレでも、片脚立ちは「転倒しないように、必ずつかまるものがある場所に立ちます。」とされています。足踏みも片脚で体を支える瞬間がある動きなので、同じように支えのある場所で行うと安心です。
自宅でできる足踏み体操のやり方5種
ここでは、埼玉県の「ご近所型介護予防 プログラム集」と健康長寿ネット、e-ヘルスネットで紹介されている運動をもとに、座って行う4種と立って行う1種を、やさしい順に紹介します。1から順に試し、無理なくできるものを続けましょう。
1. 太ももを押さえて力を入れる(座って)
- 椅子に座ります。
- 片側の太ももを持ち上げます。
- 太ももの上から両手で押さえるように力を入れます。膝の位置は変えません。
- 反対の脚も同じように行います。
埼玉県の「ご近所型介護予防 プログラム集」で「歩く能力を高める体操ステップ1」として紹介されている体操で、目的は腸腰筋の強化です。膝の位置を変えずに力を入れるので、足踏みがまだ不安な方の最初の一歩に向いています。
2. 座ったまま交互にもも上げ
- 背もたれから背中を離して椅子に座ります。
- お腹に力を入れて、片方の太ももを上げます。座面から太ももの裏が離れるように上げてから下ろします。
- 反対の太ももも同じように上げ、左右交互にくり返します。
健康長寿ネットは、この「もも上げ」で腹筋や腸腰筋を鍛えられるとしています。埼玉県の「ご近所型介護予防 プログラム集」の「ステップ2」では、肘を曲げて胸の前で保持し、膝が肘につくように左右交互に持ち上げます。号令は「1」で膝を上げて「2」で反対を上げる方法のほか、「1・2・3」で上げて「4」で下ろす方法も紹介されており、テンポについていけない人がいるときに有効とされています。最初はゆっくりの号令から始めましょう。
3. ひねりながらもも上げ(座って)
- 椅子に座り、両肘を曲げて胸の前で保持します。
- 上体をひねりながら、反対側の肘に膝がつくように持ち上げます(左肘と右膝、右肘と左膝)。
- 左右交互にくり返します。
埼玉県の「ご近所型介護予防 プログラム集」の「ステップ3」です。体をしっかりひねること、肘でむかえに行かないようにすることがポイントとされています。2のもも上げに慣れてから取り組みましょう。
4. 座ってできるだけ速く足踏み+頭の体操
- 椅子に座ります。
- できるだけ速く、左右の足で足踏みをします。腕も一緒に振ります。
- 足踏みをしながら、「動物の名前をできるだけ多く答える」「100から順次3を引く」などの課題に答えます。
- 時間は5秒から始め、少しずつ10秒まで延ばします。
埼玉県の「ご近所型介護予防 プログラム集」に「座位で行うステッピングエクササイズ」として載っている運動です(出典:山田実「高齢者のテーラーメード型転倒予防」)。同プログラム集は、座って行う運動ながら歩行能力が向上するとし、「移動能力がやや低下した高齢者にとっては安全に行える有用なトレーニングです。」と説明しています。課題を始めると足踏みが遅くなったり忘れたりしやすいので、ご家族と一緒なら「早く足踏み!」と声をかけ合いましょう。
頭と体を同時に使う運動は、ほかにもいろいろあります。自宅でできる脳トレ体操のやり方は、次の記事で紹介しています。

5. 立って行う足踏み(腿あげ)
- 椅子の背もたれや机の横に立ち、片手で軽くつかまります。
- 背筋を伸ばし、片方の太ももを前へ引き上げてから下ろします。
- 反対の太ももも同じように引き上げ、その場で左右交互に足踏みします。
e-ヘルスネットが腸腰筋や前脛骨筋を鍛える方法として挙げている「立位で太腿を交互に引き上げる腿あげ運動」です。座っての体操(1〜4)が楽にできるようになってから取り組み、ふらつくときはすぐに座った体操に戻しましょう。
太ももやお尻など、足腰の筋肉をまとめて鍛えたい方は、自宅でできる足腰の運動8選もあわせてどうぞ。

慣れてきたら:バンドで負荷を足す、片脚立ちに進む
健康長寿ネットは、フィットネスバンドを使った「足踏み運動(腸腰筋・体幹)」も紹介しています。椅子に座り、フィットネスバンドを八の字にして両足を通して太ももの位置まで引き上げ、バンドの抵抗に負けないように片足ずつ交互に太ももを上げます(20回)。セラバンドを使う体操のやり方は、次の記事にまとめています。

バランスにも取り組みたい方は、日本整形外科学会のロコトレ「片脚立ち」(左右とも1分間で1セット、1日3セット)が次のステップになります。つかまるものがある場所で、床につかない程度に片脚を上げます。ロコモの予防と片脚立ちのやり方は、次の記事で解説しています。

足踏み体操の回数・頻度の目安と続けるコツ
回数は少なめから。3つの原則を守る
埼玉県の「ご近所型介護予防 プログラム集」は、高齢者への体操・リハビリテーションの3原則として、次の3つを挙げています。
- 一度に、無理してがんばり過ぎないようにしましょう。
- 「よくなったから」といってやめないようにしましょう。
- 効果が現れなくても、あきらめないで続けましょう。
健康長寿ネットのバンドを使った足踏み運動は20回、埼玉県のステッピングエクササイズは5〜10秒が目安です。まずは少ない回数・短い時間から始め、楽にできるようになったら少しずつ増やしましょう。
体操だけでなく、1日の活動量も増やす
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(高齢者版)は、体を動かす量の目安を次のように示しています。
「強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)。」
同じ推奨シートは「上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨する。」とも明記しています。足踏み体操だけでこの目安を満たすのは難しいため、体操で足を上げる力をつけながら、散歩や家事など体を動かす時間も少しずつ増やしていきましょう。自宅でできる歩き方の練習は、次の記事で紹介しています。

座りっぱなしの合間に取り入れる
同じ推奨シートの解説は、家事のような3メッツに満たない軽強度の身体活動を増やすことで、「自然と座位行動(座りっぱなし)の時間も減らせます。」と説明しています。テレビのコマーシャルの間や、長く座ったあとに座ったままの足踏みをはさむなど、生活の中に組み込むと続けやすくなります。座りっぱなしが体に与える影響と対策は、次の記事にまとめています。

続けるための工夫
- 「朝食のあと」「夕方のニュースの時間」など、毎日の決まった時間とセットにする
- ご家族や友人と一緒に号令をかけ合いながら行う
- カレンダーに印をつけて、続けた日を見える化する
足踏み体操についてよくある質問
- 足踏み体操は毎日やってもよいですか?
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体調がよければ、生活の中に毎日取り入れてかまいません。ただし、健康長寿ネットは、運動前のセルフチェックで足腰の痛みが強い、熱がある、めまいがするなどの項目がひとつでも当てはまる日は運動を中止するとしています。埼玉県の介護予防プログラム集も、一度に無理してがんばり過ぎないことを原則に挙げています。
- 1回にどのくらい行えばよいですか?
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健康長寿ネットのバンドを使った足踏み運動は20回、埼玉県の介護予防プログラム集の座って行うステッピングエクササイズは5秒から始めて10秒までが目安です。まずは少ない回数・短い時間から始め、楽にできるようになったら少しずつ増やしましょう。
- 膝や腰が痛いのですが、足踏み体操はできますか?
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健康長寿ネットは、足腰の痛みが強い日は運動を中止するとしています。埼玉県の介護予防プログラム集も、関節に痛みがある方や膝などに痛みがある方を、体操の機能制限として挙げています。痛みがある方、治療中の方は、始める前にかかりつけ医に相談しましょう。
- 立って行うのと座って行うのは、どちらがよいですか?
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健康長寿ネットは、手軽に行える筋力トレーニングとして、椅子に座った状態での足踏みと立った状態での足踏みの両方を挙げています。立って行う腿あげは片脚で体を支える瞬間があるため、ふらつきが心配な方は座って行う体操から始め、立つときは必ずつかまるものがある場所で行いましょう。
- 足踏み体操はウォーキングの代わりになりますか?
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足踏み体操は足を前に振り出す筋肉を使う運動で、歩く力の土台づくりに役立ちますが、体操だけで厚生労働省の推奨シートが示す「歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上」を満たすのは難しいでしょう。同シートは、推奨値に満たなくても少しでも身体活動を行うことを推奨しています。体操と散歩などを組み合わせて、活動量を少しずつ増やしましょう。
- 足踏み体操で転倒予防になりますか?
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厚生労働省のe-ヘルスネットによると、足を前に振り出す腸腰筋や前脛骨筋が発達しているほど、歩幅が広く歩行速度が速くなり、しっかり足を振り出せることで転倒のリスクが低減することが分かっています。腿あげ運動はこれらの筋肉を鍛える方法の一つです。ただし、体操中に転んでは逆効果なので、立って行うときは必ずつかまるものがある場所で行いましょう。
参考にした主なデータ・指針
- 埼玉県「ご近所型介護予防 プログラム集 ~簡易版~」(PDF)(歩く能力を高める体操ステップ1~3(目的=腸腰筋の強化、運動姿勢=立位・座位、号令の例、注意点)、座位で行うステッピングエクササイズ(実施方法・時間・認知課題の例・注意点)、機能制限、高齢者への体操・リハビリテーションの3原則、運動前の確認ポイントを参照し、3原則とステッピングエクササイズについての記述を引用)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「安全かつ効果的に「足腰」を鍛える方法」(足を前に振り出す腸腰筋・前脛骨筋が発達しているほど歩幅が広く歩行速度が速くなり転倒のリスクが低減することを参照し、腿あげ運動の記述を引用)
- 健康長寿ネット「レジスタンス運動の効果と方法」(座って行うもも上げの手順と鍛えられる筋肉、運動開始前のセルフチェックリスト、息を止めないことを参照)
- 健康長寿ネット「歩行」(歩くときに下肢を振り上げるために働く筋肉(大腿四頭筋・腸腰筋・前脛骨筋)を参照)
- 健康長寿ネット「QOLを高める50代・60代から始める運動」(手軽に行える筋力トレーニングの例として、椅子に座った状態や立った状態での足踏みを挙げている記述を引用)
- 健康長寿ネット「高齢者のチューブトレーニングの効果と方法」(フィットネスバンドを使った足踏み運動(腸腰筋・体幹)の手順と回数を参照)
- 日本整形外科学会 ロコモONLINE「ロコトレ」(片脚立ちの回数とやり方を参照し、転倒しないようにつかまるものがある場所に立つという記述を引用)
- 日本整形外科学会 ロコモONLINE「ロコモを知ろう」(ロコモティブシンドロームの定義「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」を引用し、ロコモと身体的フレイルの関係を参照)
- 厚生労働省「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』推奨シート:高齢者版」(「強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)。」「上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨する。」と、軽強度の身体活動で座位行動の時間も減らせるという解説を引用)
まとめ|足踏み体操は「座って・少しずつ・毎日の中で」
足踏み体操は、歩くときに足を前に振り出す腸腰筋などを使う、高齢者が自宅で始めやすい運動です。太ももを押さえて力を入れる体操から始め、座ったままのもも上げ、ひねりながらのもも上げ、頭の体操を合わせた速い足踏み、つかまって立つ足踏みへと、自分の体力に合わせて進めましょう。体調チェックを欠かさず、少ない回数から続けることが、60代からの足腰づくりの近道です。
今日から始める足踏み体操の習慣:
- 運動前にセルフチェックで体調を確かめる
- まずは座ったまま、太ももを押さえる体操ともも上げから
- 立って行うときは、必ずつかまるものがある場所で
- テレビのコマーシャルの間など、座りっぱなしの合間にはさむ
- 散歩や家事で、1日の活動量も少しずつ増やす
一人で続けるのが不安な方は、まちFitへ
「正しいやり方でできているか分からない」「一人だと続かない」という方にこそ、同世代の仲間と一緒に体を動かせる場所が力になります。まちFitは「健やかな毎日を、まちのそばで。」をコンセプトに、60代からのシニアの方が無理なく通える健康スタジオです。足腰の力が気になる方も、自分のペースで続けられます。
- 椅子を使うなど、無理のない姿勢で続けられる運動
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