シニアの微熱が続く原因|60代・高齢者の受診の目安と対処法

ひざ掛けをかけてソファに座り、体温計を見ながらメモをとる60代女性(微熱が続くときの体温チェックのイメージ)

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まちFit
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東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。

「37度ちょっとの熱が何日も下がらない」「熱は高くないのに、なんとなくだるくて食欲がない」「親が微熱続きだけれど、病院に連れて行くべきか迷う」――60代・70代になると、こうした微熱にかかわる心配も出てきます。微熱が続くと、様子を見てよいのか受診したほうがよいのか、判断に迷うものです。

実は、シニア・高齢者の微熱は「熱が低いから軽い」とは限りません。健康長寿ネットは、高齢者は一般的に平熱が低めで熱が出にくく、通常であれば高熱が出るような病気でも熱が出ない場合があるとしています。厚生労働省の結核・呼吸器感染症予防週間のリーフレットも、結核の症状(咳、たん、微熱、体のだるさなど)は特に高齢者では気づかないうちに進行してしまうことがあるとして、微熱や体のだるさが続く場合は早めに医療機関を受診するよう呼びかけています。

この記事では、最初に「すぐに救急車を呼びたいサイン」を確認し、そのあとで微熱の考え方、高齢者に多い原因、自宅で気をつけたいこと、受診の目安と医師に伝えたいことを、長寿科学振興財団(健康長寿ネット)、MSDマニュアル家庭版、厚生労働省の情報をもとに、まちFit編集部監修のもとで整理しました。離れて暮らす親の体調が気になるご家族にも役立つ内容です。

目次

先に確認|微熱でも、すぐに救急車を呼びたいサイン

微熱が続くだけで、あわてて救急車を呼ぶ必要があることは多くありません。ただし、熱と一緒に次のような症状があるときは別です。厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」は、高齢者で「このような症状の時はすぐに救急車を呼びましょう!」として、次のような症状を挙げています(発熱と一緒に起こりうるものを抜粋)。

  • 突然の激しい頭痛
  • 突然の高熱
  • 急にふらつき、立っていられない
  • 急な息切れ、呼吸困難
  • 突然の激しい腹痛
  • 血を吐く

MSDマニュアル家庭版は、急な発熱がある人で注意が必要な「警戒すべき徴候」として、次のようなものを挙げています(抜粋)。

  • 混乱などの精神機能の変化
  • 頭痛や項部の硬直、またはその両方
  • 皮膚の平らで小さな赤紫色の斑点(点状出血)
  • 低血圧
  • 心拍数や呼吸数の増加
  • 息切れ(呼吸困難)
  • 40℃を超える、または35℃を下回る体温

同マニュアルは「警戒すべき徴候がみられる人は、直ちに医療機関を受診するべきです。」としています。「項部の硬直」は首の後ろがこわばって前に曲げにくい状態のことです。いつもと比べて話のつじつまが合わない、呼びかけへの反応が鈍いといった変化も、熱の高さにかかわらず見逃さないようにしましょう。

シニア・高齢者の微熱とは?「何度か」より「平熱との差」で見る

何度からが「熱」?体温は1日のなかでも変わる

健康長寿ネットは「発熱とは、感染症法では37.5度以上を発熱、38.0度以上を高熱と定めていますが、大切なのは普段と比べて高いかどうかです。1日の中で体温は変化をしていて、最大で1度の違いがあります。」と説明しています。この記事では、38度に届かない程度の熱を「微熱」と呼んで話を進めます。

同ネットは「熱はほかの人と比較することは意味がなく、その人の同じ条件で比較するのが理想です。」とし、食事の前と後だけでも体温は変わり、測る場所が違えば体温も異なるとしています。MSDマニュアル家庭版も、体温は早朝で最も低く、夕方に最も高くなって37.7℃前後まで上がることもあると説明しています。夕方に37度台前半の体温が出ても、それだけで「熱がある」とは言い切れません。

60代からは、元気なときにも、朝起きたときと夕方など決まった時間に、同じ場所(わきの下など)で測っておくと、自分の平熱がわかり、「いつもより高い」という変化に気づきやすくなります。

高齢者は熱が出にくい。微熱でも油断しない

健康長寿ネットは「高齢者は筋肉量も少なく、一般的に平熱は低めで熱が出にくくなります。また、通常であれば高熱が出るような病気でも、体温調節が適切に働かず熱が出ない場合もあります。」としています。

MSDマニュアル家庭版も、虚弱な高齢者では感染症によって発熱しにくい傾向があり、体温が上昇した場合でも標準的な発熱の定義よりも低く、発熱の程度が病気の重症度と一致しないことがあるとしています。痛みなどの他の症状も現れにくく、多くの場合、肺炎や尿路感染症の最初の徴候は、発熱以外では精神機能の変化や日常機能の低下のみであったりするとしています。一方で、発熱のある高齢者は、発熱のある他の成人よりも重篤な細菌感染症にかかっている傾向があるとしています。

つまりシニア世代では、「37度台だから大丈夫」ではなく、平熱より高い状態が続いていないか、そして熱以外の様子がいつもと違わないかをあわせて見ることが大切です。

熱以外のサインにも目を向ける

健康長寿ネットは、発熱しても症状をうまく表現できない人では「なんとなく元気がなかったり、寝ている時間が多くなる、食事の量が減る、立ち上がるときにいつも以上に手助けがいる、といったことで気づかれる場合もあります。」としています。ご家族が様子を見るときは、体温計の数字だけでなく、次のような変化にも気を配りましょう。

  • なんとなく元気がない、口数が少ない
  • 寝ている時間が多くなった
  • 食事の量が減った、水分をあまりとらない
  • 立ち上がりや歩くときに、いつもより手助けがいる

食事の量が減っているときの原因や対策は、次の記事で詳しく紹介しています。

「熱がこもっている」だけのこともある

健康長寿ネットは、体を触ると熱いときでも、高齢者は熱の発散がうまくできないことがあるので、服を着せすぎていないか、布団をかけすぎていないか、部屋の温度はどうか、暖房の風が直接当たっていないか、直射日光に当たっていないかなどを見直すよう勧めています。そのうえで「これらの環境を改善しても体温が上がっていれば発熱と考えましょう。」としています。

暑い時期や、暖房の効いた部屋で体温が上がっているときは、熱中症も考えられます。MSDマニュアル家庭版は、感染などによって体温の設定がリセットされて起こる発熱と区別して、設定体温のリセットによらない体温上昇を「高体温症」と呼んでいます。暑さによる体温の上昇を防ぐ工夫は、次の記事をご覧ください。

60代・高齢者の微熱が続くときに考えられる主な原因

MSDマニュアル家庭版は、発熱を引き起こす病気を大きく「感染性(最も一般的)」「腫瘍性(がん)」「炎症性(自己免疫疾患、アレルギー反応、一部の薬物反応を含む)」に分けています。そのうえで、発熱が4日以内に治まった成人では感染が原因である可能性が非常に高い一方、感染以外の原因がある場合は、より長く発熱が続く、あるいは再発する可能性が高くなるとしています。健康長寿ネットも「高齢者の発熱で多いのは感染症です。」としたうえで、膠原病やがんでも熱が出るとしています。ここでは、シニア世代で知っておきたい原因を順に見ていきます。

肺炎・尿路感染症などの感染症

MSDマニュアル家庭版は、高齢者でも一般的な発熱の原因は呼吸器または尿路の感染症で、皮膚や軟部組織の感染症も発熱の原因としてよくみられるとしています。また、高齢者ではインフルエンザやCOVID-19、RSウイルスなど、呼吸器ウイルス感染症の重篤な症状が現れる可能性が高くなるとしています。

飲み込む力が弱くなると、食べ物や唾液が気管に入って起こる「嚥下性肺炎(誤嚥性肺炎)」にも注意が必要です。健康長寿ネットは、嚥下性肺炎について「特に38℃の熱や、長期に続く熱は肺炎の可能性があります。また1日の中で同じ時間に熱が出る場合は誤嚥に関連した熱を疑います。」としています。さらに、高齢者の場合は発熱・咳・痰の症状が揃わないことはよくあり、栄養が少なかったり体が弱っているときには重症の肺炎であっても熱が出ないこともあるとしています。食事中にむせることが増えたと感じたら、次の記事も参考にしてください。

結核・非結核性抗酸菌症(NTM症)

微熱が長く続くときに、60代以上のシニア世代で忘れずにおきたいのが結核です。厚生労働省は「新登録結核患者は、高齢者に多く、およそ6割が60歳以上となっています。」としています。厚生労働省の結核・呼吸器感染症予防週間のリーフレットは、結核の症状(咳、たん、微熱、体のだるさなど)には特徴的なものがなく、初期には目立たないことが多いため、特に高齢者では気づかないうちに進行してしまうことがあるとし、「咳やたんが2週間以上続いたり、微熱や体のだるさが続いたりする場合は、早めに医療機関を受診しましょう。」と呼びかけています。

同リーフレットは、結核とは異なり一般的には人から人へうつることのない「NTM症(非結核性抗酸菌症)」でも、咳や痰が長く続くなどの呼吸器症状とともに、微熱や体重減少などの全身症状がみられることがあるとしています。MSDマニュアル家庭版も、繰り返す発熱、寝汗、体重減少がみられる人では、結核や心内膜炎などの慢性感染症が起こることがあるとしています。咳が長引くときの受診の目安は、次の記事で詳しく紹介しています。

脱水

健康長寿ネットの「脱水症」のページは、脱水になると自覚症状として口の渇きや体のだるさ、立ちくらみなどを訴えることが多く、皮膚や口唇、舌の乾燥、皮膚の弾力性低下、微熱などが起こるとしています。高齢者は「口渇中枢の感受性低下によりのどが渇きにくくなり、水分補給が減少します。」とし、トイレを気にして水分を我慢することも脱水の原因になるとしています。一方で、軽度の脱水では症状が明らかになりにくいのも高齢者の特徴だとしています。

膠原病などの炎症の病気・がん

健康長寿ネットは「そのほかに膠原病でも熱が出ます。」とし、代表的な膠原病として慢性関節リウマチを挙げています。また「がんでも熱が出ます。」としています。MSDマニュアル家庭版は、発熱を引き起こす炎症性疾患として、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、巨細胞性動脈炎などの全身性リウマチ性疾患を挙げ、発熱を引き起こすがんの例として白血病、リンパ腫、腎臓がんなどを挙げています。

同マニュアルは、検査をしても原因がわからない長引く発熱(不明熱)について、高齢者で最も一般的な原因は巨細胞性動脈炎、リンパ腫、膿瘍、結核だとしています。どれも自分で見分けられるものではないので、微熱が続くときは受診して調べてもらうことが大切です。

お薬が原因の発熱

MSDマニュアル家庭版は、ときには薬剤が発熱を引き起こすこともあるとし、例としてベータラクタム系抗菌薬(ペニシリンなど)やサルファ剤を挙げています。新しい薬を飲み始めてから熱が出るようになったときは、自己判断で薬をやめずに、お薬手帳を持って処方した医師や薬剤師に相談しましょう。

原因がわからないことも少なくない

健康長寿ネットは、原因不明の発熱を詳しく調べたところ、感染症、膠原病、悪性腫瘍が主な原因だった一方で「原因がわからないことも少なくありません」としています。3週間以上熱が続くなどの条件を満たす「不明熱」については、辛抱強く検査を繰り返すと後から原因がわかることもあるものの「現代の医学でも3割程度は原因がわかりません」としています。原因を自分で突き止めようとするより、「いつから」「何度くらい」「ほかにどんな症状があるか」を記録して、医師に正しく伝えることを優先しましょう。

微熱が続くときの対処法|自宅で気をつけたいこと

微熱が続くときの対処法の基本は、熱を無理に下げることではなく、脱水を防いで体を休めながら、受診のタイミングを見極めることです。

解熱剤で熱を下げて、様子を見続けない

健康長寿ネットは、発熱の治療の原則はきちんと原因を判明させてから原因にあった治療を行うことだとし、「熱が出たからと言って、安易に解熱剤を使用するのは原因をわかりにくくしてしまうのでおすすめできません。できる限り受診を優先させましょう。」としています。市販薬で熱を下げて「下がったから大丈夫」と様子を見続けるのではなく、続く微熱は受診して原因を確かめることが大切です。

MSDマニュアル家庭版は、かぜやインフルエンザの市販薬の多くはアセトアミノフェンを含んでいるため、アセトアミノフェンとこうした市販薬を同時に使用しないよう注意が必要だとしています。解熱剤を使うときは、医師や薬剤師の指示と、容器に表示されている用法を守りましょう。

脱水を防ぐ。こまめに「ちょこちょこ」飲む

健康長寿ネットは、発熱のときに「最も気をつけるのは脱水です。」とし、水分が足りないと汗もかけず、尿に熱を捨てることもできなくなり、さらに熱がこもりやすくなると説明しています。そのうえで「一度にたくさん飲ませるのではなくこまめにちょこちょこと飲ませるのポイントです。」としています。

同ネットは、汗をかいているときには経口補水液など少し塩分が含まれているものをとるよう勧める一方、経口補水液には500mlで1.5g程度の塩分が含まれているため、塩分制限を指示されている人は摂りすぎに注意が必要だとしています。心臓や腎臓の病気などで水分や塩分の量に指示を受けている方は、かかりつけ医の指示を優先してください。日々の水分のとり方は、次の記事を参考にしてください。

寒気がするときは温め、熱いときは足の付け根やわきの下を冷やす

健康長寿ネットは、熱が出るときに寒気があらわれる場合は布団をかけたり温めてもかまわず、逆に熱が出きって熱いときには気持ちいい程度に冷やすよう勧めています。そのうえで「頭を冷やすのは気持ちいいですが、体を冷やす効果はあまりありません。体温を下げるためには太い血管が体の表面の近くにある鼠径(そけい:足の付け根の部分)や脇の下を冷やすとよいでしょう。」としています。

なおMSDマニュアル家庭版は、消毒用アルコールをタオルなどで皮膚に塗る民間療法について、皮膚からアルコールが吸収されて有害な影響が生じる可能性があるため、やってはいけないとしています。

体温と様子をメモしておく

微熱が続くときは、次のようなことをメモしておくと、受診のときに役立ちます。熱があるうちは無理に外出や運動をせず、体を休めましょう。

  • 朝・夕など、測った時間ごとの体温(ふだんの平熱も)
  • 熱がいつから、何日くらい続いているか
  • 咳・たん、のどの痛み、尿の回数や排尿時の痛み、だるさ、食欲など、熱以外の症状
  • 食事や水分がとれているか
  • 飲んでいる薬(お薬手帳)と、最近飲み始めた薬

微熱が続くときの受診の目安と、医師に伝えたいこと

こんなときは早めに受診を

健康長寿ネットは「受診の目安は38度以上の熱、38度未満であるが3日以上続く熱、そのほか水分が摂れないとき、熱以外の症状が重篤な場合(ぐったりして反応が鈍い、寝られないほどの咳、尿が出ないなど)です。」としています。MSDマニュアル家庭版は、発熱が24~48時間以上続く場合は、警戒すべき徴候がみられなくても医師に電話するべきで、発熱が3~4日を超えて継続する場合は、通常は他の症状の有無を問わず医師の診察を受ける必要があるとしています。これらをもとに、次のような場合はかかりつけ医に相談しましょう。

  • 38度未満の微熱でも、3日以上続いている
  • 水分がとれない、尿が出ない
  • ぐったりして反応が鈍い、寝られないほどの咳がある
  • 咳やたんが2週間以上続く、微熱や体のだるさが続く(結核などの可能性)
  • 熱が下がってもまた出る、寝汗や体重減少がある
  • 新しい薬を飲み始めてから熱が出るようになった

健康長寿ネットは「熱だけを目安にせず、全身の状態を観察して変化があれば病院を受診しましょう。」としています。冒頭の「すぐに救急車を呼びたいサイン」があるときは、救急を優先してください。

受診のときに伝えたいこと

MSDマニュアル家庭版は、発熱で受診すると、医師は現在および過去の症状や病気、服用中の薬、感染症をもつ人との接触、最近の旅行、ワクチン接種、最近の入院や手術などについて尋ねるとしています。痛みのある場所や、鼻水・咳・下痢・排尿の症状(頻尿、尿意切迫感、排尿時の痛み)があるかも原因を絞り込む手がかりになるとしています。高齢者では、尿検査(尿培養検査を含む)と胸部X線検査が通常推奨されるとしています。

上で紹介したメモと、お薬手帳を持って受診しましょう。本人がうまく説明できないときは、ご家族が「いつもと違う様子」(食事の量、寝ている時間、受け答えなど)を伝えると役立ちます。

ふだんからできる備え

厚生労働省の結核・呼吸器感染症予防週間のリーフレットは、呼吸器感染症対策の基本は「手洗い」や「マスクの着用を含む咳エチケット」だとしています。また、新型コロナウイルス感染症、季節性インフルエンザ、肺炎球菌感染症のワクチンについては、症状が重くなりやすい高齢の方や一定の基礎疾患(持病)のある方を対象に定期接種を実施しているとし、詳細はお住まいの市区町村に確認するよう案内しています。結核については、定期的に、胸部エックス線検査を含む健康診断を受けることが重要だとしています。

食事や睡眠、運動など、毎日の生活で体の調子を整える習慣については、次の記事でまとめています。

よくある質問

微熱について、よくいただく質問をまとめました。

微熱は何度からですか?

健康長寿ネットは、感染症法では37.5度以上を発熱、38.0度以上を高熱と定めているものの、大切なのは普段と比べて高いかどうかだとしています。体温は1日の中で最大で1度変化するため、朝・夕など決まった時間に同じ場所で測り、自分の平熱と比べることが大切です。

高齢者は熱が出にくいと聞きました。微熱でも受診したほうがよいですか?

健康長寿ネットは、高齢者は一般的に平熱が低めで熱が出にくく、通常であれば高熱が出るような病気でも熱が出ない場合があるとしています。MSDマニュアル家庭版も、高齢者では発熱の程度が病気の重症度と一致しないことがあるとしています。熱の高さだけで判断せず、元気がない、食事の量が減ったなど全身の状態に変化があれば受診しましょう。

微熱が何日続いたら受診すればよいですか?

健康長寿ネットは、38度未満であるが3日以上続く熱を受診の目安に挙げています。MSDマニュアル家庭版は、発熱が24~48時間以上続く場合は警戒すべき徴候がなくても医師に電話し、3~4日を超えて続く場合は通常は医師の診察を受ける必要があるとしています。厚生労働省のリーフレットも、微熱や体のだるさが続く場合は早めに医療機関を受診するよう呼びかけています。

微熱が続くのは結核のこともありますか?

あります。厚生労働省は、新登録結核患者は高齢者に多く、およそ6割が60歳以上だとしています。結核の症状(咳、たん、微熱、体のだるさなど)には特徴的なものがなく、特に高齢者では気づかないうちに進行してしまうことがあるため、咳やたんが2週間以上続いたり、微熱や体のだるさが続いたりする場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

市販の解熱剤で熱を下げて様子を見てもよいですか?

健康長寿ネットは、熱が出たからといって安易に解熱剤を使用するのは原因をわかりにくくしてしまうのでおすすめできず、できる限り受診を優先するよう勧めています。また、MSDマニュアル家庭版は、かぜ薬の多くにアセトアミノフェンが含まれているため、解熱剤と同時に使用しないよう注意が必要だとしています。

微熱があるときの対処法は?家ではどう過ごせばよいですか?

健康長寿ネットは、発熱のときに最も気をつけるのは脱水だとし、一度にたくさんではなく、こまめにちょこちょこと水分をとることを勧めています。寒気がするときは温め、熱いときは頭よりも、太い血管のある足の付け根(鼠径部)やわきの下を冷やすとよいとしています。塩分制限のある方は、経口補水液の塩分にも注意しましょう。

参考にした主なデータ・指針

  • 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「発熱」(感染症法の発熱・高熱の基準と普段と比べることの大切さ、1日の体温変化、同じ条件で比べること、発熱の症状と気づき方、熱がこもる環境の見直し、高齢者の発熱で多いのは感染症であること、膠原病・がんでも熱が出ること、原因がわからないことも少なくないこと・不明熱、安易に解熱剤を使用しないこと、寒気と冷やし方、脱水への注意と経口補水液の塩分、受診の目安、高齢者は平熱が低めで熱が出にくいことを引用)
  • MSDマニュアル家庭版「成人にみられる発熱」(高体温症との違い、1日の体温変化、発熱の原因の3分類と急性の発熱は感染が原因の可能性が高いこと、炎症性疾患・がん・薬剤による発熱の例、警戒すべき徴候と受診のタイミング、医師が尋ねること、繰り返す発熱・寝汗・体重減少と慢性感染症、高齢者の不明熱の原因、アセトアミノフェンを含む市販薬の併用注意、消毒用アルコールの民間療法、高齢者での重要事項を引用)
  • 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」(上手な医療のかかり方)(高齢者ですぐに救急車を呼ぶべき症状を抜粋して引用)
  • 厚生労働省「結核」(新登録結核患者は高齢者に多くおよそ6割が60歳以上であることを引用)
  • 厚生労働省 結核・呼吸器感染症予防週間リーフレット(結核・呼吸器感染症・NTM症に関するQ&A、PDF)(結核の症状は特徴的でなく高齢者では気づかないうちに進行すること、咳やたんが2週間以上続いたり微熱や体のだるさが続いたりする場合は早めに受診すること、胸部エックス線検査を含む健康診断、手洗いと咳エチケット、高齢者などを対象とした定期接種、NTM症で微熱や体重減少がみられることを引用)
  • 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「嚥下性肺炎の症状」(38℃の熱や長期に続く熱は肺炎の可能性があること、1日の中で同じ時間に熱が出る場合は誤嚥に関連した熱を疑うこと、高齢者では症状が揃わず重症の肺炎でも熱が出ないことがあることを引用)
  • 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「脱水症」(脱水の症状に微熱があること、高齢者は口渇中枢の感受性低下によりのどが渇きにくくなること、トイレを気にして水分を我慢すること、軽度の脱水では症状が明らかになりにくいことを引用)

まとめ|微熱は「数字」より「平熱との差」「続く日数」「いつもとの違い」で見る

シニア・高齢者は熱が出にくく、重い病気でも微熱やだるさしか出ないことがあります。微熱が続くときは、37.5度という数字だけでなく、ふだんの平熱と比べて高いか、何日続いているか、食事や元気など熱以外の様子がいつもと違わないかをあわせて見ることが大切です。38度未満でも3日以上続く、水分がとれない、咳やたん・微熱・だるさが長引くといったときは、解熱剤で様子を見続けずに早めに受診しましょう。

今日からできる、微熱への備え:

  • 60代になったら、朝・夕など決まった時間に同じ場所で測り、自分の平熱を知っておく
  • 熱があるときは、こまめに「ちょこちょこ」水分をとる
  • 体温・続いた日数・熱以外の症状・飲んでいる薬をメモしておく
  • 38度未満でも3日以上続く微熱は、様子見をやめて相談する
  • 咳やたん、微熱、だるさが長引くときは結核なども考えて早めに受診する

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この記事はまちFit編集部監修のもと、公的機関や学会、専門家の解説などが公開する情報を参照して作成しています。内容は一般的な健康情報の整理であり、特定の効果を保証するものではありません。

本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とする医療行為に代わるものではありません。微熱やだるさなどの症状が続く場合や、気になる体調の変化がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。服用中の薬については、医師や薬剤師にご相談ください。緊急性が高いと感じたときは迷わず119番に通報してください。

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