シニアの咳が止まらない原因と受診の目安|60代・高齢者の対処法

加湿器のそばの椅子で、温かいお茶を手に咳の様子をノートに書きとめる60代女性(長引く咳を受診前に整理するイメージ)

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まちFit
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東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。

「咳が止まらない」「かぜは治ったのに咳だけ長引く」「夜になると咳きこんで眠れない」――60代・70代になると、長引く咳に悩む方は少なくありません。日本呼吸器学会は「比較的元気でも、せきやたんが3週間以上続くときには何か病気があると考えたほうがいいでしょう。」としています。多くはかぜのあとに残る咳や、鼻・のど・胃の不調によるものですが、高齢者では結核や、咳がはっきり出ない肺炎など、見逃したくない病気もまぎれています。

この記事では、シニア・高齢者の咳が止まらないときに、最初に「すぐに救急車を呼びたいサイン」と「早めに受診したいサイン」を確認し、そのあとで高齢者の咳の特徴、考えられる主な原因、受診するときのポイント、暮らしの中でできる対処法を、日本呼吸器学会、厚生労働省、MSDマニュアル家庭版、長寿科学振興財団(健康長寿ネット)の情報をもとに、まちFit編集部監修のもとで整理しました。

目次

先に確認|咳とともに、すぐに救急車を呼びたいサイン

咳が止まらないとき、まず確かめておきたいのは「咳以外にどんな症状があるか」です。厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」は、高齢者で「すぐに救急車を呼びましょう!」という症状として、次のようなものを挙げています(咳と一緒に起こりうるものを抜粋)。

  • 急な息切れ、呼吸困難
  • 突然の激痛
  • 突然の高熱

MSDマニュアル家庭版は、まれな原因ではあるものの、咳の原因に肺の動脈が血栓などで突然詰まる「肺塞栓症」を挙げ、その特徴として、突然鋭い胸痛が起こり、通常は息を吸うときに悪化すること、息切れ、心拍数と呼吸数の増加などを挙げています。また、何かを吸い込んだ可能性がある場合も、直ちに病院を受診する必要があるとしています。急に息が苦しくなった、胸が強く痛む、食べ物をのどに詰まらせたかもしれないといったときは、咳が落ち着くのを待たずに119番で救急車を呼んでください。

咳が止まらないときに、早めに受診したいサイン

救急車を呼ぶほどではなくても、市販薬や様子見で済ませず、医療機関で原因を確かめたほうがよい咳があります。

「警戒すべき徴候」があるとき

MSDマニュアル家庭版は、咳がみられる場合に注意が必要な「警戒すべき徴候」として、次のものを挙げています。

  • 息切れ
  • 喀血(せきとともに血が出る)
  • 体重減少
  • およそ1週間以上続く発熱
  • 結核の危険因子(結核の患者さんと接した、ステロイドなど免疫の働きを抑える薬を飲んでいる など)

同マニュアルは、警戒すべき徴候がみられる人は直ちに医師の診察を受けるべきで、例外は徴候が体重減少だけの場合(短期間の遅れが危険である可能性は低い)としています。警戒すべき徴候のない長引く咳でも、頃合いを見て受診する必要があるとしています。

痰に血が混じるとき

日本呼吸器学会は、痰に血液が混じっている場合を「血痰(けったん)」、ほとんどが血液そのものである場合を「喀血(かっけつ)」と呼び、どちらも肺や気管支からの出血が原因だと説明しています。原因には肺がん、肺結核、非結核性抗酸菌症、気管支拡張症、肺炎、心不全などさまざまな病気が考えられ、血をサラサラにする薬(抗凝固薬)を飲んでいると出血しやすくなることもあるとしています。そのうえで「咳に伴う血痰・喀血がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。」としています。

同学会は、嘔吐とともに出てくる吐血(食道や胃からの出血)は暗赤色や黒褐色のことが多く、鮮紅色の血痰や喀血とは色の違いで区別できるとしています。口から血が出たときは、鼻やのど、歯ぐきからの出血のこともあるため、どこから出たかも含めて医師に伝えましょう。

咳や痰が2週間以上続くとき

厚生労働省は、結核について「咳やたんが2週間以上続いたり、微熱や体のだるさが続いたりする場合は、早めに医療機関を受診しましょう。」と呼びかけています。日本呼吸器学会は、かぜによる咳は通常3日以内でピークを越えて次第に治まるとし、咳や痰が3週間以上続くときは何か病気があると考えたほうがよいとしています。「かぜの咳がなかなか抜けない」と感じたら、2週間を過ぎたあたりで一度かかりつけ医に相談してみましょう。

横になると咳や息苦しさが強くなる・足がむくむとき

日本呼吸器学会は、横になってしばらくたってから咳や息苦しさが出る場合に、心臓の働きが悪くなった状態である「心不全」が考えられるとしています。上半身を起こすと咳が軽くなったり息が楽になったりする場合はこうした状況を考える必要があり、足のむくみや体重の増加をともなうことが多いため、循環器内科の受診を勧めています。咳の原因は肺だけとは限りません。

高齢者の咳で知っておきたい3つのこと

高齢者で忘れてはいけない「結核」

健康長寿ネットは、咳と痰の原因を考えるうえで「高齢者で忘れてならないのは結核です。」としています。厚生労働省によると、新たに結核と診断される患者さんは高齢者に多く、およそ6割が60歳以上です。60代の方にとっても、結核は過去の病気ではありません。結核の症状(咳、痰、微熱、体のだるさなど)には特徴的なものがなく、初期には目立たないことが多いため、特に高齢者では気づかないうちに進行してしまうことがあるとしています。結核は咳やくしゃみで空気中に飛び散った結核菌を吸い込むことで周りの人にうつります。同省は、早期に発見できれば重症化を防げるだけでなく、家族や友人などへの感染拡大を防ぐことができるとしています。

同省は、結核とよく似た症状の「非結核性抗酸菌症(NTM症)」についても注意を呼びかけています。土や水、浴室などの環境にいる菌が肺に入ってゆっくり炎症を起こす病気で、結核とは異なり一般的には人から人へうつることはありませんが、咳や痰が長く続く、息苦しさがあるなどの症状がみられ、診断や治療に時間がかかることがあるとしています。

咳が出にくい肺炎もある

健康長寿ネットは、肺炎を疑う所見は発熱・咳・痰であるものの、「高齢者の場合は症状が揃わないことはよくあります。」としています。咳の反射が低下していると咳がまったく出ないこともあり、体が弱っているときには重い肺炎でも熱が出ないことがあるとしています。「咳が止まらない」とは逆に、「最近むせるのに咳が弱い」「なんとなく元気がなく食欲もない」といった変化にも気を配りましょう。

MSDマニュアル家庭版は、脳卒中や認知症などでものを飲み込むことが難しくなると、食べものや飲みもの、唾液などを少しずつ気管に吸い込み、介護する人が気づかないうちに慢性的な咳をきたすことがあるとしています。飲食のあとに湿った音のする咳が出る場合は、飲み込みの問題が関わっていることがあります。むせやすさの原因と誤嚥を防ぐ工夫は、次の記事にまとめています。

咳の長さで考えられる原因が変わる

健康長寿ネットは、咳を続いている期間で3つに分けています。3週間未満の咳は「急性咳嗽(がいそう)」でほとんどが感染によるもの、3週間を過ぎて8週間未満は「遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)」で多くは感染後の名残、8週間を過ぎた咳は「慢性咳嗽」で感染以外の原因が考えられるとしています。MSDマニュアル家庭版も同じく3週間・8週間を区切りに、期間によって可能性の高い原因が異なるとしています。いつから咳が出ているのかは、受診したときにも診断の大切な手がかりになります。

シニアの咳が止まらないときに考えられる主な原因

受診の目安にあてはまらない長引く咳は、どこから来ているのでしょうか。日本呼吸器学会とMSDマニュアル家庭版の情報をもとに、主な原因を見ていきます。複数の原因が重なっていることもあります。

かぜのあとに残る咳(感染後咳嗽)

日本呼吸器学会は、からせきを起こす原因の多くはかぜだとしたうえで、「一部のウイルス感染は、感染自体が収まっても気道が過敏な状態が継続し、感染後咳嗽とよばれる長期間のせきの原因となります。」と説明しています。MSDマニュアル家庭版も、3〜8週間続く咳の最も一般的な原因として、呼吸器の感染が治ったあとの気道の過敏さを挙げ、鼻づまりやのどの痛みはないのに、乾いた痰の出ない咳が残るのが特徴だとしています。

一方で日本呼吸器学会は、数日以降もからせきが長引く場合には、マイコプラズマ、クラミジア、百日咳菌や抗酸菌などによる気管支炎・肺炎も考えるとしています。新型コロナウイルス感染症は、症状が長引いて息切れをともない重症化する可能性があるとしています。

夜間・早朝の咳|喘息・咳喘息

日本呼吸器学会は、早朝に「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音をともなう咳では気管支喘息がもっとも考えられるとし、「喘息は子供の病気と考えられがちですが、大人になってから、高齢になってからも発症する方も少なくありません。」としています。チリダニやハウスダスト、カビ、ペットのフケ、煙、冷たい空気などの刺激で気管支が狭くなり、咳や痰、息苦しさが出ます。

音のない乾いた咳だけが続く場合は、喘息の一つの型である「咳喘息」が考えられ、咳が唯一の症状だとしています。同学会は、咳喘息の約30%が喘息に移行するため定期的な治療が必要だとしています。

痰をともなう咳と息切れ|たばことCOPD

日本呼吸器学会は、咳と痰が3週間以上続く場合について「過去にあるいは現在までタバコを吸ってきた方であれば慢性閉塞性肺疾患(COPD)の可能性があります。」としています。かぜのあとに痰と咳が長引く、階段をのぼるときや荷物を持って歩くときに息切れを感じる、といった特徴もあるとしています。息切れの原因と対策は次の記事で詳しく紹介しています。

仰向けで寝ると出る咳|後鼻漏

日本呼吸器学会は、鼻や副鼻腔の慢性的な炎症による鼻水や膿などがのどの奥に垂れこむ「後鼻漏(こうびろう)」があると、仰向けに寝たときにそれが刺激となって咳や痰が出るとしています。慢性副鼻腔炎や通年性アレルギー性鼻炎が原因になることが多く、鼻や副鼻腔の病気なので耳鼻咽喉科の受診を勧めています。

胸やけをともなう咳|胃食道逆流症

日本呼吸器学会は、胸やけをともなう咳では逆流性食道炎が考えられ、胃液が食道に逆流することが刺激になって咳を引き起こすとしています。MSDマニュアル家庭版は、胃食道逆流症による咳の特徴として、胸やけが特定の食べものを食べたあとや横になったときに悪化しやすいこと、口の中に酸味を感じること(特に起床直後)、声がれ、真夜中または早朝の咳などを挙げ、咳以外の症状がないこともあるとしています。

血圧の薬による咳

日本呼吸器学会は、からせきの原因の一つに一部の降圧薬(血圧を下げる薬)の副作用を挙げ、その場合は薬の種類を変更するとしています。MSDマニュアル家庭版は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬という血圧の薬で、夜間に出やすい乾いた咳が続くことがあり、薬を使い始めて数日から数か月以内に咳が出ることがあるとしています。ただし、飲み込みの力が弱った方では、医師があえてこの薬の咳を出しやすくする作用を誤嚥予防に利用することもあります(健康長寿ネット)。血圧の薬を飲んでいて咳が続くときは、自己判断で中止せず、処方した医師や薬剤師に相談しましょう。

肺の病気が隠れていることも

日本呼吸器学会は、からせきが続く原因として、間質性肺炎や肺がんなども考えられるとしています。MSDマニュアル家庭版は、肺の腫瘍の特徴として、喫煙歴、ときに血をともなう咳、それまでの慢性的な咳の様子が変わること、体重減少や発熱、寝汗などを挙げています。長年たばこを吸ってきた方で「いつもの咳と違う」と感じたら、早めに受診してください。

咳で受診するときのポイント

何科を受診すればよいか

日本呼吸器学会は、からせきが長引き心配な場合は呼吸器内科の受診を勧めています。血痰・喀血は呼吸器科、鼻やのどからの出血は耳鼻咽喉科が専門で、よく分からない場合は内科の受診を勧めています。後鼻漏が疑われるときは耳鼻咽喉科、横になると咳や息苦しさが強くなり足がむくむときは循環器内科も選択肢です。迷ったら、まずはかかりつけ医に相談しましょう。

同学会は、咳が長く続いたら近くのクリニックで胸のエックス線写真を撮ってもらうよう勧めています。肺結核や間質性肺炎、肺がんなどでは、異常な影が見えることがあるとしています。

咳の様子をメモしておく

健康長寿ネットは「咳や痰の原因を診断するには咳や痰の性状や経過がとても重要です。」とし、咳が出始めたころに発熱やのどの痛みがあったかなど、一緒にみられた症状や経過をメモして受診すると参考になるとしています。この記事で紹介した内容をもとに、次のようなことを書きとめておくと伝えやすくなります。

  • いつから咳が出ているか(何週間続いているか)
  • 痰があるか、ある場合の色や血が混じるか
  • 咳が出やすい時間帯や姿勢(夜・早朝・横になったとき・食事のあとなど)
  • 発熱、息切れ、胸やけ、鼻水、体重の変化など一緒にある症状
  • たばこを吸っているか(過去に吸っていたか)
  • 飲んでいる薬(お薬手帳を持参する)

咳止めは医師と相談して

健康長寿ネットは、咳や痰はひどいと体力を奪ったり睡眠を妨げたりするため、そのようなときは薬による治療が勧められる一方で、「咳も痰ももとは病気から体を守る反応であり、特に咳は止めないほうがいい時もあります。」とし、咳止めの使用については医師と相談するよう勧めています。MSDマニュアル家庭版も、咳には痰を吐き出して気道をきれいにする役割があるため一般には抑えるべきではなく、咳止め薬は咳がひどいときや医師が勧めるときにのみ使用するとしています。市販の咳止めで様子を見続けるより、長引くときは原因を確かめることを優先しましょう。

咳が気になるときに、暮らしの中でできる対処法

咳の原因を確かめて治療することが基本ですが、毎日の過ごし方を見直すことで、のどへの刺激を減らしたり、かぜなどの感染を防いだりすることができます。ここで紹介する対処法は、咳の原因そのものを取りのぞくものではありません。

たばこをやめる・煙を避ける

健康長寿ネットは「タバコを吸っている人はタバコを止めるだけで咳や痰が改善することがあります。」とし、本人が吸っていなくても周りの人が吸っている場合も同じだとしています。日本呼吸器学会も、咳と痰が3週間以上続く場合の治療として、たばこを吸っている方では禁煙が絶対必要だとしています。

乾いた空気・冷たい空気からのどを守る

健康長寿ネットは、乾いた空気や冷たい空気を吸いこんで咳が出ることがあるとし、気道が乾くとウイルスなどに感染しやすくなるため、空気が乾燥する冬にかぜをひきやすいと説明しています。暖房を使う季節は加湿器や濡れタオル、洗濯物の室内干しなどで部屋の乾燥をやわらげ、寒い日の外出はマスクやマフラーで口元を覆うなど、冷たい空気を直接吸いこまない工夫をしてみましょう。MSDマニュアル家庭版は、気化器などを用いて蒸気を吸い込むことは一般に咳をやわらげると考えられているとしています。

水分補給も大切です。健康長寿ネットは、高齢者はのどの渇きを感じるしくみの働きが低下してのどが渇きにくくなり、水分補給が減りやすいとしています。のどが渇いていなくても、時間を決めて少しずつ飲む習慣をつけましょう。1日の水分の目安と続け方は次の記事で紹介しています。

手洗いと咳エチケットでかぜ・感染症を防ぐ

厚生労働省は、呼吸器感染症対策の基本として「手洗い」と「マスクの着用を含む咳エチケット」を挙げ、外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などにこまめに手を洗うこと、咳やくしゃみをするときにはマスク、ティッシュ、ハンカチ、袖などで鼻と口を覆うことを呼びかけています。新型コロナウイルス感染症、季節性インフルエンザ、肺炎球菌感染症のワクチンは、高齢の方などを対象に定期接種が行われており、詳細はお住まいの市区町村に確認するよう案内しています。寒い季節の体調管理は次の記事にまとめています。

口のケアで肺炎を防ぐ

健康長寿ネットは、誤嚥しても肺炎になりにくいよう、口腔ケアで口の中の細菌を減らすことが重要だとし、「特にブラッシングは口腔内をきれいにするだけでなく、ブラシが口腔内を刺激して嚥下や咳の反射を改善させます。」としています。同ページは、食後すぐに横にならず、できれば食後2時間は座った姿勢を保つことも勧めています。歯みがき・入れ歯・舌のお手入れの方法は次の記事で紹介しています。

咳が落ち着いてきたら|体力を落とさない運動習慣

咳が長引くと、外出や人と話すことがおっくうになり、体を動かす時間が減りがちです。咳が強い日や熱がある日は無理をせず休み、医師の診断を受けて咳が落ち着いてきたら、少しずつ体を動かす習慣を取り戻していきましょう。

息切れがある方は「口すぼめ呼吸」を医師に相談

国立病院機構大阪刀根山医療センターのリハビリテーション科の資料は「口すぼめ呼吸とは,息を吐くときに口をすぼめる呼吸法です.」とし、COPDの方は口を大きく開けて勢いよく吐くと空気の通り道が狭くなって肺の空気が出にくくなるが、口をすぼめることでしっかりと吐くことができ、吐ければその後の空気を吸いやすくなると説明しています。基本は鼻から吸って口から吐き、吐くときはロウソクの火を揺らすように軽く口をすぼめ、火を消すほど強く吹いてはいけないとしています。

同資料は、力を入れて呼吸をすると逆に息切れが強くなることがあるため、リラックスして練習することを勧めています。腹式呼吸は病気の種類や程度によって逆に息切れが強くなることがあるため、担当の医師や理学療法士に相談したほうがよいとしています。COPDなどで息切れのある方は、自分に合った呼吸法を主治医に確認してから取り入れましょう。

歩く習慣で体を動かす量を少しずつふやす

厚生労働省の「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』推奨シート:高齢者版」では、高齢者の身体活動について次のように推奨しています。

強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)。

同じ推奨シートは「筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を、週3日以上行うことを推奨する。」「筋力トレーニングを週2~3日」行うことも勧めています。そのうえで「上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨する。」としています。咳が治まってきたばかりの時期に、いきなり40分を目指す必要はありません。体調のよい日に近所を歩く時間を少しずつのばしていきましょう。息が上がりすぎない運動の始め方は次の記事で紹介しています。

よくある質問

長引く咳について、よくいただく質問をまとめました。

高齢者の咳が止まらないのは「年のせい」でしょうか?

年齢だけで咳が長引くと決めつけないことが大切です。日本呼吸器学会は、比較的元気でも咳や痰が3週間以上続くときは何か病気があると考えたほうがよいとしています。健康長寿ネットは、高齢者の咳で忘れてならないのは結核だとしています。かぜのあとに残る咳や後鼻漏、胃食道逆流症、血圧の薬など、原因がわかれば対処できるものも多いので、長引くときは医療機関で相談しましょう。

咳はどのくらい続いたら受診したほうがよいですか?

厚生労働省は、咳や痰が2週間以上続いたり、微熱や体のだるさが続いたりする場合は、早めに医療機関を受診するよう呼びかけています。日本呼吸器学会は、咳や痰が3週間以上続くときは何か病気があると考えたほうがよいとしています。息切れ、血の混じった痰、体重減少、およそ1週間以上続く発熱などがある場合は、期間にかかわらず早めに受診してください。急な息切れや呼吸困難、突然の胸の激しい痛みがあるときは119番で救急車を呼びましょう。

かぜは治ったのに咳だけ続きます。なぜですか?

日本呼吸器学会は、一部のウイルス感染では感染自体が収まっても気道が過敏な状態が続き、「感染後咳嗽」とよばれる長期間の咳の原因になると説明しています。MSDマニュアル家庭版は、呼吸器の感染が治ったあとの気道の過敏さを、3〜8週間続く咳の最も一般的な原因としています。ただし、マイコプラズマや百日咳菌などによる気管支炎・肺炎が原因のこともあるため、長引く場合や息苦しさをともなう場合は医療機関で確かめましょう。

夜になると咳が出て眠れません。何が考えられますか?

日本呼吸器学会は、夜間・早朝に多い咳の原因として、気管支喘息・咳喘息、胸やけをともなう逆流性食道炎、仰向けに寝ると出る後鼻漏、横になってしばらくたってから咳や息苦しさが出る心不全などを挙げています。喘息は高齢になってから発症する方も少なくないとしています。上半身を起こすと楽になる、足がむくむといった場合は心臓の病気のこともあるので、早めに受診してください。

市販の咳止めを飲み続けても大丈夫ですか?

健康長寿ネットは、咳も痰ももとは病気から体を守る反応であり、咳は止めないほうがいい時もあるとして、咳止めの使用については医師と相談するよう勧めています。MSDマニュアル家庭版も、咳止め薬は咳がひどいときや医師が勧めるときにのみ使用するとしています。市販薬で様子を見続けるより、長引く咳は原因を確かめることを優先しましょう。

血圧の薬を飲み始めてから咳が出るようになりました。やめてもよいですか?

自己判断で中止しないでください。日本呼吸器学会は、一部の降圧薬の副作用で咳が出ることがあり、その場合は薬の種類を変更するとしています。MSDマニュアル家庭版は、ACE阻害薬という血圧の薬で、使い始めて数日から数か月以内に乾いた咳が出ることがあるとしています。処方した医師や薬剤師に相談しましょう。

参考にした主なデータ・指針

まとめ|咳が止まらないときは「サインの確認」と「2〜3週間」が目安

シニア・高齢者の咳が止まらない背景には、かぜのあとに残る咳、喘息・咳喘息、COPD、後鼻漏、胃食道逆流症、血圧の薬などさまざまな原因があり、高齢者では結核や咳の出にくい肺炎にも注意が必要です。急な息切れや胸の激しい痛みがあるときは救急車を、血の混じった痰や体重減少、続く発熱があるときや、咳が2〜3週間続くときは早めの受診を優先しましょう。

今日からできる、咳が止まらないときの対処法:

  • 急な息切れ・胸の痛み・血の混じった痰などのサインがないかを先に確かめる
  • 咳が2週間以上続いたら、「年のせい」にせずかかりつけ医に相談する
  • 咳の期間・痰・時間帯・飲んでいる薬をメモして受診する
  • たばこと煙を避け、乾いた空気・冷たい空気からのどを守る
  • 手洗い・咳エチケット・口のケアで、かぜと肺炎を防ぐ

咳が落ち着いたら、呼吸を整えて体を動かす習慣を、まちFitで

「咳が長引いて外出が減り、体力が落ちた気がする」「一人だと運動が続かない」――そんな方は、通う場所と仲間がいると続けやすくなります。まちFitは「健やかな毎日を、まちのそばで。」をコンセプトに、60代からのシニアの方が無理なく通える健康スタジオです。

  • 運動がはじめての方でも参加しやすいやさしいレッスン
  • 椅子を使い、無理のない姿勢で体を動かせる
  • 同年代の仲間と通うから、運動習慣が続けやすい
  • スタッフが体調や目的に合わせて声かけ・サポート
まちFit池上スタジオで体を動かすシニアの様子

池上スタジオでは、軽い運動と一緒に、ゆったりとした呼吸と声の出し方を練習する45分のレッスン「呼吸&発声『声活』レッスン」を開いています。椅子を使う運動強度のやさしいレッスンで、大きな声を出す機会が減った方にも参加しやすい内容です。咳が続いている間や熱があるときは参加を控え、治療中の方は主治医に相談のうえご参加ください。

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この記事はまちFit編集部監修のもと、公的機関や学会、専門家の解説などが公開する情報を参照して作成しています。内容は一般的な健康情報の整理であり、特定の効果を保証するものではありません。

本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とする医療行為に代わるものではありません。咳が長く続く、だんだんひどくなる、血の混じった痰が出る、息苦しさをともなうなど気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。緊急性が高いと感じたときは迷わず119番に通報してください。

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