脳トレ体操のやり方|60代・高齢者が自宅でできる認知症予防の運動

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まちFit
スタジオ運営責任者
東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
「最近、人の名前が思い出しにくい」「同時に二つのことをするのが苦手になった」——そんな変化を感じ始めた60代・高齢者の方に注目されているのが、体を動かしながら頭を使う脳トレ体操です。ただの脳トレ(計算や漢字のドリル)でも、ただの体操でもなく、その二つを一度に行うのが特徴で、認知症予防や介護予防を意識した習慣として広がっています。この記事では、自宅で無理なく始められる脳トレ体操のやり方を、まちFit編集部が分かりやすくご紹介します。特別な道具はいりません。椅子に座ったままでもできるので、運動が苦手な方や70代・80代の方にも取り入れやすい内容です。
脳トレ体操とは?体を動かしながら頭を使う運動
脳トレ体操とは、足踏みやステップなどの運動をしながら、同時に計算やしりとりといった「頭の課題」に取り組む運動のことです。体と頭の両方に軽い負荷をかけることで、体力維持と脳への刺激を一度に得られる点が注目されています。ここでは、その基本的な考え方と、よく知られている「コグニサイズ」についてご紹介します。
二つのことを同時に行う「デュアルタスク」が鍵
脳トレ体操の土台にあるのが、「二つの動作を同時に行う」という考え方です。専門的にはデュアルタスク(二重課題)と呼ばれ、たとえば足踏みをしながら数を数える、歩きながらしりとりをする、といったものが当てはまります。私たちは日常生活でも、歩きながら会話をしたり、料理をしながら段取りを考えたりと、無意識に二つのことを同時にこなしています。加齢とともにこうした「ながら動作」がしにくくなることがありますが、脳トレ体操はそれを楽しみながら練習できる運動です。
国立長寿医療研究センターが開発した「コグニサイズ」
脳トレ体操を語るうえで欠かせないのが「コグニサイズ」です。これは、国立長寿医療研究センターが開発した、運動と認知課題を組み合わせた取り組みの総称です。健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)では、コグニサイズについて「国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みの総称を表した造語です」と説明されています。脳トレ体操の代表的な考え方といえます。
目安は「軽く息がはずみ、ときどき間違えるくらい」
コグニサイズには、負荷のかけ方に一つの目安があります。健康長寿ネットによると、運動は「全身を使った中強度程度の負荷(軽く息がはずむ程度)」がかかるものとされ、認知課題については「運動の方法や認知課題自体をたまに間違えてしまう程度の負荷」が目安とされています。つまり、スラスラできてしまう課題では脳への刺激が物足りず、逆に難しすぎても続きません。「ときどき間違えるくらい」がちょうどよいと覚えておくと、自宅でも調整しやすくなります。

脳トレ体操が60代・シニアにうれしい理由
脳トレ体操は、頭の刺激だけでなく体にもよい影響が期待できる運動です。ここでは、60代・シニアの毎日にどう役立つのかを、体・脳・気持ちの三つの面に分けてご紹介します。無理なく続けることで、健康寿命を延ばす習慣づくりにもつながります。
足腰の体力維持と転倒予防につながる
足踏みやステップを伴う脳トレ体操は、それ自体が下半身を使う運動です。続けることで足腰の体力維持に役立ち、ふらつきの少ない安定した動きにつながることが期待できます。バランスを取りながら頭も使うため、転倒予防を意識したトレーニングとしても取り入れやすく、フレイル予防・介護予防の観点からもうれしい運動です。
頭を使うことが認知症予防への一歩になる
運動と認知課題を組み合わせる取り組みは、もともと認知症予防を目的として研究・開発されてきました。計算やしりとり、リズムに合わせた動作などで頭に程よい刺激を与えることは、脳の健康を保つための生活習慣の一つとして期待されています。もちろん脳トレ体操だけで認知症を防げるわけではありませんが、運動・食事・人との交流といった習慣と組み合わせることで、認知症予防に前向きに取り組めます。
楽しさと達成感が「続ける力」になる
脳トレ体操は、間違えても笑い合えるような遊びの要素があり、「今日はうまくできた」という達成感が得られやすい運動です。家族や仲間と一緒に行えば会話も生まれ、社会とのつながりを保つきっかけにもなります。楽しみながら自立した生活を続けるための、心強い味方といえるでしょう。

自宅でできる脳トレ体操のやり方7選
ここからは、道具を使わず自宅でできる脳トレ体操を7つご紹介します。いずれも「運動+頭の課題」を同時に行うのがポイントです。はじめは動作だけ、慣れてきたら課題を足す、というように段階的に取り組みましょう。ふらつきが心配な方は、椅子に座ったり壁のそばで行ったりして、転倒予防に気をつけてください。
①足踏み+数かぞえ(3の倍数で手をたたく)
その場で足踏みをしながら、声に出して1、2、3……と数を数えます。そして3の倍数(3、6、9……)のときだけ手をたたきます。足・声・手の三つを同時に使う、脳トレ体操の入門にぴったりの動きです。慣れてきたら「5の倍数で手をたたく」など、ルールを変えて刺激を新しくしましょう。
②足踏みしりとり
足踏みを続けながら、頭のなかや声に出してしりとりをします。一人でも、家族と交互でも楽しめます。「食べ物の名前だけ」「駅の名前だけ」などテーマを決めると、少し難しくなって頭の体操になります。
③後出しジャンケン(負ける手を出す)
相手や自分の出した手に対して、「わざと負ける手」を後から出します。勝つのは簡単でも、負ける手を選ぶには一瞬考える必要があり、これがよい刺激になります。一人のときは「グーが出たらパーで負ける」と声に出しながら、リズムよく手を動かしましょう。
④グーパー体操(左右で違う形)
両手を前に出し、右手はグー・左手はパーにします。次に、右手をパー・左手をグーへと同時に入れ替えます。左右で違う動きをするのがポイントで、はじめはゆっくり、慣れてきたら少しずつリズムを速めます。片方の手は胸に、もう片方は前に伸ばす形にすると難易度が上がります。
⑤指折り数え歌
親指から順に指を折りながら、季節の歌や童謡を歌います。歌のリズムと指の動きを合わせることで、手先と頭を同時に使えます。座ったままできるので、テレビを見ながらの「ながら運動」にもおすすめです。
⑥もも上げ+しりとり・計算
椅子に浅めに座り、背すじを伸ばして片方のももを軽く持ち上げ、左右交互に繰り返します。その間、しりとりや「100から7を順に引く」といった計算を続けます。下半身の運動と頭の課題を組み合わせることで、足腰の体力維持と脳への刺激を同時にねらえます。
⑦片足立ち+数かぞえ
壁や机に手を添え、片足を軽く上げて立ちます。その姿勢のまま、ゆっくり数を数えたり、簡単な計算をしたりします。バランス運動と認知課題の組み合わせで、転倒予防を意識したい方に向いています。ぐらつく場合は無理をせず、壁や机など支えのそばで行いましょう。
これらは一例です。次の記事でも、脳と体を一緒に動かすヒントを紹介しています。あわせて取り入れてみましょう。


一人だと単調になりがちな脳トレ体操も、音楽と仲間があると続けやすくなります。まちFitの脳トレリズム体操は、手と足を別々に動かしたりリズムに合わせて動いたりしながら、頭と体を同時に使う体操レッスンです。
脳トレ体操を安全に楽しく続けるコツ
脳トレ体操は、正しく続けることで良さが積み重なる運動です。ここでは、けがを防ぎながら習慣にするためのポイントと、他の運動との組み合わせ方をご紹介します。無理なく続けることが、健康寿命を延ばすいちばんの近道です。
転倒を防ぐための注意点
立って行う脳トレ体操は、頭を使うぶん足元への注意がそれやすくなります。次の点に気をつけて、安全に取り組みましょう。
- はじめは椅子に座って行い、慣れてから立って行う
- 立って行うときは、壁や机など支えになるもののそばで
- すべりにくい靴下や室内履きを使い、床の障害物を片づける
- 痛みや強い息切れ、めまいを感じたら、ただちに中止する
- 持病がある方や治療中の方は、始める前に医師に相談する
1日5分から、少しずつ難しく
大切なのは、毎日長時間がんばることよりも、短くても続けることです。まずは1日5分ほどから始め、生活のなかの決まった時間に取り入れると習慣になりやすくなります。動作に慣れて簡単に感じてきたら、課題のルールを変える・リズムを速める・二つの課題を重ねるなどして、「ときどき間違えるくらい」の難しさを保ちましょう。
歩く・筋トレなど他の運動と組み合わせる
脳トレ体操は、他の運動と組み合わせることでより充実します。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(高齢者版)では、高齢者について「歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)」とされ、あわせて「筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を、週3日以上行うことを推奨する」と示されています。ウォーキングや有酸素運動、軽い筋力づくりと脳トレ体操を組み合わせて、体全体をバランスよく動かしていきましょう。


仲間や趣味とつなげて楽しむ
続ける力になるのは、やはり「楽しい」という気持ちです。好きな音楽に合わせたり、趣味の活動と組み合わせたりすると、自然と笑顔が増えます。人との交流は脳にとってもよい刺激になります。

よくある質問
- 脳トレ体操は毎日やった方がよいですか?
-
毎日でなくてもかまいません。大切なのは、短い時間でも続けることです。まずは1日5分ほどから、週に数回でも生活のリズムに合わせて取り入れてみましょう。無理なく続けられるペースが、いちばんよいペースです。
- 運動が苦手でも続けられますか?
-
はい、椅子に座ったままできる動きも多く、運動が苦手な方や70代・80代の方にも取り入れやすい内容です。はじめは動作だけ、慣れてきたら頭の課題を足す、というように少しずつ進めれば大丈夫です。
- どのくらいの時間や難しさを目安にすればよいですか?
-
時間は1日5分程度から始め、慣れたら10分ほどに延ばすのがおすすめです。難しさは、運動で軽く息がはずみ、頭の課題を「ときどき間違えるくらい」が目安とされています。簡単すぎると感じたら、ルールを変えて刺激を新しくしましょう。
- 脳トレ体操だけで認知症は予防できますか?
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脳トレ体操は、認知症そのものを解消するものではありません。運動・食事・十分な睡眠・人との交流といった生活習慣全体を整えることが大切で、脳トレ体操はその一つとして前向きに取り入れられる習慣です。気になる症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。
- 何歳から始められますか?70代・80代でも大丈夫ですか?
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年齢に関係なく始められます。70代・80代の方は、椅子に座って行う、支えのそばで行うなど、安全を優先して取り組みましょう。体調や持病に不安がある方は、始める前に医師に相談すると安心です。
- 一人でやるのと、みんなでやるのはどちらがよいですか?
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どちらにも良さがあります。一人なら自分のペースで気軽に続けられ、みんなで行うと会話や笑いが生まれ、社会とのつながりを保つきっかけになります。ご自身が楽しく続けられる方法を選ぶのがおすすめです。
参考にした主なデータ・指針
- 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「コグニサイズ-認知症予防へ向けた運動-」(コグニサイズの定義、および運動は「軽く息がはずむ程度」・認知課題は「たまに間違えてしまう程度」という負荷の目安を引用)
- 国立長寿医療研究センター「コグニサイズとは?」(コグニサイズが同センター予防老年学研究部の認知症予防運動プログラムであることの確認に使用。同ページから公式冊子「認知症予防に向けた運動 コグニサイズ」が配布されています)
- 厚生労働省(健康日本21アクション支援システム)「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』推奨シート:高齢者版」(高齢者の身体活動の推奨(1日40分・約6,000歩、多要素な運動を週3日以上)を引用)
まとめ
脳トレ体操は、体を動かしながら頭を使うことで、体力維持と脳への刺激を同時にねらえる運動です。国立長寿医療研究センターが開発したコグニサイズのように、「軽く息がはずむ運動」と「ときどき間違えるくらいの課題」を組み合わせるのがコツ。転倒予防に気をつけながら、1日5分から自宅で気軽に始められます。認知症予防や介護予防を意識した習慣として、楽しみながら続けていきましょう。
今日から始める脳トレ体操の習慣:
- 足踏みしながら数を数える「ながら運動」を1日5分から始める
- 慣れてきたら計算やしりとりで、課題を少しだけ難しくする
- 転倒を防ぐため、椅子や壁のそばで無理なく行う
- ウォーキングや軽い筋トレと組み合わせ、体全体を動かす
- 家族や仲間と一緒に、笑いながら楽しく続ける
脳トレ体操を、まちのそばで一緒に続けませんか?
「一人だと続けられるか心配」「正しいやり方を教わりたい」という方は、シニア向けの運動スタジオを活用するのも一つの方法です。まちFitは、60代からの方が無理なく体を動かせるよう、体と頭を一緒に使うプログラムをスタッフがサポート。同じ世代の仲間と一緒に、楽しみながら健康習慣を続けられます。
- 専門スタッフが一人ひとりに合わせて運動をサポート
- 転倒予防やバランスを意識した、安全に配慮したプログラム
- 同世代の仲間ができて、楽しく通い続けられる
- 体を動かす習慣が、フレイル予防・介護予防につながる

「健やかな毎日を、まちのそばで。」——まちFitは、体を動かす習慣を通じて、自分らしい毎日を地域で応援しています。
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