バランス訓練のやり方7選|60代・高齢者が自宅でできる転倒予防

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まちFit
スタジオ運営責任者
東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
年齢を重ねると、片足立ちがふらついたり、ちょっとした段差でつまずきやすくなったりと、体の「バランス」の衰えを感じる方が増えてきます。バランス訓練は、60代・高齢者の転倒予防やフレイル予防、そして自分の足で歩ける生活を長く続けるために役立つ運動として、シニアの方に広くすすめられています。この記事では、シニアの方が自宅で無理なく続けられるバランス訓練のやり方7選を、安全に行うコツや続け方のポイントとあわせてわかりやすくご紹介します。まちFit編集部監修のもと、公的機関の指針も参考にまとめました。
バランス訓練とは?シニアに大切な理由
バランス訓練とは、立ったり歩いたりするときに体が傾いても倒れずに姿勢を保つ力(バランス能力)を養う運動のことです。特別な道具がなくても自宅で始められ、転倒予防や介護予防、フレイル予防を意識するシニアの方にとって、筋力トレーニングと並んで大切な運動習慣とされています。まずは、なぜバランス訓練が必要なのかを整理しておきましょう。
加齢でバランス能力が落ちる仕組み
バランスを保つ力は、足腰の筋力、関節の柔らかさ、そして体の傾きを感じ取る感覚など、複数の働きが組み合わさって成り立っています。ところが加齢とともに筋肉量が減っていくサルコペニアや、体を動かす機会が減ることによる筋力低下が進むと、これらの働きがゆるやかに衰えていきます。その結果、60代を過ぎたころから「片足で立つとぐらつく」「歩いていて方向を変えるときにふらつく」といった変化を感じる方が増えていきます。
こうした移動する力の衰えは、ロコモティブシンドローム(ロコモ)とも深く関わります。日本整形外科学会は、ロコモティブシンドロームを「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」と説明しています。同学会はロコモへの対処法の一つとして「運動器の力の衰えに対する筋力やバランス力のトレーニング」を挙げており、バランスを養う運動はロコモ対策のなかに位置づけられています。
ロコモとはどのような状態か、自分で確かめられるロコチェックやロコモ度テストについては、次の記事にまとめています。

転倒予防と自立した生活のために
バランス能力が保たれていると、つまずいたときにとっさに足を踏み出して踏みとどまりやすくなり、転倒の予防につながることが期待できます。転倒は骨折などのきっかけになりやすく、その後の生活の範囲を狭めてしまうこともあります。反対に、日ごろからバランス訓練を続けて体力維持に取り組むことは、フレイル予防や介護予防、そして自分の足で歩ける生活を長く続けることにもつながっていきます。
公的な指針でも、バランスの運動は転倒予防の柱として扱われています。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(高齢者版)は、筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた運動を「多要素な運動」と呼び、「高齢者では多要素な運動によって、転倒・骨折が減少し、身体機能が維持・向上します」と説明しています。同シートによると、多要素な運動を主体とした運動プログラムでは転倒リスクが12%~32%、転倒・骨折のリスクが15~66%低減したことが認められています。
フレイルとはどのような状態か、運動や社会参加とどう関わるのかは、次の記事でくわしく解説しています。

バランス訓練を始める前に確認したいこと
バランス訓練はふらつきを伴う運動なので、始める前の準備がとても大切です。安全に続けるための環境づくりと、無理をしない目安を確認しておきましょう。ここを押さえておくと、転倒予防のための運動でかえって転んでしまう、といった事態を避けやすくなります。
先ほどの推奨シートも、推奨事項のなかで「特に身体機能が低下している高齢者については、安全に配慮し、転倒等に注意する」と明記しています。やり方を覚えることよりも、まず安全な環境を整えることが先です。
安全に行うための準備
片足立ちのようにふらつきやすい運動は、支えになるものを用意してから行うことが大切です。次のような準備をしておくと安心です。
- 手が届くところで支えられるように、安定した椅子の背もたれや、丈夫なテーブル、壁のそばで行う
- 床の敷物やコード類など、つまずきの原因になるものを片づけておく
- すべりにくい靴下や室内履きを選び、はだしやスリッパでの運動は避ける
- 食後すぐや空腹時は避け、水分をとりながら落ち着いた気持ちで行う
こんなときは無理をしない・受診の目安
運動中に強い痛みやめまい、息苦しさを感じたときは、ただちに中止して休みましょう。ひざや腰に持病がある方、めまいや立ちくらみが続く方、以前に転倒して不安が大きい方などは、始める前にかかりつけの医師に相談すると安心です。体調のすぐれない日は思いきって休み、「無理なく続けられる範囲」で行うことが、長く運動習慣を保つコツです。
足が上がらずつまずきやすいと感じる原因と、足腰への具体的な対策は、次の記事にまとめています。

自宅でできるバランス訓練のやり方7選
ここからは、60代・70代のシニアの方が自宅で無理なく取り組めるバランス訓練のやり方を7つご紹介します。いずれも椅子や壁のそばで、支えを用意して行うことが大前提です。回数はあくまで目安なので、ご自身の体力に合わせて少ない回数から始め、慣れてきたら少しずつ増やしていきましょう。
立って行う基本のバランス訓練
まずは立った姿勢で行う基本の3種目です。椅子の背もたれや壁に手が届く場所で行いましょう。
- 片足立ち(フラミンゴ運動):机や椅子に手を添え、片足を軽く床から浮かせて5〜10秒ほど保ちます。左右を1回ずつ、2〜3セットが目安です。ふらつくときは、つま先を床につけたままかかとだけ浮かせても構いません。
- かかと上げ・つま先上げ:支えにつかまって立ち、かかとをゆっくり上げてつま先立ちになり、次にかかとを床につけてつま先を持ち上げます。ふくらはぎやすねの筋力を使い、10回ほどくり返します。
- 横への足上げ:支えにつかまり、片足を横へゆっくり上げて下ろします。お尻の横の筋肉を意識すると、歩くときの左右の安定につながります。左右各10回ほどが目安です。
椅子を使った安全なバランス訓練
立ち姿勢に不安がある方は、椅子に座ったまま、または椅子を支えにして行う運動から始めると安心です。足腰の筋力を養いながら、バランスの土台をつくれます。
- 浅めのスクワット:椅子の前に立ち、足を肩幅くらいに開きます。椅子に軽く腰かけるようにお尻を後ろへ引き、ゆっくり座る一歩手前まで下ろして立ち上がります。10回を目安に、太ももの筋力を無理なく養います。ふらつきが心配な方は、横に置いたテーブルなどに手を添えて行いましょう。
- 座って足踏み:椅子に浅く腰かけ、背すじを伸ばして、その場で太ももを交互に高く上げます。腕も一緒に大きく振ると、体幹を使ったバランスの練習になります。20〜30回を目安にリズムよく行います。
太ももやお尻まわりの筋力を自宅で養う運動は、次の記事で8つ紹介しています。

歩きながら行うバランス訓練
基本の運動に慣れてきたら、歩く動きの中でバランスを養う2種目にも挑戦してみましょう。立ち止まって行う運動よりもふらつきやすいので、壁ぎわなど、いつでも手をつけられる場所で行ってください。
- つぎ足歩行:一方の足のかかとを、もう一方の足のつま先にそろえるようにして、一直線の上を歩くイメージでゆっくり進みます。壁に片手を添えて、5〜10歩を目安に行います。
- その場ウォーキング:その場で足踏みをしながら、腕を大きく前後に振ります。慣れてきたら軽くももを上げ、視線は前に向けます。1分ほどを目安に、呼吸を止めずに行いましょう。
歩き方そのものを見直したい方は、歩行訓練の始め方をまとめた次の記事もあわせてご覧ください。

バランス訓練の効果を高める続け方のコツ
バランス訓練は、一度にたくさん行うよりも、無理のない量をこつこつ続けることが大切です。ここでは、公的機関の指針をもとにした運動量の考え方と、習慣にするための工夫を紹介します。体力維持や介護予防のためにも、日々の生活に少しずつ取り入れていきましょう。
どのくらいの頻度で行うとよい?
同じ推奨シートでは、シニアの運動について次のように推奨されています。
強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)。
筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を、週3日以上行うことを推奨する。
このように、バランスの運動は筋力や柔軟性の運動と組み合わせ、週3日以上を目安に続けることがすすめられています。あわせて、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上に相当)行うことも推奨されています。
目安に届かないと感じても心配はいりません。同じ推奨シートには「上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨する」とも書かれています。まずは今より少しでも体を動かすことから始め、慣れてきたら週3日を目標にしていくとよいでしょう。
介護予防という視点から運動を選びたい方は、次の記事でくわしく解説しています。

無理なく習慣にする工夫
運動を長く続けるには、「がんばりすぎない仕組みづくり」が役立ちます。次のような工夫を取り入れてみてください。
- 歯みがきのあとに片足立ち、というように、毎日の生活動作とセットにする
- テレビを見ながら、料理の合間になど、「ながら」でできる種目から始める
- カレンダーに続けられた日を書き込み、無理なく取り組めた自分を認める
- 家族や友人と一緒に取り組み、声をかけ合って運動習慣を保つ
一人では続けにくいと感じる方は、シニア向けの体操教室やスタジオで、仲間と一緒に取り組む方法もあります。人と会って体を動かす機会は、体力維持だけでなく気分転換にもつながります。
よくある質問
- バランス訓練は毎日行ったほうがよいですか?
-
毎日行っても構いませんが、まずは無理のない範囲で続けることが大切です。公的機関の指針では、筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上行うことがすすめられています。体調のすぐれない日は休み、痛みのない範囲で取り組みましょう。
- 運動が苦手でも始められますか?
-
はい。この記事では、椅子に座ったまま行える「座って足踏み」もご紹介しています。まずは座ったままできる種目や、椅子・壁の支えを使う種目から始め、慣れてきたら支えを軽くした種目に少しずつ挑戦していくと安心です。
- 片足立ちがふらついて怖いのですが、どうすればよいですか?
-
椅子の背もたれや壁など、手をつけられる場所で行ってください。最初はしっかり支えにつかまり、つま先を床につけたままかかとだけ浮かせる方法から始めても構いません。慣れとともに、支える手を軽くしていきましょう。
- どのくらい続けると変化を感じられますか?
-
感じ方には個人差があり、はっきりお伝えすることはできません。一般的には、無理なく続けることでバランス能力や足腰の筋力の維持につながると考えられています。数値の変化よりも、「以前より歩くのが楽になった」といった日常の実感を目安にするとよいでしょう。
- ひざや腰に痛みがあってもできますか?
-
痛みがあるときは無理をせず、まずはかかりつけの医師に相談してください。持病がある場合は、どの運動をどの程度行ってよいかを確認したうえで、痛みの出ない範囲で取り組むことが大切です。
- 筋力トレーニングとどちらを優先すべきですか?
-
どちらか一方ではなく、組み合わせることがすすめられています。指針では、筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上行うことに加えて、筋力トレーニングを週2~3日行うこと(多要素な運動に含めてもよい)が推奨されています。バランス訓練と筋力トレーニングは互いに補い合う関係なので、無理のない範囲で両方を取り入れましょう。
参考にした主なデータ・指針
- 厚生労働省「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』推奨シート:高齢者版」(強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上に相当)、筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上、筋力トレーニングを週2~3日(多要素な運動に含めてもよい)、「上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨する」「特に身体機能が低下している高齢者については、安全に配慮し、転倒等に注意する」という推奨事項と、多要素な運動による転倒リスク12%~32%・転倒骨折リスク15~66%の低減に関する記述を引用)
- 日本整形外科学会「ロコモを知ろう|ロコモONLINE」(ロコモティブシンドロームの「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」という定義と、対処法として挙げられている「運動器の力の衰えに対する筋力やバランス力のトレーニング」の記述を引用)
まとめ
バランス訓練は、片足立ちや椅子を使った運動など、自宅で無理なく始められるシニアの運動習慣です。転倒予防やフレイル予防、介護予防につながり、自分の足で歩ける生活を長く続ける助けになります。支えを用意して安全に、週3日以上を目安にこつこつ続けていきましょう。
今日から始めるバランス訓練の習慣:
- 椅子や壁の支えを用意し、安全な環境を整えてから始める
- 片足立ちや浅めのスクワットなど、できる種目から少しずつ取り入れる
- 筋力・バランス・柔軟性の運動を組み合わせ、週3日以上を目標にする
- 痛みや体調不良のときは無理をせず、必要に応じて医師に相談する
まちFitで、仲間と一緒にバランス訓練を始めませんか
「一人では続けられるか不安」「正しいやり方を教わりたい」という方には、シニア向け健康スタジオ「まちFit」がおすすめです。まちFitでは、60代・70代の方が無理なく取り組めるプログラムを、経験豊富なスタッフがそばで見守りながらご案内します。バランスや足腰の運動を、仲間と一緒に楽しく続けられる環境が整っています。
- ふらつきが不安な方も、スタッフが見守るなかで安心して運動できます
- 体力や体調に合わせて、無理のないメニューをご案内します
- 転倒予防やフレイル予防を意識した運動を、仲間と一緒に続けられます
- まちの近くに通えるから、運動習慣を無理なく保てます

「健やかな毎日を、まちのそばで。」をコンセプトに、まちFitは地域のシニアの体づくりを応援しています。年齢や運動経験を問わず、これから始めたい方も安心してお越しいただけます。
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