手すりの補助金|60代・高齢者が使える介護保険と申請方法・選び方

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まちFit
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ご自宅の玄関や階段に手すりを付けたいけれど、費用が気になる——そんな60代・高齢者の方やご家族は多いのではないでしょうか。実は、介護保険を使った住宅改修の補助金を活用すると、手すりの設置費用の負担を軽くできる場合があります。手すりは、家庭内の転倒予防や、自分の足で歩ける生活を長く続けるための大切な備えです。この記事では、まちFit編集部監修のもと、介護保険による手すりの補助金のしくみ、対象となる住宅改修、申請の流れ、そして手すりの選び方までを、やさしく整理してお伝えします。
離れて暮らすご両親の住まいが心配な方や、これからの備えを考えたいご家族にも役立つ内容です。「まだ介護は必要ないから関係ない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。けれども、手すりは要介護になってから慌てて考えるものではなく、60代など元気なうちからの転倒予防・介護予防の一つです。制度のしくみを知っておくと、いざというときにあわてず準備できます。
手すりの補助金とは?介護保険で費用の負担が軽くなるしくみ
手すりの設置に使える代表的な補助金が、介護保険の「住宅改修費」の支給です。要支援・要介護の認定を受けた方が対象で、手すりの取付けなどの住宅改修にかかった費用の一部が支給されます。まずは、その基本的なしくみを見ていきましょう。
支給限度基準額は生涯20万円(保険給付は原則9割)
厚生労働省の資料によると、介護保険の住宅改修費の支給限度基準額は、要支援、要介護区分にかかわらず生涯20万円と定められています。保険給付は原則9割で、支給額の上限は18万円です。自己負担の割合は所得に応じて変わり、保険給付が8割(上限16万円)・7割(上限14万円)となる場合もあります。
この20万円は「ひとり生涯20万円まで」が基本です。ただし、要介護状態区分が重くなったとき(三段階上昇時)や、転居した場合には、あらためて20万円までの支給限度基準額が設定されます。また、限度額の範囲内であれば、複数回に分けて申請することもできます。
対象になるのは要支援・要介護の認定を受けた方
この制度を利用できるのは、要支援1・2、または要介護1〜5の認定を受けている方です。まだ要介護認定を受けていない場合は、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターで、認定の申請から相談できます。高齢者ご本人とご家族が離れて暮らしている場合は、親御さんと一緒に窓口へ足を運ぶと、状況を伝えやすくなります。
離れて暮らす親の体力低下が気になる方に向けて、家族ができるサポートを次の記事にまとめています。

「償還払い」が原則。いったん立て替えます
介護保険の住宅改修費は、工事が終わったあとに申請して支給を受ける「償還払い」が原則です。厚生労働省の資料でも、必要な書類を添えて申請書を提出し、工事完成後に領収書等を提出することにより、実際の住宅改修費の9割相当額が償還払いで支給されると説明されています。つまり、いったんは費用の全額をご自身で支払い、あとから保険給付分が戻ってくるしくみです。自治体によっては、はじめから自己負担分だけを支払えばよい「受領委任払い」を選べる場合もありますので、お住まいの市区町村に確認しておくと安心です。
介護保険の対象になる住宅改修と手すりの種類
介護保険の住宅改修は、手すりの取付けだけでなく、いくつかの工事が対象になっています。まずは制度で定められた工事の種類を確認し、そのうえで手すりにどんなタイプがあるかを見ていきましょう。
対象となる住宅改修は6種類
厚生労働省の資料では、介護保険の対象となる住宅改修の種類として、次の6つが挙げられています。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
手すりの取付けは、この6種類の先頭に挙げられている基本的な工事です。転倒予防のために、まず手すりから検討する方が多いのはこのためです。厚生労働省の2025(令和7)年国民生活基礎調査によると、介護が必要となった主な原因は、「要介護者」では「認知症」が23.6%で最も多く、次いで「骨折・転倒」が14.8%となっています。まずは家庭内の環境を整えることが、転倒予防の第一歩です。
転倒による骨折を防ぐ運動や食事、住まいの工夫は、次の記事でくわしく解説しています。

手すりには縦・横・L字型などの種類があります
手すりは、付ける場所や目的によって形が異なります。立ち座りを支える「縦手すり」、歩くときに体を支える「横手すり」、その両方を兼ねた「L字型手すり」などが代表的です。どの手すりが合うかは、体の状態や動作のクセによって変わります。
ご本人が実際に動く様子を見ながら選ぶことが大切です。次の章で、場所ごとの選び方を具体的に見ていきましょう。
手すりを付けたい場所と選び方(家庭内の転倒予防)
家庭内の転倒は、ちょっとした段差や動作の切り替わりで起こりやすいものです。手すりを付ける場所を考えることは、そのまま転倒予防の見直しにつながります。ここでは、設置を検討したい場所と、選ぶときのポイントを整理します。
設置を検討したい主な場所
次のような場所は、体重を移したり立ち座りをしたりする動作が多く、手すりがあると安心です。
- 玄関(上がり框での立ち座り、靴の脱ぎ履き)
- 階段(上り下りの支え)
- 廊下(歩行の途中の支え)
- トイレ(立ち座りの動作)
- 浴室・浴槽まわり(またぎ動作、滑りやすい床)
- 寝室(起き上がりや立ち上がり)
家庭内で転倒が起こりやすい段差やリスクについては、次の記事も参考になります。

高さと握りやすさは実際の動作に合わせて
手すりの高さや太さは、ご本人の身長や握力に合わせて決めます。一般的には、握ったときに軽く肘が曲がるくらいの高さが目安とされますが、実際に立ったり歩いたりしながら位置を確かめることが大切です。握力が弱くなってきた方には、少し太めで滑りにくい手すりが握りやすいこともあります。
設置場所や高さの判断に迷うときは、ケアマネジャーや施工事業者、リハビリの専門職に相談すると、体の状態に合った提案を受けられます。手すりは、自立した生活を支え、ロコモティブシンドローム(ロコモ)やフレイルが気になり始めた方の暮らしの安心にもつながります。手すりで環境を整えることと、運動で体を整えることを組み合わせると、転倒予防により役立ちます。
手すりで環境を整えることと合わせて取り入れたい介護予防の運動は、次の記事にまとめています。

補助金を受け取るまでの申請の流れ
介護保険の住宅改修費は、工事を始める前の「事前申請」が原則です。順番を間違えると支給を受けられないこともあるため、流れをしっかり確認しておきましょう。厚生労働省の資料では、大きく次のような流れが示されています。
①まずはケアマネジャー等に相談
最初に、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談します。どこにどんな手すりが必要か、体の状態に合った改修かどうかを一緒に考えてもらえます。この段階で、転倒予防や介護予防の観点からのアドバイスも受けられます。相談のあとは、施工事業者を選び、見積もりを依頼します。
②工事の前に申請書類を提出(事前申請)
工事を始める前に、支給申請書、工事費見積り書、住宅改修が必要な理由書、住宅改修後の完成予定の状態が分かるもの(日付入り写真または住宅の間取り図など)を、保険者(市区町村)へ提出します。市町村は内容を確認し、その結果を教示します。なお、住宅改修が必要な理由書は、介護支援専門員(ケアマネジャー)や地域包括支援センターの担当職員、作業療法士などが作成します。
③施工から完成まで
確認が済んだら工事を行い、手すりの取付けなどの住宅改修を完成させます。完成後は、施工業者へ費用を支払います。工事の前後の写真は、あとの申請で必要になるため、原則として撮影日がわかる形で残しておきます。
④工事後に支給申請(償還払い)
工事が終わったら、住宅改修に要した費用に係る領収書、工事費内訳書、住宅改修の完成後の状態を確認できる書類(便所、浴室、廊下等の箇所ごとの改修前及び改修後それぞれの写真とし、原則として撮影日がわかるもの)などを提出して、正式な支給申請を行います。改修した住宅の所有者がご本人でない場合は、住宅の所有者の承諾書も必要です。保険者が確認し、住宅改修費の支給を必要と認めた場合、住宅改修費が支給されます。なお、やむを得ない事情がある場合については、住宅改修が完了したあとに、支給申請書と住宅改修が必要な理由書を提出することができるとされています。
介護保険以外の助成制度も確認しましょう
手すりの設置には、介護保険の住宅改修費のほかに、市区町村が独自に設けている助成制度が使えることもあります。制度の名前や対象、金額は自治体によって異なります。
たとえば、高齢者向けの住宅改修費を助成する制度や、バリアフリー改修を支援する制度などがあり、要介護認定を受けていない方でも対象になる場合があります。介護保険の制度と組み合わせられるかどうかも含めて、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターで確認してみましょう。制度を上手に活用することが、家庭内の転倒予防やバリアフリー化の第一歩になります。60代のうちから情報を集めておくと、介護予防やフレイル予防の視点からも、早めの備えが安心につながります。
介護保険外サービスの種類や費用の目安については、次の記事にまとめています。

フレイルの意味や、運動・社会参加を含めた予防の考え方は、次の記事が参考になります。

よくある質問
手すりの補助金や介護保険の住宅改修について、シニアの方やご家族からよくいただく質問をまとめました。
- 介護保険の手すりの補助金は、誰でも使えますか?
-
要支援1・2、または要介護1〜5の認定を受けた方が対象です。まだ認定を受けていない方は、市区町村の窓口や地域包括支援センターで、認定の申請から相談できます。認定がない方でも、自治体独自の助成制度が使える場合があります。
- 手すりの取付けで、いくらまで補助が受けられますか?
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介護保険の住宅改修費の支給限度基準額は、生涯20万円です。保険給付は原則9割で、支給額の上限は18万円です。所得に応じて、保険給付が8割(上限16万円)・7割(上限14万円)となる場合もあります。手すりだけでなく、段差の解消など他の対象工事と合わせて、20万円の範囲で使えます。
- 工事のあとに申請しても大丈夫ですか?
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原則は工事を始める前の事前申請です。順番を守らないと支給を受けられないことがあるため、まずはケアマネジャーや市区町村に相談しましょう。やむを得ない事情がある場合については、住宅改修が完了したあとに、支給申請書と住宅改修が必要な理由書を提出することができるとされています。
- 費用は、最初から1割だけ払えばよいのですか?
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原則は「償還払い」で、いったん全額を支払い、あとから保険給付分(原則9割)が戻ってくるしくみです。自治体によっては、最初から自己負担分だけを支払う「受領委任払い」を選べる場合もあります。
- 手すりは、どこに付けるのが良いですか?
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玄関、階段、廊下、トイレ、浴室、寝室など、立ち座りや歩行の支えが必要な場所が候補です。実際の動作を見ながら、ケアマネジャーや施工事業者と相談して決めると安心です。
- まだ元気ですが、今から手すりを考える意味はありますか?
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手すりは要介護になってからではなく、60代など元気なうちからの転倒予防・介護予防として役立ちます。制度を知っておくと、必要になったときにあわてず準備できます。まずは情報を集めることから始めてみましょう。
参考にした主なデータ・指針
- 厚生労働省「介護保険制度における住宅改修の概要」(支給限度基準額が生涯20万円で要支援、要介護区分にかかわらず定額であること、保険給付は原則9割〈上限18万円〉・所得に応じて8割〈上限16万円〉・7割〈上限14万円〉であること、限度額の範囲内であれば複数回の申請も可能であること、要介護状態区分が重くなったとき〈三段階上昇時〉・転居した場合に再度20万円までの支給限度基準額が設定されること、対象となる住宅改修の6種類、ケアマネジャー等への相談から事前申請・施工・支給申請までの手続きの流れと提出書類、住宅改修が必要な理由書の作成者、やむを得ない事情がある場合の取扱いを引用)
- 厚生労働省「介護保険における住宅改修」(必要な書類を添えて申請書を提出し、工事完成後に領収書等を提出することにより、実際の住宅改修費の9割相当額が償還払いで支給されることを引用)
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅳ 介護の状況(介護が必要となった主な原因は、「要介護者」では「認知症」が23.6%で最も多く、次いで「骨折・転倒」が14.8%であることを引用)
- 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」(手すりの設置などの住宅改修が、福祉用具とともに介護保険の給付の対象とされていること、給付対象種目としての住宅改修6種類を参照)
まとめ:手すりの補助金を上手に使って安心の住まいへ
手すりの設置は、介護保険の住宅改修費(支給限度基準額は生涯20万円、保険給付は原則9割で上限18万円)を使うと、費用の負担を軽くできる場合があります。手すりの取付けは対象となる6種類の工事の先頭に挙げられており、要支援・要介護の認定を受けた方が対象です。工事の前の事前申請が原則なので、まずはケアマネジャーや市区町村に相談することが、60代・高齢者の家庭内の転倒予防と自立した生活を支える第一歩です。
今日から始める手すりと住まいの見直しの習慣:
- 玄関・階段・トイレなど、家の中で「ヒヤリ」とする場所を書き出す
- 要支援・要介護の認定を受けているかを確認する
- 担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する
- 工事の前に事前申請を行う(この順番が大切)
- 自治体独自の助成制度もあわせて確認する
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