ロコモティブシンドロームとは?60代が知るべき予防と対策

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まちFit
スタジオ運営責任者
東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
「ロコモティブシンドローム」という言葉を聞いたことはありますか?整形外科やメディアで使われるこの言葉、実は60代以降の体力低下・介護リスクと深く関係しています。
日本整形外科学会が2007年に提唱したこの概念は、「運動器(骨・筋肉・関節・神経)の障害によって移動機能が低下した状態」を指します。フレイルや認知症と並んで、介護予防の観点から最も重要な概念のひとつです。
この記事では、ロコモティブシンドロームの定義・チェック方法・原因・60代からできる予防対策まで詳しく解説します。
この記事でわかること
- ロコモティブシンドロームとは何か(定義・3つのステージ)
- ロコモになる主な原因
- ロコモ度チェック(自分で確認できるテスト)
- ロコモ予防に効果的な運動「ロコトレ」
- 骨・筋肉・関節を守る食事習慣
ロコモティブシンドロームとは何か
定義と背景
ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)とは「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」を指します。日本整形外科学会が2007年に提唱し、現在は行政・医療・介護の分野で広く使われている概念です。
「ロコモティブ(locomotive)」は「移動の・運動の」という意味の英語で、「ロコモティブシンドローム=移動機能低下症候群」と理解するとわかりやすいです。
まずは「ロコチェック」で気づく
日本整形外科学会は、ロコモに気づくための7項目「ロコチェック」を公開しています。ひとつでも当てはまれば、ロコモの心配があります。
- 片脚立ちで靴下がはけない
- 家の中でつまずいたりすべったりする
- 階段を上るのに手すりが必要である
- 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
- 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
- 15分くらい続けて歩くことができない
- 横断歩道を青信号で渡りきれない
ロコモの3つの段階(ロコモ度1・2・3)
日本整形外科学会は、後述する3つのロコモ度テスト(立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25)の結果によって、ロコモの進み具合を3段階で判定しています。年齢に関わらず、3項目のうちひとつでも該当すればその段階と判定されます。
- ロコモ度1:移動機能の低下が始まっている状態
- ロコモ度2:移動機能の低下が進行している状態
- ロコモ度3:移動機能の低下が進行し、社会参加に支障をきたしている状態
参考データ
日本整形外科学会によると、ロコモティブシンドローム(ロコモ度1以上)に該当するのは、40代以上の日本人で約4,590万人と推計されています。また厚生労働省「2025年(令和7年)国民生活基礎調査」では、介護が必要となった主な原因のうち「高齢による衰弱」(15.6%)・「骨折・転倒」(14.6%)・「関節疾患」(9.1%)を合わせると約4割を占めており、運動器の衰えは介護と強く結びついています。(参考:日本整形外科学会、厚生労働省「2025年 国民生活基礎調査」)
ロコモになる主な3つの原因
① 骨の問題(骨粗しょう症・骨折)
骨密度の低下によって骨が脆くなると、軽い転倒でも骨折しやすくなります。特に脊椎(背骨)の圧迫骨折・大腿骨頸部骨折は、移動機能を大幅に低下させ、ロコモ・要介護状態の直接の原因になります。
② 筋肉の問題(サルコペニア・筋力低下)
加齢とともに筋肉量が低下する「サルコペニア」は、ロコモの最も主要な原因のひとつです。太もも・お尻・体幹の筋力低下は立つ・歩く・バランスを保つという基本動作を困難にします。
③ 関節の問題(変形性膝関節症・変形性股関節症)
関節の軟骨がすり減り、骨同士が接触することで痛み・変形が生じます。膝関節・股関節の変形は歩行時の痛みを引き起こし、活動量の低下→さらなる筋力低下という悪循環につながります。

ロコモ度チェック(自分で確認できるテスト)
テスト① 立ち上がりテスト
方法:高さの違う台(40・30・20・10cm)に座り、反動をつけずに立ち上がれるかを確認する
- どちらか一方の脚で40cmの台から立ち上がれないが、両脚で20cmの台から立ち上がれる:ロコモ度1
- 両脚で20cmの台から立ち上がれないが、30cmの台から立ち上がれる:ロコモ度2
- 両脚で30cmの台から立ち上がれない:ロコモ度3
ふらつきや痛みが出る場合は無理をせず、すぐに中止してください。転倒の危険があるため、必ず周囲に物がない安全な場所で、ご家族など誰かに見守ってもらいながら行いましょう。
テスト② 2ステップテスト
方法:できる限り大きな2歩を歩き、その距離÷身長を算出する
- 1.3以上:ロコモの心配なし
- 1.1〜1.29:ロコモ度1の可能性
- 0.9〜1.09:ロコモ度2の可能性
- 0.9未満:ロコモ度3の可能性
テスト③ ロコモ25(質問票)
日本整形外科学会が作成した25の質問に答えることで、ロコモの程度を詳しく確認できます。「ロコモチャレンジ!」の公式サイト(日本整形外科学会)で無料で確認できます。
ロコモ予防に効果的な運動「ロコトレ」
日本整形外科学会が推奨する「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」は、片脚立ちとスクワットを中心とした2種目の体操です。
ロコトレ① 片脚立ち(バランス強化)
- 転倒防止のため、必ず壁や手すりの近くで行う
- 片脚を上げて1分間キープ×左右×1日3セット
- 片脚1分が難しい場合は10秒から始める
- 毎日続けることが最重要
ロコトレ② スクワット(下肢筋力強化)
- 両足を肩幅程度に開き、つま先を30度外に向けて立つ
- 膝がつま先よりも前に出ないように気をつけながら、ゆっくりお尻を後ろに引いていく
- お尻が膝の高さになったら3秒キープして元に戻す
- 5〜6回×1日3セット
- 膝が痛い場合は「椅子スクワット(椅子の背もたれを使った立ち座り)」で代替

骨・筋肉・関節を守る食事習慣
骨を守る:カルシウム+ビタミンD
- カルシウム:牛乳・乳製品・小魚・豆腐・小松菜(1日700〜800mg目標)
- ビタミンD:鮭・マグロ・きのこ類・日光浴(カルシウムの吸収を高める)
筋肉を守る:たんぱく質
- 体重1kgあたり1g/日以上を目安に毎食摂る
- 肉・魚・卵・大豆製品を毎食1品入れる
関節を守る:コラーゲン・オメガ3脂肪酸
- コラーゲン:軟骨の材料。鶏手羽元・牛すじ・豚足・ゼラチンなど
- オメガ3脂肪酸:炎症を抑える。青魚(サーモン・サバ・イワシ)を週3回以上
ロコモ予防を日常生活に組み込む習慣化のコツ
「ながら時間」に組み込む
- 歯磨き中に片脚立ち(左右1分ずつ)→毎日自然に2セット確保できる
- テレビを見ながら足踏み・足首回し→座りすぎ解消にもなる
- 電話しながらかかと上げ→「立って電話するルール」を設ける
週間スケジュールに固定する
「月・水・金の朝はロコトレの日」と曜日を固定することで、意思決定が不要になり継続率が高まります。カレンダーやスマホのリマインダーを活用してください。
仲間と一緒に取り組む
まちFitのようなグループレッスンに参加することで「仲間がいるから続けよう」という社会的動機が生まれます。一人でのロコトレと比べて継続率が大幅に向上します。
ロコモ予防と他の疾患予防の相乗効果
ロコモ予防のための運動習慣と栄養改善は、ロコモだけでなく多くの生活習慣病の予防にも同時に貢献します。
- 糖尿病リスク低下:筋肉量増加によって血糖値のコントロールが改善する
- 心臓病・高血圧リスク低下:有酸素運動による心肺機能の改善
- 認知症リスク低下:運動による脳への血流増加・BDNFの分泌促進
- 骨粗しょう症予防:カルシウム・ビタミンD・運動の組み合わせによる骨密度維持
ロコモ予防を「入口」として健康全般の改善を目指すことが、健康寿命延伸への最も効率的なアプローチです。
ロコモ予防・改善に向けた「まちFitでの取り組み」
まちFitのレッスンは、ロコモティブシンドロームの予防・改善に直接役立つ内容で構成されています。
下肢筋力強化(ロコモの主因であるサルコペニア対策)
椅子スクワット・かかと上げ・太もも上げなど、ロコモ予防に最も重要な下半身の筋力を椅子中心のやさしい動きで鍛えます。「膝・腰が痛くても参加できる」という安全設計がロコモ度1・2の方でも参加しやすい理由です。
バランストレーニング(転倒リスクの低減)
片足立ち・重心移動・ステップ運動などのバランス系トレーニングを取り入れ、ロコモと密接に関わる転倒リスクの低減を図ります。壁・椅子に手を添えた状態で行うため、バランスに自信がない方でも安全です。
整形外科・地域医療との連携
「かかりつけの整形外科からまちFitを紹介された」という会員様も多くいらっしゃいます。ロコモの診断を受けた方・変形性膝関節症の方・骨粗しょう症の方など、医療機関での治療と並行してまちFitに通われているケースも増えています。
よくある質問(FAQ)
- ロコモとフレイルはどう違いますか?
-
ロコモは「運動器(骨・筋肉・関節)の問題による移動機能の低下」に特化した概念で、主に整形外科的な視点から定義されています。フレイルは「身体・精神・社会的な機能の低下した虚弱状態」を広く指す概念で、ロコモはフレイルの身体的側面の一部と考えることができます。
- ロコモと診断されたらどうすればいいですか?
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まず整形外科に相談することをおすすめします。ロコモの程度・原因(骨粗しょう症・サルコペニア・変形性関節症のどれが主因か)を診断してもらい、適切な治療・リハビリ・運動指導を受けてください。
- ロコモは完全に予防できますか?
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加齢による運動器の変化を完全に止めることはできませんが、進行を大幅に遅らせることは十分に可能です。60代から「ロコトレ+たんぱく質・カルシウム摂取」を習慣にすることで、70代・80代でも移動機能を高いレベルで維持できる可能性があります。
参考にした主なデータ・指針
- 日本整形外科学会「ロコモ度を判定する『臨床判断値』に『ロコモ度3』を追加」(40代以上の日本人 約4,590万人が該当) https://www.joa.or.jp/media/comment/pdf/20200911_clinical_judgment_value.pdf
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」(介護が必要となった主な原因:高齢による衰弱15.6%/骨折・転倒14.6%/関節疾患9.1%) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/index.html
- ロコモONLINE(日本整形外科学会 公式ロコモ予防啓発サイト) https://locomo-joa.jp/
まとめ|ロコモ予防は「骨・筋肉・関節」の総合的なケアから
ロコモティブシンドロームは、骨・筋肉・関節という「移動のための3つの柱」が複合的に低下することで起こります。片脚立ち・スクワットを中心としたロコトレと、カルシウム・たんぱく質・ビタミンDを意識した食事習慣を組み合わせることで、予防・改善が期待できます。
今日から始めるロコモ予防:
- 歯磨き中に片脚立ち(左右1分ずつ)
- 椅子スクワット(立ち座り)を1日5〜10回
- 毎食にたんぱく質とカルシウムを1品追加
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