高齢者の食欲不振の原因と対策|シニアが食べられない時の改善法

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まちFit
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東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
高齢者の食欲不振とは?シニアが「食べられない」と感じる背景
高齢者の食欲不振は、「以前ほど食べられない」「食事の時間が待ち遠しくない」といった形で少しずつ現れます。加齢による体の変化に、口の状態や薬の影響、生活環境の変化などが重なることが多く、原因は一つとは限りません。まずは背景を知り、どこから手をつければよいかを整理していきましょう。
年齢とともに食べる量が減るのは自然な変化
年齢を重ねると、外出や家事の量が減ってエネルギーの消費が少なくなり、消化のはたらきもゆっくりになります。若いころと同じ量が入らなくなるのは、ある程度は自然な変化です。
ただし厚生労働省の情報サイト「e-ヘルスネット」では、高齢になるとさまざまな要因により食欲不振から体重が減少し、低栄養状態となることが少なくないと説明されています。「年のせい」で片づけず、いつから・どのくらい食べられなくなったのかを見ておきましょう。
食欲不振が続くと低栄養やフレイルにつながる
食べる量が減った状態が続くと、体をつくるたんぱく質やエネルギーが足りなくなり、低栄養に近づいていきます。令和5年の国民健康・栄養調査では、65歳以上で低栄養傾向の方(BMIが20以下)の割合は男性12.2%、女性22.4%と報告されており、男女とも85歳以上でその割合が高くなっています。
低栄養は、加齢によって心身の活力が低下した状態であるフレイル(虚弱)を招く重要な因子とされ、転倒予防や介護予防の観点からも見逃せません。裏を返せば、食べることを整えるのは、筋力や足腰を守り、健康寿命を延ばす土台になるということです。

高齢者の食欲不振を招く主な原因【体・口・薬・心・生活】
食欲不振の原因は一つではなく、いくつかが重なっていることがほとんどです。e-ヘルスネットは、高齢者の低栄養の要因として、口の中の状態や飲み込みの機能、薬の副作用、精神的なストレス、独居などの環境の変化を挙げています。ご自身やご家族の毎日を振り返りながら見ていきましょう。
口の中の状態と飲み込む力の変化
歯が欠けていたり、入れ歯(義歯)が合わなかったりすることで食欲が減退することがあります。また、飲み込みが悪くなる嚥下(えんげ)機能の低下によって、食事の量そのものが減ることもあります。「噛みにくい」「むせやすい」という理由から、食べやすいものばかりに偏ってしまうケースも少なくありません。
こうした口まわりのささいな衰えは、オーラルフレイル(口の機能の虚弱)と呼ばれます。早めに歯科で相談したり、口の体操を取り入れたりすることで、食べる力を保ちやすくなると考えられています。

薬の影響や持病が関係している場合
高齢になると複数の病気を併せ持つことが多く、処方される薬の数も増えがちです。厚生労働省の「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」では、薬が原因となって高齢者に現れやすい症候(薬剤起因性老年症候群)の一つとして「食欲低下」が挙げられています。
同じ指針では、薬の数が多いこと自体ではなく、それにともなって有害な事象などの問題につながる状態を「ポリファーマシー」と呼んで区別しています。薬が関係しているかもしれないと感じても、自己判断で中止・減量することは避け、必ずかかりつけ医や薬剤師にご相談ください。
気持ちの落ち込みと生活環境の変化
配偶者や知人との死別などによる精神的なストレスも、低栄養の要因として挙げられています。加えて、ひとり暮らしや高齢者世帯といった環境の変化、外出の機会が減って行動範囲が狭くなることが、欠食や食べる量の不足につながります。「作るのが面倒」「一人だと食べる気がしない」という気持ちは、珍しいものではありません。
運動不足でお腹が空きにくくなる
体を動かす機会が減ると消費するエネルギーが少なくなり、空腹を感じにくくなります。活動量が下がるとお通じのリズムも乱れやすく、お腹の張りから食欲がわかないという流れも起こりがちです。食欲不振の対策では、食事の工夫と同じくらい「動くこと」が鍵になります。

見逃さないで|受診を検討したい食欲不振のサイン
多くの食欲不振は生活の工夫でやわらいでいきますが、なかには早めに医療機関で相談したほうがよいケースもあります。厚生労働省が高齢者の健診で用いる「後期高齢者の質問票」にも、体重変化の項目として「6か月間で2〜3kg以上の体重減少がありましたか」という質問が設けられており、低栄養は自覚しにくいため体重減少がよい指標になると解説されています。診断に代わるものではありませんが、迷ったときの判断材料にしてください。
- ダイエットをしていないのに、半年で体重が2〜3kg以上減った
- 食欲がない状態が2週間以上続き、水分もとりにくくなっている
- 発熱・腹痛・吐き気・便通の大きな変化などをともなう
- 食事のたびにむせる、飲み込みにくい、食後に声がかすれる
- 新しく薬を飲み始めた前後から食べられなくなった
- 気分の落ち込みが続き、身のまわりのことにも意欲がわかない
こうしたサインがあるときは、まずかかりつけ医や内科にご相談ください。飲み込みが気になる場合は歯科や耳鼻咽喉科が適しています。相談先が思い当たらないときは、地域包括支援センターに問い合わせると案内してもらえます。我慢しすぎないことが、自立した生活を長く続ける安心につながります。

高齢者の食欲不振への対策|無理なく食べるための工夫
ここからは、食欲が落ちているときでも無理なく食べるための工夫をご紹介します。ポイントは「一度にたくさん」ではなく、回数と質を整えることです。できそうなものから一つずつ取り入れてみてください。
1日3食のリズムを保ち、1回の量は無理をしない
e-ヘルスネットでは、1日1食や2食などの偏った食生活ではなく、1日3食を規則正しく決まった時間にとり、3食ごとにバランスよく食べることが筋肉量の維持につながるとされています。エネルギー確保のため、米・パン・麺などの主食も3食欠かさないよう勧められています。
1回の量が入らないときは、盛りつけを少なめにして「食べきれた」感覚を大切にし、午前と午後の軽い補食(間食)で1日の合計量を確保する方法もあります。少ない量に栄養を寄せる「ちょい足し」も取り入れやすい工夫です。
- ご飯やおかゆに、卵・しらす・きな粉を足す
- 汁物に豆腐や卵を入れ、一杯で水分とたんぱく質をとる
- 間食にヨーグルト・チーズ・バナナなど、手をかけずに食べられるものを常備する
たんぱく質を毎食少しずつ取り入れる
量が減るときにまず不足しやすいのが、筋肉の材料になるたんぱく質です。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、推奨量は65歳以上で男性1日60g、女性1日50gとされています。1食では、手のひらにのる程度の肉や魚、卵1個、豆腐半丁などを組み合わせるイメージです。
たんぱく質が多い身近な食品:肉類・魚介類・卵・牛乳やヨーグルトなどの乳製品・豆腐や納豆などの大豆製品。朝食が手薄になりやすいので、卵や乳製品を一品足すところから始めると無理がありません。
食べやすくする調理と食卓の工夫
噛む力や飲み込む力が落ちているときは、食材を小さめに切る、やわらかく煮る、あんかけにしてまとまりをつけるといった調理の工夫が助けになります。だしや香味野菜、少量の酸味で風味を立たせるのも、食が進みやすくなる工夫です。
小ぶりの器に盛る、彩りのよい野菜を添えるといった見た目の工夫も、「食べてみようかな」という気持ちにつながります。市販の惣菜や配食サービスで作る負担を減らすことも立派な対策です。

食欲を取り戻す生活習慣|運動・口のケア・食卓の環境
食事の工夫とあわせて見直したいのが、毎日の生活習慣です。体を動かす、口を整える、誰かと食卓を囲む——この三つがそろうと、自然な食欲が戻ってきやすくなります。今日から取り入れられるヒントをお伝えします。
体を動かして自然な空腹感をつくる
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者について、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことが推奨されています(1日約6,000歩以上に相当)。さらに、成人・高齢者ともに筋力トレーニングを週2〜3日行うことが勧められています。
同じガイドでは、推奨値に届かなくても少しでも身体活動を行うことが勧められています。まずは近所を10分歩く、椅子から立ち上がる動作を数回繰り返すなど、できる範囲から始めてみましょう。「体を動かした日は食事がおいしい」というお声は、まちFitスタジオでもよくうかがいます。
口のケアと水分補給を整える
入れ歯が合っていない、歯や歯ぐきが痛む、口の中が乾くといった状態は、食欲を下げる直接の原因になります。気になるときは早めに歯科で相談し、食前に頬や舌を動かす簡単な口の体操を取り入れると、噛む・飲み込む準備が整いやすくなります。
また、水分が不足すると体調がすぐれず、食欲の低下につながることもあります。のどの渇きを感じにくくなるのはシニア世代に共通する変化ですので、時間を決めてこまめに補給する習慣をつけておくと安心です。食前に汁物を一口とるのも、食べ始めのきっかけになります。

誰かと一緒に食べる機会をつくる
ひとりの食卓が続くと、献立も量も細りやすくなります。週に一度でも家族や友人と食事をする、地域の集まりや通いの場に顔を出すなど、人と食卓を囲む機会があると、食べる楽しみが戻ってきやすくなります。外出そのものが運動量を増やし、食欲にも良い循環を生みます。
よくある質問
最後に、高齢者の食欲不振について多く寄せられる質問をまとめました。日々のケアや受診の判断に迷ったときの参考にしてください。
- 高齢者の食欲不振は何科を受診すればよいですか?
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まずはかかりつけ医や内科への相談が基本です。飲み込みにくさやむせが目立つときは歯科・耳鼻咽喉科が適しています。迷うときは、お住まいの地域包括支援センターに問い合わせると窓口を案内してもらえます。
- 食欲がないとき、無理にでも食べさせたほうがよいですか?
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無理強いは、食事の時間そのものを苦痛にしてしまうことがあります。1回の量を減らして回数を増やす、好きなものから口をつけるなど、食べられる形に近づける工夫のほうが続きやすいとされています。
- 薬のせいで食欲が落ちることはありますか?
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厚生労働省の「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」では、薬が原因で高齢者に現れやすい症候の一つとして食欲低下が挙げられています。自己判断での中止・減量は避け、薬を持参してかかりつけ医や薬剤師にご相談ください。
- 1日にどれくらいたんぱく質をとればよいですか?
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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、推奨量は65歳以上で男性1日60g、女性1日50gとされています。1食にまとめず、3食に分けて少しずつとることが筋肉量の維持につながると考えられています。
- 運動をすると食欲は戻りますか?
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言い切れるものではありませんが、体を動かすとエネルギーを使い、生活のリズムも整うため、自然な空腹感を感じやすくなると考えられています。ガイド2023でも、推奨値に届かなくても少しでも体を動かすことが勧められています。
- 体重がどのくらい減ったら注意が必要ですか?
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厚生労働省の後期高齢者の質問票では「6か月間で2〜3kg以上の体重減少」が体重変化の目安として用いられています。意図しない減少が続くときは低栄養のサインとして、早めに医療機関にご相談ください。
参考にした主なデータ・指針
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「高齢者の低栄養予防」(低栄養の要因・低栄養傾向の割合・1日3食の考え方/最終更新2024年11月29日)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(高齢者のたんぱく質推奨量)
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(高齢者版の推奨事項・筋トレの頻度/PDF)
- 厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(薬剤起因性老年症候群・ポリファーマシー/2018年5月・PDF)
- 厚生労働省「後期高齢者の質問票の解説と留意事項」(体重変化の設問と考え方/PDF)
まとめ|高齢者の食欲不振は原因を知れば手を打てる
高齢者の食欲不振は、加齢による体の変化に加えて、口の状態や飲み込む力、薬の影響、気持ちの落ち込み、生活環境の変化などが重なって起こるとされています。1日3食のリズムを保ち、たんぱく質を毎食少しずつとりながら、体を動かして口を整える——この積み重ねが低栄養やフレイルの予防につながり、健康寿命を延ばす土台になります。
今日から始める食欲不振対策のポイント:
- 1日3食のリズムを保ち、1回の量は無理をせず補食で補う
- たんぱく質を朝・昼・夕に分けて少しずつとり、筋力を守る
- やわらかさ・香り・彩りを工夫して「食べたい」を引き出す
- 1日40分の歩行や週2〜3日の筋トレで、自然な空腹感をつくる
- 口のケアと水分補給を整え、誰かと食卓を囲む機会をつくる
- 意図しない体重減少やむせが続くときは早めに相談する
まちFitで「食べる力」と「動く力」を一緒に育てませんか?
食欲を取り戻すうえで欠かせないのが、体を動かす習慣です。とはいえ「一人だと続かない」「何から始めればよいかわからない」という方も多いはずです。そんな方に寄り添うのが、シニア向け健康スタジオ「まちFit」です。
まちFitでは、椅子や壁を使った運動初心者でも安心のプログラムをそろえ、一人ひとりの体力や体調に合わせて無理なく体を動かせます。同年代の仲間と通ううちに生活のリズムが整うことも、大きな価値だと感じています。
- 週複数回の運動を、専門スタッフのもとで安全に続けられる
- 椅子や壁を使った、運動初心者でも安心の足腰ケア
- 通う予定ができることで、生活のリズムが整いやすい
- 同年代の仲間との交流が生まれ、続ける楽しさが得られる

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