シニアの頻尿・10分おきにトイレが近い原因|60代・高齢者の受診の目安と対処法

ダイニングで湯のみを前にノートへ排尿日誌を書き込む60代女性(頻尿の原因を知るための記録のイメージ)

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東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。

「さっき行ったばかりなのに、10分おきにトイレに行きたくなる」「夜中に何度もトイレに起きて、ぐっすり眠れない」「外出先でトイレが心配で、出かけるのがおっくうになった」――60代・70代になると、こうした頻尿の悩みを抱える方が増えてきます。健康長寿ネットも、頻尿で困っている高齢者は多く、長時間の外出に不安を感じたり、夜間に何度も起きてしまうためにぐっすり眠れなかったりする悩みを抱えていると説明しています。

トイレが近くなる原因は、膀胱炎のような感染症から、過活動膀胱、男性に多い前立腺肥大症、糖尿病などによる尿の量の増加、心の状態まで、さまざまです。この記事では、シニア・高齢者の頻尿について、最初に「すぐに受診したいサイン」を確認し、そのあとで頻尿の目安、10分おきにトイレが近いときに考えられる原因、夜間頻尿、自宅でできる対処法、受診の目安を、日本泌尿器科学会、長寿科学振興財団(健康長寿ネット)などの情報をもとに、まちFit編集部監修のもとで整理しました。ご家族の様子が気になる方にも役立つ内容です。

目次

先に確認|頻尿とともに、すぐに受診したいサイン

トイレが近いだけで、ほかに困った症状がなければ、あわてる必要はありません。ただし、次のような症状をともなう場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください。

尿がまったく出ない(尿閉)

日本泌尿器科学会は、膀胱に尿がたまっているのに、排尿しようと思っても出てこない状態を「尿閉(にょうへい)」と呼び、そのほとんどの原因は前立腺肥大症で、原則として男性に多いとしています。長時間の座位、飲酒、ときには咳止め薬、感冒薬(かぜ薬)、精神安定剤、不整脈の薬などが誘因になることがあるとされています。膀胱に尿が多量にたまっているのに尿がまったく出ないときには、緊急処置として尿道からカテーテルを入れて尿を出す必要があるとしています。「トイレに行きたいのに出ない」「下腹が張って苦しい」というときは、夜間や休日でもすぐに医療機関に連絡しましょう。

頻尿・排尿の痛みに、発熱や腰・背中の痛みをともなう

日本泌尿器科学会は、頻尿や排尿痛、残尿感などの排尿症状をともなう発熱があるときは、腎臓や前立腺などに細菌感染が起きている可能性があるとしています。特に糖尿病、尿路結石、前立腺肥大症など、尿路感染を起こしやすい病気がもともとある場合には重症化しやすく、ときには命に関わる場合もあるとして、「排尿症状を伴う発熱を認めた場合には、できるだけ早く泌尿器科専門医を受診してください。」と呼びかけています。女性では、膀胱炎から腎臓まで細菌が達する腎盂腎炎(じんうじんえん)で、発熱、全身のだるさ、腰や背中の痛みなどが出ることがあるとしています。

厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」は、高齢者で「すぐに救急車を呼びましょう!」という症状として、「突然の高熱」「突然の激しい腹痛」などを挙げています。緊急性が高いと感じたときは、迷わず救急車を呼んでください。

目で見てわかる血尿がある

日本泌尿器科学会は「おしっこが赤いなど、尿に血が混じることを目でみて判断できる肉眼的血尿はさらに重要な病気のサインです。」とし、膀胱がんの85%は肉眼的血尿をきっかけに見つかると説明しています。MSDマニュアル プロフェッショナル版も、肉眼的血尿は高齢の患者では泌尿生殖器のがんを示唆するとしています。痛みがなくても、尿が赤い・茶色いときは早めに泌尿器科を受診しましょう。

足に力が入りにくい・しびれるなどをともなう

MSDマニュアル プロフェッショナル版は、頻尿の評価で警戒すべき事項(Red Flag)として、発熱および背部痛とともに、下肢の筋力低下または脊髄損傷の徴候を挙げています。頻尿や尿の出にくさと一緒に、足の力が入りにくい、しびれるといった変化が出てきたときは、早めに医師に相談してください。

シニア・高齢者の頻尿とは?「回数」の目安と「困っているか」

昼は8回以上、夜は1〜2回以上がひとつの目安

日本泌尿器科学会は「一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。」と説明しています。健康長寿ネットは、普通の排尿回数は起きている間に5回、寝ている間に0〜1回とし、「起きている間に8回以上、寝ている間に2回以上くらいを頻尿の目安にします。」としています。

夜については、日本泌尿器科学会は「夜間、排尿のために1回以上起きなければならない症状を夜間頻尿といいます。」と定義し、加齢とともに頻度が高くなるとしています。夜にトイレで1回起きるだけでも、それで困っていれば相談してよい症状です。

大切なのは「自分が困っているか」

ただし、1日の排尿回数は人によって違い、水分のとり方や気温によっても変わります。健康長寿ネットは「とはいえ、回数が多くても本人が困っていなければ治療は不要です。逆に回数が少なくても本人が困っていれば治療の対象となります。」としています。日本泌尿器科学会も、8回以下の排尿回数でも自分で多いと感じる場合には頻尿といえるとしています。「8回」という数字だけにとらわれず、「トイレのことで生活に困っていないか」を目安に考えましょう。

10分おきにトイレが近いときに考えられる原因

日本泌尿器科学会は、頻尿の原因を、過活動膀胱、残尿(排尿後にも膀胱の中に尿が残ること)、多尿(尿量が多いこと)、尿路感染・炎症、腫瘍、心因性に分けています。「10分おき」のように極端にトイレが近いときは、どのタイプに当てはまりそうかを考えると、受診先や対処のしかたが見えやすくなります。

膀胱炎などの尿路感染症|少ししか出ないのに、すぐまた行きたくなる

健康長寿ネットは、膀胱炎や前立腺炎など尿の通り道に細菌が感染すると、膀胱が刺激されて早く尿を出そうとすると説明しています。MSDマニュアル プロフェッショナル版は、膀胱や尿道の炎症で起こる尿意は排尿しても楽にならないため、膀胱が空になったあとも排尿しようとして、ごく少量の尿しか出ないことがあるとしています。急に「10分おき」にトイレへ行きたくなったときは、まず膀胱炎などの感染症を考える必要があります。

日本泌尿器科学会によると、排尿時の痛みを起こす最も一般的な病気は急性膀胱炎で、女性に多く、頻尿、血尿、排尿時の痛みが特徴的な症状です。多くは排尿の終わりごろに尿道に不快な痛みを感じるとしています。多くは抗生剤の治療で数日以内によくなるとされる一方、高い熱や背中の痛みをともなう場合は腎盂腎炎を併発している可能性があり、すみやかな受診が必要としています。男性では、前立腺炎で頻尿や排尿時の痛みが出ることがあります。

過活動膀胱|急に強い尿意が起きて、がまんできない

日本泌尿器科学会は、過活動膀胱を、膀胱に尿が十分にたまっていないのに膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮する病気と説明しています。急に尿がしたくなってがまんができず(尿意切迫感)、トイレに何回も行くようになり、1回の排尿量は少なくなります。間に合わずにもれてしまう(切迫性尿失禁)こともあります。

同学会は、過活動膀胱は日本で1000万人以上の男女がかかっている頻度の多い病気とし、脳卒中やパーキンソン病などの脳や脊髄の病気、前立腺肥大症による排尿障害などで起こるほか、加齢による老化現象として起こったり、原因がはっきりしなかったりすることも少なくないとしています。

前立腺肥大症・残尿|出しきれずに、すぐまたたまる(男性)

健康長寿ネットは、前立腺肥大は60歳で60%、70歳で80%の人に見られるものの、必ずしもすべての人に症状が出るわけではないとしています。前立腺が大きくなると膀胱や尿道を圧迫し、排尿の途中で尿が途切れる、尿が出きらない感じといった症状が現れます。同ネットは、前立腺肥大症の患者さんの多くが過活動膀胱を合併しているとも説明しています。

日本泌尿器科学会は、前立腺肥大症などで排尿後も膀胱に尿が残る「残尿」が起こると、尿をためられるスペースが減るため、1回の排尿量が少なく、何回もトイレに行くようになるとしています。糖尿病や腰の椎間板ヘルニア、子宮がん・直腸がんの手術などで膀胱を縮める神経が傷ついた場合にも、残尿が起こることがあるとしています。尿の勢いが弱い、出るまでに時間がかかる、出しきれない感じがある、という60代・70代の男性は、泌尿器科で相談しましょう。

多尿(糖尿病・水分のとりすぎ・お薬)|1回の量はふつうなのに回数が多い

日本泌尿器科学会は、膀胱や尿道に問題がなくても、糖尿病などの内分泌の病気、水分の多量摂取、薬剤(利尿剤)による尿量の増加が頻尿の原因になるとしています。この場合は、1回の排尿量は正常(150〜200ml以上)なのに、何回もトイレに行くことになるとしています。健康長寿ネットは、成人では1日の尿量が3L以上の場合を多尿とし、健康な成人の1日の尿量はおよそ1,500mL程度、高齢者はそれより少ない1,200mL程度としています。

お薬については、健康長寿ネットが頻尿の原因としてお薬の影響を挙げており、MSDマニュアル プロフェッショナル版も、利尿薬やアルコール、カフェイン飲料など尿の量を増やすものを使っていないかを確かめるとしています。利尿薬などは病気の治療に必要なお薬です。トイレが近いと感じても自己判断で飲むのをやめず、処方した医師や薬剤師に相談しましょう。

心因性の頻尿|トイレのことが気になって行ってしまう

健康長寿ネットは、泌尿器科的な原因がなく尿の量も正常なのに、トイレのことが気になって頻回に行ってしまう心因性の頻尿があるとし、「心因性の場合は寝ている間の頻尿はみられません。」としています。ひどい場合には心療内科の受診が勧められるとしています。「外出先でトイレがあるか不安で、何度も行ってしまう」という方は、この形かもしれません。ただし、ほかの原因がないことを確かめたうえで考えるものなので、まずは医療機関で相談しましょう。

膀胱がんなどの病気も

健康長寿ネットは、頻尿の原因になる腫瘍として膀胱がんを挙げ、膀胱がんでは血尿も認められることが多く、70歳を超えると増加するため、原因不明の頻尿の場合は泌尿器科の受診が勧められるとしています。日本泌尿器科学会も、膀胱がんの重要な症状は血尿で、まれに膀胱がんによる刺激症状として頻尿がみられることがあるとしています。

タイプを見分けるヒントは「1回の尿の量」

ここまでの原因は、1回に出る尿の量を目安にある程度見分けられます。健康長寿ネットは、健康な高齢者の1回の尿量は100〜150mL程度で、それより少ない場合は膀胱に尿が十分たまる前に排尿していると考えられるとしています。日本泌尿器科学会の説明をもとに整理すると、次のようになります。

気づいたこと考えられること(例)
急にトイレが近くなり、排尿時に痛い・尿がにごる・血がまじる膀胱炎などの尿路感染症
急に強い尿意が来てがまんできない。1回の量は少ない過活動膀胱
尿の勢いが弱い・出しきれない感じがあり、1回の量が少ない(男性に多い)前立腺肥大症などによる残尿
1回の量はふつう(150〜200ml以上)なのに回数が多い多尿(糖尿病、水分のとりすぎ、利尿剤など)
昼間だけ何度も行き、寝ている間は行かない心因性の頻尿

これはあくまで目安で、原因が重なっていることもあります。実際の原因は、尿検査などをもとに医師が判断します。

夜中に何度もトイレに起きる「夜間頻尿」

日本泌尿器科学会は、夜間頻尿の原因を、大きく分けて1)多尿・夜間多尿、2)膀胱容量の減少、3)睡眠障害の3つとし、それぞれで治療法が異なるため、原因をはっきりさせることがとても重要だとしています。

  • 多尿・夜間多尿:1日の尿の量が多い、または夜だけ尿の量が多くなるもの。同学会は、65歳以上の方では、24時間の尿量に対する夜間の尿量の割合が33%を超える場合を目安のひとつとし、寝る前の水分のとりすぎ、お薬、高血圧や心不全、腎機能障害などの内科の病気、睡眠時無呼吸症候群などを原因に挙げています
  • 膀胱容量の減少:過活動膀胱や前立腺肥大症などで膀胱が過敏になり、少しの尿しかためられないもの。昼間も頻尿になることが多いとされています
  • 睡眠障害:眠りが浅くてすぐ目が覚め、目が覚めるごとに気になってトイレに行くもの

同学会は、夜間の排尿で毎回十分な量(目安として200〜300ml)が出る場合は多尿・夜間多尿、十分な量が出ない場合(目安として100ml以下)は膀胱容量の減少による夜間頻尿と考えられるとしています。

寝る前の「血液サラサラのための水」は見直しを

「寝る前に水を飲むと脳梗塞の予防になる」と考えて、夜に水分を多めにとっている方もいるかもしれません。日本泌尿器科学会は「水分を摂ると血液がサラサラになり、脳梗塞や心筋梗塞が予防できると信じて寝前や夜間にたくさんの水分をとる方がいますが、科学的根拠はなく、水分の摂りすぎで頻尿になっている場合は、むしろ水分を控えることが必要です。」としています。健康長寿ネットは、アルコールにも利尿効果があり、夜に飲酒すると睡眠中の排尿が増えるとしています。夕方以降の飲み物の量と種類を、一度見直してみましょう。

一方で、夜間頻尿の原因が高血圧や心不全、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などの病気にある場合は、その治療が重要だと同学会はしています。いびきが大きい、家族に「寝ているときに息が止まっている」と言われる、といった場合も、受診のときに伝えましょう。

眠りが浅いときは、日中に体を動かす

健康長寿ネットは、眠れないためについ気になってトイレに行くことは多くの人に見られ、高齢になると眠りが浅くなる傾向があるとしています。そのうえで、「太陽の下で日中よく体を動かして、ぐっすり眠るようにしましょう。」と勧めています。眠りの質を高める日中の過ごし方や、寝る前に避けたい習慣は、次の記事で紹介しています。

夜のトイレは転倒にも注意

健康長寿ネットは、夜間に何度もトイレに起きることで、転倒や骨折を招きやすいというリスクもあると指摘しています。暗い中を寝ぼけたまま急いで歩くのは危険です。寝室からトイレまでの通り道に物を置かない、足元灯をつけるといった住まいの工夫は、次の記事で詳しく紹介しています。

寝床から起き上がってすぐに立つと、立ちくらみでふらつくこともあります。いったん座ってからゆっくり立ち上がるなど、立ちくらみを防ぐ工夫は、次の記事を参考にしてください。

自宅でできる頻尿の対処法|排尿日誌・水分・膀胱訓練

健康長寿ネットは、頻尿の対処法は原因にもよるものの、まずは自分の排尿パターンを知ることが必要だとしています。ここでは、医療機関でも勧められることの多い、自宅でできる対処法を紹介します。持病のある方や治療中の方は、かかりつけ医に相談しながら行いましょう。

まずは「排尿日誌」をつけてみる

日本泌尿器科学会は、頻尿が気になる際には排尿日誌をつけてみることを勧めています。トイレに行った時間と排尿の量、水分をとった時間と量などを3日ほど記録するもので、明らかに水分を多くとっているようであれば、水分のとり方の調節で改善するとしています。健康長寿ネットも、排尿が多い時間帯、排尿時の尿意の強さ、失禁の有無、排尿量などを記録しておくよう勧め、数日〜1週間程度続ければ自分の排尿パターンが見えてくるとしています。尿の量は、紙コップや口を切ったペットボトルなどで測れます。

  • トイレに行った時刻と、出た尿の量
  • そのときの尿意の強さ(がまんできないほど急だったか)、もれたかどうか
  • 飲んだもの(水・お茶・コーヒー・お酒など)の時刻と量
  • 寝た時刻と起きた時刻

記録は受診のときにも役立ちます。健康長寿ネットのページでは、排尿日誌の記入例(PDF)も公開されています。

水分は「減らしすぎず、とりすぎず」

健康長寿ネットは、1日の水分摂取量の目安は体重70kgの成人男性でおよそ2.5L程度で、高齢者は体重あたりの水分量が少なくなるため、これより少なめの水分でも体を維持できるとしています。一方で、夏場など汗をたくさんかく時期は、普段より多めの水分をとる必要があるとしています。また、心臓や腎臓の病気で医師から1日の水分量を指示されている場合は、その指示に従ってください。

水分をとりすぎている場合は、適切な量にするとともに、カフェインを含まないものに変えることを健康長寿ネットは勧めています。ただし、トイレを気にして水分を控えすぎると、脱水の心配が出てきます。シニア世代の1日の水分の目安と、こまめに飲むコツは、次の記事でまとめています。

膀胱訓練で、少しずつ間隔をのばす

健康長寿ネットは、1回の排尿量が少ない場合は、膀胱訓練などで1回の尿量を増やすことで、排尿回数を減らすことができるとしています。膀胱訓練は、尿意があるときにすぐに排尿せず、一定時間がまんすることで膀胱にためる尿の量を増やすトレーニングです。同ネットは、尿意を感じたらトイレのこと以外を考えて気を紛らわし、「最初は、5~10分程から始めて、徐々に時間を伸ばしていきます。」としています。

ただし、同ネットは、前立腺肥大症などで残尿感がある、または尿の勢いが悪い方、過去に膀胱炎になった経験のある方は、症状の悪化や再発につながることがあるため、かかりつけ医と相談してから始めるよう呼びかけています。また、今まさに膀胱炎が疑われるときは別です。健康長寿ネットは「膀胱炎の時に尿を我慢すると膀胱炎が悪化するので、トイレを我慢しないようにしましょう。」としています。排尿時の痛みや尿のにごりがあるときは、がまんの練習はせずに受診を優先してください。

尿もれもあるときは、骨盤底筋体操も

健康長寿ネットは、急に尿がしたくなってがまんできずにもれてしまう切迫性尿失禁にも、骨盤底筋体操が効果がある可能性があるとしています。骨盤底筋体操のやり方や、続けるときの注意点は、次の記事で詳しく紹介しています。

トイレが心配でも、外出をあきらめない

健康長寿ネットは、尿失禁用のパッドを上手に使って快適に過ごしている高齢者も多い一方で、本来は必要のないパッドやおむつをしていたり、尿失禁のために外出を控えたり、楽しみが制限されたりしていては残念だとして、一度は医師に相談してみることを勧めています。出かける前にトイレの場所を確かめておく、長時間の移動の前にトイレをすませるといった工夫をしながら、外に出る機会を保ちましょう。外出の機会が減ると心と体にどんな変化が起きるかは、次の記事で紹介しています。

頻尿の受診の目安と、医師に伝えたいこと

こんなときは泌尿器科やかかりつけ医に相談を

日本泌尿器科学会は、頻尿の原因が思いあたらない場合には泌尿器科専門医を受診することを勧めています。健康長寿ネットも、尿に関して日常生活に不自由さを感じた場合は、早めにかかりつけ医を受診するよう勧めています。この記事で紹介した情報をもとにした受診の目安は次のとおりです。60代になって「年のせい」とあきらめていた方も、当てはまるものがあれば早めに相談しましょう。

  • 急に「10分おき」のようにトイレが近くなった
  • 排尿の痛み、尿のにごり、残尿感がある
  • 尿の勢いが弱い、出るまでに時間がかかる、出しきれない感じがある
  • 急な尿意でがまんできない、間に合わずにもれることがある
  • 夜中に何度もトイレに起きて、眠れない・日中がつらい
  • 水分のとり方を見直しても、トイレの回数が変わらない
  • トイレが心配で、外出や人と会うことを控えるようになった

排尿の痛みに発熱や腰・背中の痛みをともなう、尿がまったく出ない、尿が赤いといったときは、冒頭のとおり早めの受診を優先してください。

受診のときに伝えたいこと

MSDマニュアル プロフェッショナル版は、医師は頻尿と多尿を見分けるために、まず水分の摂取量と排泄量を尋ねるべきだとし、症状がどのくらい急に始まったか、尿意切迫や排尿困難などの症状、尿の勢いの低下や残尿感、夜間頻尿の有無、使っている薬や食習慣(利尿薬・アルコール・カフェイン飲料)などを確認するとしています。受診の前に、次のことをメモしておくと伝えやすくなります。

  • 排尿日誌(数日分でも十分です)
  • いつごろから、どのくらい急にトイレが近くなったか
  • 痛み、発熱、血尿、尿のにごり、もれなど、ほかの症状
  • 飲んでいるお薬(お薬手帳)と、最近変わった薬
  • 糖尿病、高血圧、心臓や腎臓の病気、脳卒中などの持病

男性の場合、健康長寿ネットは前立腺肥大症の症状の程度を比べる質問票として「国際前立腺症状スコア(IPSS)」を紹介しています。最近1か月間に、排尿後2時間以内にもう一度トイレに行かなければならないことがあったか、床に就いてから朝起きるまでに何回排尿に起きたか、といった質問に答えるもので、受診前のふり返りにも使えます。

よくある質問

シニア・高齢者の頻尿について、よくいただく質問をまとめました。

頻尿とは、1日に何回くらいからをいいますか?

日本泌尿器科学会は、一般的には朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿としています。健康長寿ネットは、起きている間に8回以上、寝ている間に2回以上くらいを頻尿の目安にするとしています。ただし、回数が多くても本人が困っていなければ治療は不要で、逆に回数が少なくても本人が困っていれば治療の対象になるとされています。

10分おきにトイレに行きたくなります。何が原因ですか?

急にトイレが近くなり、排尿時の痛みや尿のにごりがある場合は、膀胱炎などの尿路感染症が考えられます。急に強い尿意が来てがまんできない場合は過活動膀胱、尿の勢いが弱く出しきれない感じがある男性は前立腺肥大症による残尿、1回の量はふつうなのに回数が多い場合は糖尿病や水分のとりすぎ、お薬などによる多尿のこともあります。原因はさまざまなので、早めに泌尿器科やかかりつけ医に相談しましょう。

頻尿で、すぐに受診したほうがよいのはどんなときですか?

日本泌尿器科学会は、排尿症状をともなう発熱を認めた場合には、できるだけ早く泌尿器科専門医を受診するよう呼びかけています。尿がまったく出ない(尿閉)ときは、緊急処置として尿を出す必要があるとしています。目で見てわかる血尿も重要な病気のサインとされています。こうした症状があるときは様子を見ずに受診してください。

夜中に何度もトイレに起きます。寝る前の水分は控えたほうがよいですか?

日本泌尿器科学会は、血液がサラサラになると信じて寝前や夜間にたくさんの水分をとることには科学的根拠がなく、水分のとりすぎで頻尿になっている場合はむしろ水分を控えることが必要だとしています。ただし、高血圧や心不全、腎機能障害、睡眠時無呼吸症候群などが夜間の尿の量を増やしていることもあるため、気になるときは排尿日誌をつけて医師に相談しましょう。

膀胱訓練はだれがやってもよいですか?

健康長寿ネットは、膀胱訓練は尿意があるときに一定時間がまんして膀胱にためる尿の量を増やすトレーニングで、最初は5〜10分程から始めて徐々に時間をのばすとしています。ただし、前立腺肥大症などで残尿感がある、または尿の勢いが悪い方、過去に膀胱炎になった経験のある方は、かかりつけ医と相談してから始めるよう呼びかけています。膀胱炎のときは尿をがまんすると悪化するため、トイレをがまんしないようにしましょう。

トイレが近いのが心配で、水分を控えています。大丈夫ですか?

水分を控えすぎると、脱水の心配が出てきます。健康長寿ネットは、高齢者は成人の目安より少なめの水分でも体を維持できるとしつつ、汗をたくさんかく時期は多めにとる必要があるとしています。まずは排尿日誌で飲んだ量と尿の量を確かめ、量を減らすよりもカフェインやアルコールを控える、夕方以降の飲み方を見直すといった工夫から始めましょう。心臓や腎臓の病気で医師から水分量の指示がある場合は、その指示に従ってください。

参考にした主なデータ・指針

まとめ|頻尿は「回数」より「困りごと」と「受診のサイン」で見る

60代・70代になると増えてくるシニア・高齢者の頻尿は、起きている間に8回以上といった目安がありますが、大切なのは、その回数で生活に困っているかどうかです。10分おきにトイレが近いときは、膀胱炎などの感染症、過活動膀胱、前立腺肥大症による残尿、糖尿病や水分のとりすぎによる多尿、心因性など、さまざまな原因が考えられます。排尿日誌で自分のパターンを知り、水分のとり方や膀胱訓練を見直しながら、受診の目安に当てはまるときは早めに泌尿器科やかかりつけ医に相談しましょう。発熱や腰・背中の痛み、尿がまったく出ない、血尿といったサインがあるときは、様子を見ずに受診してください。

今日からできる、頻尿の対処法:

  • トイレの時刻・尿の量・飲んだものを、3日ほど排尿日誌に記録する
  • 寝る前のたくさんの水分・お酒・カフェインを見直す(水分を控えすぎない)
  • 膀胱訓練は5〜10分程から。前立腺肥大症や膀胱炎の経験がある方は先に医師に相談
  • 夜のトイレは足元を明るくし、起き上がったらいったん座ってから立つ
  • 発熱・腰や背中の痛み・血尿・尿が出ないときは、すぐに受診する

トイレが気になって家にこもりがちな方も、まちFitで体を動かす時間を

「トイレが近くて外出がおっくうになった」「日中に体を動かす機会が減って、夜もよく眠れない」――そんな方は、通う場所と仲間がいると、体を動かす習慣を取り戻しやすくなります。まちFitは「健やかな毎日を、まちのそばで。」をコンセプトに、60代からのシニアの方が無理なく通える健康スタジオです。

  • 運動がはじめての方でも参加しやすいやさしいレッスン
  • 椅子やボールを使い、無理のない姿勢で体を動かせる
  • 同年代の仲間と通うから、運動習慣が続けやすい
  • スタッフが体調や目的に合わせて声かけ・サポート
まちFit池上スタジオで体を動かすシニアの様子

川崎スタジオ(川崎区・京町)で開いている「骨盤調整ストレッチ」は、やわらかいボールに座り、骨盤まわりを中心に背骨や肩甲骨のまわりをていねいにほぐしていくやさしいレッスンです。尿もれが気になる方に向けて、骨盤の底にある筋肉(骨盤底筋群)をやさしく動かす運動も取り入れています。頻尿の原因によっては治療が必要なこともあるため、気になる症状がある方は医療機関への相談もあわせて進め、治療中の方は主治医に相談のうえご参加ください。

まずは見学や体験から始めてみませんか?

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この記事はまちFit編集部監修のもと、公的機関や学会、専門家の解説などが公開する情報を参照して作成しています。内容は一般的な健康情報の整理であり、特定の効果を保証するものではありません。

本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とする医療行為に代わるものではありません。頻尿や尿もれ、排尿時の痛み、血尿などの症状が続く場合や、気になる体調の変化がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。服用中の薬については、医師や薬剤師にご相談ください。緊急性が高いと感じたときは迷わず119番に通報してください。

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