大人の塗り絵の効果|60代・シニアが楽しく続ける脳活の始め方

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まちFit
スタジオ運営責任者
東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
「大人の塗り絵」に興味はあるけれど、本当に効果があるのか気になっていませんか。下絵に好きな色をぬるだけの大人の塗り絵は、絵が苦手な方でも始めやすく、60代・シニアの趣味として手軽に楽しめます。
この記事では、55〜75歳の方を対象にした海外の研究や国内の研究をもとに、大人の塗り絵にどんな効果がわかっているのか、反対にまだわかっていないことは何かを、まちFit編集部監修のもとで整理しました。あわせて、楽しく続けるための始め方や、体を動かす習慣との組み合わせ方も紹介します。
大人の塗り絵とは?絵が苦手でも始めやすい趣味
子どもの塗り絵との違い
大人の塗り絵は、花や風景、こまやかな模様などが描かれた下絵に、自分の好きな色をぬっていく趣味です。子ども向けの塗り絵とくらべて絵柄が細かく、色の組み合わせや濃淡のつけ方を工夫する楽しみがあります。正解はなく、同じ下絵でもぬる人によってまったく違う一枚に仕上がります。
絵を描く技術がいらないから、始めやすい
塗り絵は、すでに描かれた下絵に色をぬるものなので、絵を描く技術はいりません。塗り絵と気分の変化を調べた金沢工業大学などの研究グループも、絵を描くのが苦手な人にとって、絵の得意・不得意が関係ない方法として塗り絵を挙げています。色えんぴつと下絵があれば自宅ですぐに始められ、天気に左右されないのも続けやすい点です。
塗り絵のほかにも、60代から始めやすい趣味はたくさんあります。趣味の見つけ方は、次の記事にまとめています。

大人の塗り絵の効果は?研究でわかっていること
大人の塗り絵の効果を調べた研究は、まだ数が多くありません。ここでは、シニア世代を対象にした研究と、塗り絵の最中の体の反応を調べた国内の研究を紹介します。どちらも、1回の塗り絵の前後で気分や体の反応を比べたものです。
55〜75歳の研究:マンダラの塗り絵20分で、不安が和らいだ
台湾で行われた研究(2020年発表)では、地域の高齢者向けの学習センターに通う55〜75歳の120人(平均65.1歳、女性が73.3%)を、くじ引きのような方法で4つのグループに分けました。参加者は、過去に怖かった出来事を思い出していったん不安を高めたあと、次のいずれかを20分間行いました。
- マンダラ(円形の幾何学模様)の塗り絵
- 不規則な格子模様の塗り絵
- 白い紙に自由に描く
- 読書(比較のためのグループ)
塗り絵と自由画のグループには、6色の色えんぴつが配られました。その結果、読書のグループとくらべて不安の程度がはっきり低くなったのは、マンダラの塗り絵のグループだけでした。質問の項目別にみても、マンダラのグループでは、落ち着き・安心・くつろぎ・休まった感じ・満足感・気分のよさの6つの気持ちが、読書のグループより良い結果でした。
一方、格子模様の塗り絵や自由画では、読書のグループとの差ははっきりしませんでした。研究者は、塗るという作業そのものよりも、マンダラの模様が関係している可能性を指摘しています。また、この研究は1回20分の効果をみたもので、続けた場合の効果は今後の研究が必要だとしています。
塗り絵の最中は頭を使っていても、ストレスの反応は出にくかった
昭和大学の研究(2014年)では、健康な女性24人(平均21歳)に、市販の大人のぬり絵(バラの花の下絵)と、ストレスのかかる作業として使われる連続の足し算(内田クレペリン精神検査)を、別の日にそれぞれ行ってもらい、作業中の体の反応をくらべました。
その結果、額のあたりで測った脳の血流量と心拍は、ぬり絵でも足し算でも、安静にしているときより作業中のほうが高くなりました。ところが、ストレスの目安とされる唾液の成分(唾液アミラーゼ)は、足し算では作業中に高くなったのに対し、ぬり絵でははっきりした変化がありませんでした。作業前後の気分の検査では、ぬり絵のあとに「緊張・不安」「抑うつ・落ち込み」「怒り・敵意」「混乱」の点数が下がっていました(「活気」の点数も下がっていました)。
研究者は、ぬり絵は計算作業と同じくらい脳を使う作業でありながら、心理的なストレスが認められない作業であることが示されたとまとめています。ただし対象は20代の女性で、60代・シニアにそのまま当てはまるかはわかっていません。頭を使いながら気持ちよく取り組める「脳活」の時間として楽しむ、くらいに受け止めるのがよいでしょう。
手先を動かし、一枚を仕上げる楽しみ
色えんぴつの力を加減しながら、線からはみ出さないようにぬる作業は、手先や指先を細かく使います。手指をしっかり動かしたい方は、塗り絵とあわせて手指体操を取り入れるのもおすすめです。

一枚をぬり終えたときの「できた」という手ごたえや、季節の花を思い出の色でぬるといった自分らしい表現も、塗り絵ならではの楽しみです。完成した作品を飾ったり、家族に見せたりすると、会話のきっかけにもなります。毎日の楽しみや張り合いの見つけ方は、次の記事でも紹介しています。

塗り絵で認知症は防げる?知っておきたいこと
塗り絵を続けると認知症を防げるかは、確かめられていない
ここまで紹介した研究は、どれも1回の塗り絵の前後で気分や体の反応をみたもので、塗り絵を続けると認知症になりにくくなるかを確かめたものではありません。塗り絵を「脳活」として楽しむのはよいことですが、塗り絵だけで認知症を防げると考えるのは早計です。
そもそも認知症の「予防」について、厚生労働省などがまとめた「認知症施策推進大綱」(2019年)は、「「予防」とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味である。」と説明しています。そのうえで、「運動不足の改善、糖尿病や高血圧症等の生活習慣病の予防、社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持等が、認知症の発症を遅らせることができる可能性が示唆されている」としています。塗り絵は、運動や人との交流と組み合わせて楽しむのがおすすめです。認知症予防のために毎日できる習慣は、次の記事にまとめています。

座りっぱなしにならないよう、体を動かす時間も
塗り絵は座って楽しむ趣味なので、夢中になると長い時間座ったままになりがちです。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(高齢者版)は、「座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する(立位困難な人も、じっとしている時間が長くなりすぎないよう、少しでも身体を動かす)。」としています。
厚生労働省のスマート・ライフ・プロジェクトのページでは、「1日に40分ほどからだを動かす高齢者は、10〜15分ほどしかからだを動かさない人に比べて、関節痛や認知症になるリスクが20%も低いことがわかっています」と紹介されています。塗り絵の合間に立ち上がって体を動かしたり、散歩に出かけたりして、座りっぱなしの時間を区切りましょう。座りっぱなしを減らす工夫は、次の記事で紹介しています。

60代から大人の塗り絵を楽しく続ける始め方
大人の塗り絵は、道具選びと続け方のちょっとした工夫で、より楽しくなります。はじめての方に向けて、始め方のポイントを紹介します。
道具は、色えんぴつと好きな下絵から
まずは手持ちの色えんぴつと、気に入った絵柄の塗り絵が1冊あれば始められます。先ほど紹介した台湾の研究でも、使ったのは6色の色えんぴつでした。たくさんの色をそろえなくても、慣れてきて配色を楽しみたくなったら、少しずつ色を増やせば十分です。
図柄は「ぬってみたい」と思えるものを
花や風景、動物、模様など、自分が「ぬってみたい」と思える絵柄を選ぶのが、長く続けるいちばんのコツです。細かすぎる絵柄で目や手が疲れるときは、ひとつひとつの区切りが大きいものを選ぶと、気持ちよくぬり進められます。気持ちを落ち着けたいときは、台湾の研究で使われたマンダラのような円形の模様を選んでみるのも一つの方法です。
1回15〜20分くらいで区切り、合間に体を動かす
紹介した2つの研究で塗り絵をした時間は、1回20分、または15分を2回でした。一度に仕上げようとせず、そのくらいの時間で区切ると、無理なく続けられます。明るい場所でぬり、区切りのたびに立ち上がって肩を回したり、少し歩いたりして体をほぐしましょう。
仲間と一緒に楽しむと、続ける張り合いに
一人で静かに楽しむのもよいですが、家族や友人と作品を見せ合ったり、地域の集まりで一緒にぬったりすると、会話がはずみ、続ける張り合いになります。先ほどの大綱が挙げているように、社会参加は認知症の発症を遅らせる可能性が示されている取り組みのひとつです。
まちFitでは、ボールペンと蛍光マーカーで季節のイラストや文字を描き、色のぬり方のコツも教わる「季節のボールペンイラスト」のレッスンを、池上と川崎のスタジオで開いています。絵が苦手な方も歓迎の、45分のレッスンです。
大人の塗り絵についてよくある質問
- 絵が苦手でも大人の塗り絵は楽しめますか?
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はい、楽しめます。塗り絵はすでに描かれた下絵に色をぬるものなので、絵を描く技術はいりません。正解もなく、好きな色を自由にぬるだけで作品になります。まずは手持ちの色えんぴつと、気に入った絵柄の塗り絵から気軽に始めてみてください。
- 大人の塗り絵には、どんな効果がわかっていますか?
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台湾で55〜75歳の120人を対象に行われた研究では、マンダラ(円形の模様)の塗り絵を20分行ったグループで、読書のグループより不安の程度が低くなりました。格子模様の塗り絵や自由画では、はっきりした差はみられませんでした。国内の研究では、ぬり絵は頭を使う作業でありながら、ストレスの反応が出にくいことが示されています。ただし、どちらも1回の塗り絵の前後をみた研究です。
- 塗り絵をすれば認知症を防げますか?
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塗り絵を続けると認知症になりにくくなるかは、確かめられていません。厚生労働省などがまとめた認知症施策推進大綱は、認知症の「予防」とは、認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにするという意味だと説明しています。そのうえで、運動不足の改善や生活習慣病の予防、社会参加などが発症を遅らせる可能性を示しています。塗り絵は、運動や人との交流と組み合わせて楽しみましょう。
- 1回にどのくらいの時間、塗り絵をすればよいですか?
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決まった時間はありません。紹介した研究では、1回20分、または15分を2回ぬっていました。一度に仕上げようとせず、そのくらいの時間で区切り、合間に立ち上がって体を動かすと、座りっぱなしを防ぎながら無理なく続けられます。
- 塗り絵の道具は、たくさんそろえる必要がありますか?
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いいえ、色えんぴつと塗り絵の本があれば始められます。台湾の研究でも、使ったのは6色の色えんぴつでした。慣れてきて配色を楽しみたくなったら、少しずつ色を増やすとよいでしょう。
参考にした主なデータ・指針
- Coloring Activities for Anxiety Reduction and Mood Improvement in Taiwanese Community-Dwelling Older Adults: A Randomized Controlled Study(Evid Based Complement Alternat Med. 2020)(55〜75歳の地域在住の120人を対象に、マンダラの塗り絵・格子模様の塗り絵・自由画・読書を20分間行い不安の変化を比べた研究。対象者の属性、6色の色えんぴつ、マンダラの塗り絵のグループだけで不安が有意に低かったこと、項目別の6つの気持ち、模様が関係している可能性、長期の効果は今後の研究が必要であることを参照)
- 埜﨑都代子ほか「作業療法の効果:「ぬり絵」の「内田クレペリン精神検査」との対比による検討」(昭和学士会誌 第74巻第4号、2014年)(健康な女性24人(平均21歳)を対象に、ぬり絵と連続加算作業の最中の脳血流量・心拍・唾液アミラーゼと、作業前後の気分(POMS)を比べた結果を参照)
- 野末美和子ほか「塗り絵による脳活動および気分の変化」(日本心理学会第82回大会発表論文集、2018年)(絵を描くことが苦手な人にとって、絵の得意・不得意が関係ない方法として塗り絵が挙げられるという記述を参照)
- 厚生労働省「認知症施策推進大綱」(PDF)(認知症の「予防」の意味と、運動不足の改善・生活習慣病の予防・社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持等が認知症の発症を遅らせることができる可能性が示唆されているという記述を引用)
- 「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート:高齢者版(e-ヘルスネット)(座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意するという推奨事項を引用)
- 厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト「身体活動・運動」(1日に40分ほどからだを動かす高齢者は、10〜15分ほどしかからだを動かさない人に比べて関節痛や認知症になるリスクが20%低いという記述を引用)
まとめ|大人の塗り絵は、体を動かす習慣と組み合わせて楽しく続ける
大人の塗り絵は、絵を描く技術がなくても始められる、60代・シニアにぴったりの趣味です。55〜75歳を対象にした研究では、マンダラの塗り絵を20分行うと不安が和らぐという効果が確かめられ、国内の研究でも、ぬり絵は頭を使いながらストレスの反応が出にくい作業だと示されています。一方で、塗り絵を続けると認知症を防げるかはわかっていません。座りっぱなしにならないよう体を動かす時間も持ち、仲間との交流も楽しみながら、毎日の脳活として続けていきましょう。
今日から始める大人の塗り絵の習慣:
- 手持ちの色えんぴつと、ぬってみたい絵柄の1冊から始める
- 1回15〜20分くらいで区切り、合間に立ち上がって体を動かす
- 気持ちを落ち着けたいときは、マンダラのような円形の模様を選んでみる
- 散歩や体操など、体を動かす習慣と組み合わせる
- 家族や仲間と作品を見せ合い、交流を楽しむ
塗り絵の時間と、体を動かす時間をまちFitで
塗り絵で心を落ち着ける時間に加えて、体を動かす時間を持つことで、毎日の暮らしにメリハリが生まれます。まちFitは「健やかな毎日を、まちのそばで。」をコンセプトに、60代からのシニアの方が無理なく通える健康スタジオです。同世代の仲間と一緒に、体を動かす習慣を続けられます。
- 椅子を使うなど、無理のない姿勢で続けられる運動
- 足腰やバランスを支える力を、少しずつ育てる内容
- 同年代の仲間と通うから、運動習慣が続けやすい
- スタッフが体調や目的に合わせて声かけ・サポート

運動は、自分に合った強さで、続けられることが何より大切です。まちFitでは、体験や見学を通して雰囲気を確かめてから始められます。
まずは見学や体験から始めてみませんか?
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