高齢者の足が上がらない原因|つまずき・転倒を防ぐシニアの対策

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まちFit
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東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
「最近、平らな場所でつまずくことが増えた」「階段で足が思うように上がらない」——そんな変化に、ご本人やご家族が不安を感じることがあります。高齢者の足が上がらない原因の多くは、加齢にともなう足腰の筋力低下や、ロコモティブシンドローム、サルコペニアといった運動器の衰えが背景にあります。放っておくとつまずきや転倒につながりやすく、転倒予防の観点からも早めのケアが大切です。
この記事では、まちFit編集部監修のもと、高齢者の足が上がらない原因をやさしく整理し、ご自宅でできる対策や、医療機関に相談したい受診の目安までまとめてご紹介します。無理なく続けられる運動習慣で、いつまでも自立した生活と体力維持を目指していきましょう。
高齢者の足が上がらない原因とは?体の変化を知ろう
足が上がらないと感じる背景には、いくつかの体の変化が重なっています。ここでは、高齢者の足が上がらない原因として代表的な、筋力低下・運動器の衰え・関節や姿勢の変化について順に見ていきます。原因を知ることは、ご自身に合った対策や介護予防への第一歩になります。
太ももを持ち上げる筋肉(腸腰筋)の衰え
足を前に振り出したり、階段で太ももを引き上げたりするときに働くのが、股関節の奥にある腸腰筋(ちょうようきん)という筋肉です。加齢や運動不足によってこの筋肉が衰えると、足を持ち上げる動きが小さくなり、すり足になりやすくなります。すると、わずかな段差でもつま先が引っかかりやすくなります。
あわせて、すねの前側にある前脛骨筋(ぜんけいこつきん)が弱ると、つま先を持ち上げる力が落ちます。歩くときにつま先が下がったままになり、平らな床でもつまずく一因になります。足が上がらないと感じたら、まずはこうした足腰の筋力低下を疑ってみましょう。足腰が衰える仕組みは、次の記事でもくわしく紹介しています。

ロコモティブシンドロームやサルコペニアとの関係
運動器(骨・関節・筋肉・神経など)の働きが低下し、立つ・歩くといった移動機能が衰えた状態を、ロコモティブシンドローム(ロコモ)といいます。日本整形外科学会は、運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態と説明しています。足が上がらない、歩くのが遅くなったといった変化は、ロコモティブシンドロームのサインの一つと考えられます。
また、加齢によって全身の筋肉量や筋力が落ちていく状態はサルコペニアと呼ばれます。サルコペニアが進むと足腰の力が弱まり、フレイル(心身の活力が低下した状態)にもつながりやすくなります。ロコモティブシンドロームやサルコペニアは、早めに気づいて運動と栄養で対策することが、フレイル予防の面でも大切です。


関節の痛みや姿勢の変化による影響
膝や股関節に痛みがあると、痛みをかばう動きが習慣になり、足を大きく上げにくくなります。関節の変形や、背中が丸くなる姿勢の変化も、重心のバランスを崩して足の運びに影響します。痛みが強いときは無理をせず、専門家に相談しながら体を動かすことが、足腰の状態を守るうえで大切です。
足が上がらないと起こりやすいこと|つまずき・転倒の連鎖
足が上がらない状態を放っておくと、日常生活にさまざまな影響が広がります。ここでは、つまずきや転倒から始まる悪循環と、外出を控えることで進みやすいフレイルについて解説します。転倒予防の大切さを知る手がかりにしてください。
つまずき・転倒から骨折、そして要介護へ
つま先が上がりにくいと、段差やじゅうたんのふち、電気コードなどでつまずきやすくなります。高齢の方の転倒は、手や足の付け根の骨折につながることがあり、その後の入院や安静で一気に筋力が落ちてしまうことも少なくありません。骨折や転倒をきっかけに自立した生活が難しくなる場合もあるため、転倒予防は介護予防の大切な柱です。

外出を控えることで進むフレイルの悪循環
「また転ぶかもしれない」という不安から外出を控えると、歩く機会が減り、足腰の筋力低下がさらに進みます。活動量が減ると食欲も落ちやすく、筋肉の材料となる栄養も不足しがちです。こうしてフレイルが進む悪循環に入る前に、できる範囲で体を動かし、体力維持を心がけることが、健康寿命を延ばすうえで役立ちます。フレイルの詳しい知識は、次の記事も参考にしてください。

医療機関に相談したい受診の目安|こんなサインは早めに
足が上がらない原因の多くは筋力低下ですが、なかには早めの受診がすすめられる場合もあります。次のようなサインがあるときは、自己判断で様子を見ず、かかりつけ医や整形外科・神経内科などの医療機関にご相談ください。
- 片方の足だけが急に上がらなくなった、力が入らない
- 足のしびれや強い痛み、感覚の鈍さをともなう
- 転びやすさが短期間で急に進んだ
- ろれつが回りにくい、手も動かしにくいなど、ほかの症状もある
- 安静にしても改善せず、日常生活に支障が出ている
これらは体からの大切なサインです。運動を始める前にも、持病がある方や不安のある方は、一度専門家に相談しておくと、安心して取り組めます。
自宅でできる足が上がらない対策|シニア向け簡単運動
ここからは、足を上げる力を育てるために、ご自宅で無理なくできる運動を紹介します。痛みのない範囲で、椅子や壁を支えにして安全に行いましょう。毎日少しずつ続けることが、転倒予防と体力維持につながります。
太ももを引き上げるもも上げ運動(腸腰筋)
椅子に浅く腰かけ、背すじを軽く伸ばします。片方の太ももを、おへその方へ引き上げるイメージでゆっくり持ち上げ、2〜3秒キープしてから下ろします。左右交互に10回ずつを目安に、呼吸を止めずに行いましょう。足を前に振り出す腸腰筋を目覚めさせることで、すり足の改善に役立ちます。
つま先上げと足首回しで前すねを整える
椅子に座ったまま、かかとを床につけてつま先だけを持ち上げます。すねの前側に軽く力が入るのを感じながら、ゆっくり10〜15回。続けて足首を大きく内回し・外回しします。つま先を持ち上げる前脛骨筋を鍛えると、歩行時につま先が引っかかりにくくなり、つまずきの予防につながります。
かかと上げ・浅いスクワットで足腰の土台づくり
壁や椅子の背に手を添え、両足のかかとをゆっくり上げ下げします。ふくらはぎと足首が働き、歩く力の土台になります。余裕があれば、椅子から立ち座りを繰り返す浅いスクワットもおすすめです。太ももやお尻の大きな筋肉を使うことで、サルコペニア対策や体力維持につながります。無理はせず、痛みが出たら中止してください。より詳しい足腰トレーニングは、次の記事にまとめています。

運動を続けるコツと毎日の習慣|歩数・栄養・睡眠
足が上がらない状態を防ぐには、特別な運動よりも「続けられること」が何より大切です。ここでは、国の指針も参考にしながら、日常に取り入れやすい歩数の目安や、筋肉を守る栄養・睡眠の工夫を紹介します。
身体活動の目安は「1日約6,000歩」+多要素な運動
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート:高齢者版では、「歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)」とされています。あわせて「筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を、週3日以上行うことを推奨する」「筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨する(多要素な運動に含めてもよい)」とも示されています。いきなり達成しようとせず、今より少し多く歩くことから始めましょう。座りっぱなしの時間を短くする工夫も、フレイル予防に役立ちます。
同じ推奨シートには「特に身体機能が低下している高齢者については、安全に配慮し、転倒等に注意する」とも明記されています。足が上がらないと感じている段階では、歩数を増やすことよりも、安全な環境で足腰の筋力低下を補う運動を選ぶことが先になります。手すりや椅子のある場所で行う、疲れている日は量を減らすなど、転倒予防を最優先に組み立てましょう。

たんぱく質と睡眠で筋肉を守る
筋肉を維持するには、運動だけでなく材料となる栄養も欠かせません。肉・魚・卵・大豆・乳製品などのたんぱく質を、3食に分けてバランスよくとることを意識しましょう。また、睡眠中には体の回復が進みます。夜ぐっすり眠れる生活リズムを整えることも、筋力低下を防ぎ、自立した生活を続けるうえで大切です。運動・栄養・休養の三つをそろえて、介護予防と健康寿命の延伸を目指しましょう。
よくある質問
- 高齢者の足が上がらない原因で最も多いものは何ですか?
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最も多いのは、加齢や運動不足による足腰の筋力低下です。特に足を持ち上げる腸腰筋や、つま先を上げる前脛骨筋が衰えると、すり足になりつまずきやすくなります。ロコモティブシンドロームやサルコペニアが背景にあることもあります。
- 足が上がらないのは何歳ごろから気をつければよいですか?
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筋力には個人差がありますが、一般に60代ごろから足腰の衰えを感じる方が増えます。40代・50代でも運動習慣が少ないと早めに現れることがあります。年齢にかかわらず、気づいたときから体力維持を意識することが大切です。
- 運動をすれば足が上がりやすくなりますか?
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筋力は何歳からでも育てられるとされ、継続的な運動で足を上げる力の維持・向上が期待できます。ただし変化のあらわれ方には個人差があり、短期間で変わるものではありません。痛みや持病がある場合は、専門家に相談しながら無理なく続けましょう。
- 足が上がらないとき、避けたほうがよいことはありますか?
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転倒が心配だからと動かずにいると、かえって筋力低下が進み悪循環になりがちです。一方で、痛みを我慢して無理に運動するのも避けましょう。安全な環境で、椅子や壁を支えにしながら、痛みのない範囲で少しずつ体を動かすことが大切です。
- どんなときに病院を受診したほうがよいですか?
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片方の足だけ急に上がらない、しびれや強い痛みをともなう、短期間で急に転びやすくなった、といった場合は、自己判断せず整形外科や神経内科などの医療機関にご相談ください。ほかの体の異変があるときも、早めの受診がすすめられます。
- 自宅での運動とスタジオで運動するのは何が違いますか?
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自宅運動は手軽に続けやすい一方、正しい姿勢や強さが分かりにくいことがあります。スタジオなどでは、体力に合わせた運動を安全に行いやすく、続けるきっかけにもなります。ご自身の状態や目的に合わせて組み合わせるとよいでしょう。
参考にした主なデータ・指針
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート:高齢者版(高齢者の推奨事項「歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上に相当)」「多要素な運動を週3日以上」「筋力トレーニングを週2〜3日」「身体機能が低下している高齢者は転倒等に注意する」を引用)
- 日本整形外科学会 ロコモONLINE「ロコモを知ろう」(ロコモティブシンドロームの定義と、運動器の衰えに関する記述を引用)
まとめ|足が上がらない変化は、早めのケアで前向きに
高齢者の足が上がらない原因の多くは、腸腰筋や前脛骨筋などの足腰の筋力低下や、ロコモティブシンドローム・サルコペニアといった運動器の衰えです。つまずきや転倒を防ぐためにも、椅子でのもも上げやつま先上げなど、ご自宅でできる運動を少しずつ続けていきましょう。片側だけ急に上がらない、しびれをともなうといった場合は、医療機関への相談も忘れずに。運動・栄養・休養を整え、介護予防と健康寿命の延伸、自立した生活を目指していきましょう。
今日から始める足腰ケアの習慣:
- 椅子でのもも上げ・つま先上げを毎日少しずつ行う
- 「1日約6,000歩以上に相当」を目安に、今より少し多く歩く
- たんぱく質を3食に分けてしっかりとる
- 気になるサインがあれば、早めに医療機関へ相談する
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