60代のサルコペニア予防|筋肉量を守る運動と食事のコツ

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まちFit
スタジオ運営責任者
東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
「最近、ペットボトルのふたが開けにくい」「歩く速さが前より遅くなった気がする」——60代に入って、こんな小さな変化を感じていませんか。その背景には、加齢に伴う筋肉量の減少(サルコペニア)が関わっていることがあります。
サルコペニアは、年齢を重ねれば誰にでも起こりうる体の変化です。けれども、決して「年だから仕方がない」とあきらめるものではありません。早めに気づき、無理のない範囲で運動と食事を整えていくことで、予防につながると報告されています。
この記事では、シニア向け健康スタジオ「まちFit」のスタジオ運営者監修のもと、サルコペニアの基礎知識から、ご自宅でできるセルフチェック、60代から続けやすい運動と食事の工夫まで、やさしく整理してお伝えします。
サルコペニアとは?60代から知っておきたい筋肉の変化
サルコペニアとは、加齢に伴って全身の筋肉量が減り、筋力や身体機能が低下した状態を指す言葉です。聞き慣れない方も多いと思いますが、健康寿命を考えるうえで知っておきたい大切なキーワードです。まずは、その意味と60代との関わりを見ていきましょう。
筋肉量は、一般に成人期をピークとして、加齢とともに少しずつ減っていくとされています。とくに60代以降は、意識して体を動かさないと筋肉が落ちやすくなると考えられています。サルコペニアが進むと、転びやすくなったり、外出がおっくうになったりと、毎日の暮らしに影響が出てくることがあります。
日本サルコペニア・フレイル学会などが採用するアジア人向けの診断基準(AWGS2019)では、握力が男性で28kg未満、女性で18kg未満、歩く速さが毎秒1.0m未満といった目安が、筋力・身体機能の低下を見る指標のひとつとして示されています。これらはあくまで医療機関などで用いられる目安であり、診断はご自身で判断せず、気になる場合は医師にご相談ください。
まちFitスタジオでも、「孫を抱っこするのがつらくなった」「布団の上げ下ろしが重く感じる」といったお声をよくいただきます。こうした日常の「あれ?」というサインを見逃さないことが、予防の第一歩になります。

60代でサルコペニアが起こる主な原因
サルコペニアは、ひとつの理由だけで起こるわけではありません。加齢という土台のうえに、生活習慣や栄養など、いくつかの要因が重なって進んでいくと考えられています。原因を知ることで、対策のヒントが見えてきます。
加齢による筋肉の変化
年齢を重ねると、筋肉をつくる働きと分解する働きのバランスが変わり、同じ生活をしていても筋肉量を保ちにくくなるとされています。これは自然な変化ですが、後述する運動や食事の工夫で、その進み方をゆるやかにすることが期待できます。
運動不足(体を動かす機会の減少)
退職や子育ての一段落などで生活リズムが変わると、知らないうちに体を動かす時間が減りがちです。筋肉は使わないと衰えやすいため、座っている時間が長い生活が続くと、筋肉量の減少につながりやすくなります。
たんぱく質をはじめとする栄養の不足
「あっさりした食事のほうが体に良い」と、肉や魚、卵などを控えめにしている方もいらっしゃいます。けれども、筋肉の材料となるたんぱく質が不足すると、筋肉量を保ちにくくなります。とくにシニア世代は、若い頃と同じ量を食べていても栄養が足りにくくなることがあるため、意識的な工夫が大切です。
このほか、病気による安静や食欲の低下なども、筋肉量の減少に関わることがあります。複数の原因が重なりやすいからこそ、「運動」と「食事」の両面から、ご自身のペースで整えていくことが予防につながります。

ご自宅でできるサルコペニアのセルフチェック
「自分はどうだろう?」と気になった方のために、特別な道具を使わずにご自宅で試せるチェック方法をご紹介します。あくまで簡易的な目安ですが、体の状態に気づくきっかけになります。気になる結果が出ても不安になりすぎず、早めの対策のヒントとして役立てましょう。
指輪っかテスト
東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授らが考案した、よく知られた簡易チェックです。両手の親指と人差し指で輪をつくり、利き足ではないほうのふくらはぎの一番太い部分を、力を入れずに軽く囲んでみます。
- 囲めない(指が届かない):筋肉量は保たれていると考えられます
- ちょうど囲める:やや注意したい状態です
- すき間ができる:サルコペニアの可能性があり、対策を意識したい状態とされています
ふくらはぎは全身の筋肉の状態が表れやすい部位とされ、「すき間ができる」ほど細い場合は、筋肉量の減少が進んでいるおそれがあると報告されています。
暮らしの中で気づくサイン
次のような項目に心当たりが増えてきたら、筋肉の衰えのサインかもしれません。当てはまる数が多いほど、運動や食事を見直す良い機会です。
- 横断歩道を青信号のうちに渡りきれないことがある
- いすから手をつかずに立ち上がるのがつらい
- 手すりを使わずに階段を上るのがきつくなった
- ペットボトルやびんのふたが開けにくい
- 以前よりつまずいたり、ふらついたりしやすい

60代から始めるサルコペニア予防の運動
サルコペニアの予防では、筋肉に程よく負荷をかける運動(筋力トレーニング)が大切とされています。厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、高齢者には有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動などを組み合わせ、筋トレを週2〜3日行うことがすすめられています。ここでは、ご自宅で無理なく始められる動きを中心にご紹介します。
いすを使ったスクワット
いすの前に立ち、いざというときに座れる安心感を保ちながら、ゆっくり腰を下ろして立ち上がる動きです。太ももやお尻といった大きな筋肉をまとめて使えるため、効率よく足腰を支える力を養うことが期待できます。10回を目安に、息を止めず、ご自身のペースで行いましょう。
かかと上げ運動
壁やいすの背に軽く手を添えて立ち、かかとをゆっくり上げ下げします。ふくらはぎの筋肉を使う運動で、血流を促し、歩く力やバランスを支えるのに役立つとされています。テレビを見ながらでも取り組みやすい動きです。
片足立ち(バランス運動)
転倒予防の観点からは、バランスを保つ力を養う運動も大切です。机や手すりに手を添え、片足を軽く浮かせて姿勢を保ちます。ふらつく場合は、いつでも足をつけられるようにして、無理のない範囲で行ってください。

運動は、一度にたくさん行うよりも、少しずつでも続けることが筋肉量の維持につながると考えられています。「物足りないくらい」から始め、慣れてきたら回数を増やしていくのがおすすめです。痛みや違和感がある日は無理をせず、お休みする勇気も大切にしましょう。

筋肉を守る食事のポイント|たんぱく質を中心に
どれだけ運動をしても、筋肉の材料となる栄養が足りなければ、筋肉量は保ちにくくなります。サルコペニア予防では、運動と食事は車の両輪です。ここでは、毎日の食卓で意識したい栄養のポイントを整理します。
たんぱく質を毎食コツコツと
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、高齢期の低栄養・フレイル予防の観点から、65歳以上のたんぱく質目標量が15〜20%エネルギーに設定されています。一般に、シニア世代は若い頃よりも多めにたんぱく質をとることが大切とされています。
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などを、朝・昼・晩の3食に分けてとると、体が効率よく利用しやすいと考えられています。朝食がパンとコーヒーだけになりがちな方は、ゆで卵やヨーグルト、納豆などを一品足す工夫から始めてみましょう。


ビタミンDやその他の栄養もバランスよく
たんぱく質だけでなく、筋肉や骨の健康に関わるビタミンDやカルシウムなども、バランスよくとりたい栄養です。ビタミンDは鮭やきのこ類などに多く含まれ、適度に日光を浴びることでも体内でつくられるとされています。
「やせすぎ」に注意する
サルコペニア予防に関するよくある質問
最後に、まちFitスタジオでシニアの方からよくいただく質問にお答えします。日々のセルフケアの参考にしてください。
- サルコペニアは何歳ごろから気をつければよいですか?
-
筋肉量は加齢とともに少しずつ減っていくとされ、一般に60代以降はとくに意識したい時期と考えられています。ただし、40〜50代から運動と食事を整えておくことが、将来の予防につながります。年齢にかかわらず、気づいたときに始めるのがおすすめです。
- 運動が苦手でも予防できますか?
-
激しい運動である必要はありません。いすを使ったスクワットやかかと上げなど、ご自宅でできる軽い動きを、ご自身のペースで続けることが大切です。無理のない範囲で「少しずつ」を心がけましょう。痛みがある場合は中止し、医師にご相談ください。
- たんぱく質はサプリメントでとってもよいですか?
-
基本は、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品など、毎日の食事からバランスよくとることがすすめられています。食事だけで不足しがちな場合の補助として活用する方もいますが、持病やお薬がある方は、利用前に医師や薬剤師にご相談ください。
- 一度減ってしまった筋肉は元に戻りますか?
-
筋肉は何歳になっても、適切な運動と栄養によって変化が期待できると報告されています。「もう年だから」とあきらめる必要はありません。継続することで、立ち上がりや歩行が楽になったと感じる方もいらっしゃいます。
- どのくらい続ければ変化を感じられますか?
-
感じ方には個人差があり、はっきりした期間をお約束することはできません。一般に、運動や食事の習慣は、数週間から数か月単位でコツコツ続けることが大切とされています。まずは「続けられる形」を見つけることを目標にしましょう。
- 一人で続ける自信がありません。どうすればよいですか?
-
一人で続けるのが難しいと感じる方は、家族や友人と一緒に取り組んだり、地域の通いの場や運動施設を利用したりするのも一つの方法です。仲間がいると楽しく続けやすくなります。まちFitのようなシニア向けスタジオを活用するのもおすすめです。
参考にした主なデータ・指針
- 日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診断基準の改訂(AWGS2019)」
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動・運動ガイド2023 推奨シート:高齢者版」
- 国立健康・栄養研究所「日本人の食事摂取基準(高齢者・たんぱく質)」
まとめ|60代からのサルコペニア予防は今日の一歩から
サルコペニア(加齢に伴う筋肉量の減少)は、年齢を重ねれば誰にでも起こりうる変化ですが、早めの対策で予防につながると報告されています。大切なのは、運動と食事の両面から、ご自身のペースで無理なく続けることです。
今日から始めるサルコペニア予防の習慣:
- 週2〜3回の軽い筋トレ:いすスクワットやかかと上げを「物足りないくらい」から
- 毎食のたんぱく質:肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を3食に分けて
- ときどきセルフチェック:指輪っかテストで筋肉の状態に気づく
- こまめに体を動かす:座りっぱなしを避け、歩く機会を増やす
- 気になるときは医師に相談:急な体力低下や痛みは早めに専門家へ
小さな一歩でも、続けることで未来の元気につながります。できることから、今日始めてみませんか。

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- シニアの体に配慮した、無理のないプログラム
- 一人ひとりのペースに合わせた運動量の調整
- 通いやすい、まちのそばの立地
- 仲間と一緒だから楽しく続けられる雰囲気

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