1日何歩歩けばいい?6000歩の意味と60代・70代・80代の目安

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まちFit
スタジオ運営責任者
東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
「1日何歩歩けばいいのだろう」——ウォーキングを始めようとするとき、60代・70代・80代の多くの方が最初に気になるのがこの疑問です。歩数は、介護予防やフレイル予防、転倒予防にもつながる、身近で続けやすい健康習慣の一つ。とはいえ「1日1万歩」という言葉だけが独り歩きして、かえって身構えてしまう方も少なくありません。この記事では、厚生労働省が示す歩数の目安と「1日6000歩」という数字の意味を分かりやすく整理し、年代ごとの考え方や、歩数を増やすときの注意点までご紹介します。
高齢者の歩数の目安は「1日約6,000歩」が一つの基準
まず結論からお伝えすると、65歳以上の方の歩数の目安は「1日約6,000歩(6000歩)」が一つの基準とされています。これは国が示す健康づくりの目標や指針にもとづくものです。ここでは、その根拠となる二つの公的な考え方を、順番に見ていきましょう。数字の意味が分かると、毎日の歩みが少し楽しみになります。
健康日本21(第三次)が示す1日の歩数目標
厚生労働省が進める健康づくり運動「健康日本21(第三次)」では、日常生活における1日の歩数の目標が、年代・性別ごとに示されています。65歳以上は男女とも6,000歩、20〜64歳は男女とも8,000歩が目標値です(令和14年度=2032年度の目標)。これらから算出した全体の指標として、20歳以上の全国民の平均歩数7,100歩/日も示されています。
ここでいう歩数は、運動としてのウォーキングだけでなく、買い物や家事といった日常の生活活動で歩いた分も含めた「1日の合計」です。ですから「運動の時間をわざわざつくらないと届かない数字」と身構える必要はありません。まずは、ふだんの暮らしの中でどれくらい歩いているかを知ることが出発点になります。
「身体活動・運動ガイド2023」高齢者版の考え方
もう一つの手がかりが、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の高齢者版です。ここでは、強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行うことがすすめられています。3メッツとは、ふつうの速さの歩行くらいの強さの目安です。
そのうえで、より具体的な目安として「歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)」と示されています。ただし同シートは冒頭で「個人差等を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組む。今よりも少しでも多く身体を動かす」とも述べており、数字はあくまで目安です。歩数と歩く時間、二つの見方を知っておくと、自分に合った続け方を選びやすくなります。

なぜ歩数がシニアの健康に役立つのか
「なぜ歩数を意識するとよいのか」を知っておくと、続ける気持ちが変わってきます。歩くという何気ない動きは、足腰の筋力から心の元気まで、シニアの毎日を幅広く支えてくれます。ここでは、体の面と、生活・心の面の二つに分けてご説明します。
足腰の筋力を保ち、ロコモ・転倒予防につながる
歩くことは、太ももやふくらはぎ、おしりなど、体を支える大きな筋肉を自然に使う運動です。年齢とともに筋肉量が減っていく状態はサルコペニアと呼ばれ、進むと立つ・歩くといった移動の機能が低下するロコモティブシンドロームにつながりやすくなります。日々こまめに歩いて足腰を動かすことは、こうした変化をゆるやかにし、体力維持を助けると一般的にされています。
足腰の筋力とバランスが保たれることは、転倒予防の面でも心強い支えになります。つまずいたときに踏みとどまる力や、とっさに足を出す力は、ふだん歩いているかどうかに左右されやすいためです。転倒による骨折は、その後の生活の自立を大きく左右することがあるため、日ごろの歩数づくりはフレイル予防・介護予防の土台にもなります。

生活のリズムと心の健康、健康寿命を支える
歩く習慣は、体だけでなく暮らしのリズムも整えてくれます。朝の散歩で日の光を浴びると生活のメリハリがつきやすく、外に出れば人との会話や季節の景色といった刺激にも出会えます。こうした外出と交流の機会は、気分の張りを保ち、意欲の低下を防ぐうえでも役立つと考えられています。
心身が元気に保たれることは、介護を必要とせず自立した生活を送れる期間、すなわち健康寿命をのばすことにつながります。歩数を意識した毎日は、フレイル予防や介護予防、そして健康寿命を支える、無理のない一歩といえるでしょう。まずは「今より少し多く歩く」ことから、体力維持の習慣づくりを始めてみてください。
8,000歩・10,000歩は目指すべき?歩数の考え方
「どうせなら1万歩を目指したほうがよいのでは」と考える方もいらっしゃいます。歩数は多いほどよいのでしょうか。ここでは、目標の数字とのつき合い方を整理します。大切なのは、背伸びした数字ではなく、自分が続けられる歩数を見つけることです。
「多ければ多いほどよい」とは限らない
先ほどの健康日本21(第三次)でも、65歳以上の歩数目標は6,000歩とされており、20〜64歳の8,000歩より控えめです。なお、この目標値は「こうあるべき」という理想から決められたものではなく、令和元年の現状値をもとに、その1.1倍を目安として設定されたものと説明されています。つまり、今の暮らしから少し増やせば届く数字として置かれているわけです。
では8,000歩に意味がないかというと、そうではありません。身体活動・運動ガイド2023(高齢者版)では「体力のある高齢者では成人同等(週23メッツ・時)の身体活動を行うことで、さらなる健康効果が期待できる」とされ、この週23メッツ・時は「毎日60分身体を動かす程度、歩数にして1日あたり8,000歩程度に相当します」と説明されています。8,000歩は、体力に余裕のある方が次に目指す段階の数字、と考えるとよいでしょう。
膝や腰に不安のある方が、いきなり1万歩を目標にすると、痛みや疲れにつながることもあります。数字を追いかけて体をこわしてしまっては本末転倒です。まずは6,000歩という目安を頭の片隅に置きつつ、体調と相談しながら進めることをおすすめします。
大切なのは「今より少し増やす」こと
もし今のあなたが1日3,000歩ほどなら、いきなり6,000歩を目指すより、まずは4,000歩、5,000歩と、少しずつ階段を上るように増やしていくほうが続きやすくなります。身体活動・運動ガイド2023(高齢者版)でも、推奨量に届かない場合であっても「少しの身体活動でも死亡率は低下する」ことが示されており、むしろ日頃の身体活動が少ない人ほど、少し増やしたときの変化は大きいと説明されています。ゼロを1にする一歩に、大きな意味があるのです。
また、同じ歩数でも、少し息が弾むくらいの速さで歩く時間を混ぜると、体への良い刺激になりやすいとされています。ただし速さを競う必要はありません。会話ができるくらいのペースを基本に、余裕のある日だけ少し歩幅を広げる——そのくらいの気持ちで十分です。
目安の歩数に無理なく近づく歩き方のコツ
目安が分かったら、次は「どう近づけるか」です。特別な運動を足さなくても、毎日の暮らしを少し見直すだけで歩数は自然と増やせます。ここでは、今の歩数の知り方から、生活の中の工夫、歩くときの姿勢や靴えらびまで、順番にご紹介します。
まずは今の歩数を知ることから
歩数を増やす第一歩は、現状を知ることです。歩数計や、多くのスマートフォンに入っている歩数の記録機能を使えば、ふだん自分がどれくらい歩いているかが分かります。1日だけでなく1週間ほど記録して平均を見ると、生活のクセが見えてきます。「思ったより歩いていた」「休みの日はぐっと減る」など、気づきが次の工夫につながります。
生活の中で歩数を増やす工夫
まとまった時間の運動が難しくても、日々の暮らしの中で歩く機会は意外とつくれます。次のような小さな工夫を、できるものから取り入れてみてください。
- 買い物は少し遠いお店まで歩いて行ってみる
- バスや電車は一つ手前で降りて歩く区間をつくる
- エレベーターを階段に変えてみる(無理のない範囲で)
- テレビを見ながらその場足踏みを取り入れる
- 朝や夕方に近所をひと回りする散歩の時間を決める
- 庭の手入れや掃除など、体を動かす家事を楽しむ
ポイントは、一度にたくさん歩こうとしないことです。5分、10分の細切れでも、1日の合計で考えて構いません。こまめに立ち上がって動くことで、座りっぱなしの時間を減らせるのも大きな利点です。
歩き方・靴えらび・時間帯は別記事にまとめています
歩数を増やしていくときは、歩き方そのものも合わせて見直すと体がずっと楽になります。ただ、かかとからの着地や腕の振り、シューズの選び方、歩く時間帯や距離といった「歩き方の実践」は内容が多いため、この記事では扱いません。次の記事にひとまとめにしてありますので、あわせてご覧ください。

「歩くとすぐ疲れてしまう」という方は、疲れの原因のほうから見直すと続けやすくなります。

歩数を増やすときにシニアが気をつけたいこと
歩くことは体にやさしい運動ですが、体調や環境によっては無理が禁物です。安全に、そして気持ちよく続けるために、あらかじめ知っておきたい注意点をまとめました。体からのサインに耳を傾けながら進めましょう。
体調や痛みのサインを大切にする
歩いている途中で、膝や腰の痛み、強い息切れ、胸の苦しさ、動悸、めまいなどを感じたら、無理をせず休みましょう。こうしたサインが続く場合や、いつもと様子が違うと感じる場合は、我慢せずかかりつけの医師にご相談ください。持病のある方や、これまであまり運動をしてこなかった方は、歩く量を増やす前に一度、医師に相談しておくと安心です。
膝や腰に痛みがある日は、歩数にこだわらず休むことも立派な選択です。痛みが気になるときは、体重が関節にかかりにくい室内の運動に切り替えるのも一つの方法です。無理なく体を動かせるメニューを知っておくと、天気や体調に左右されずに活動量を保ちやすくなります。

季節と安全への配慮
夏の暑い時間帯は、熱中症を避けるため、朝夕の涼しい時間を選び、水分をこまめにとりましょう。冬は、暖かい服装で、路面が凍っていないかにも気を配ります。天気が悪い日や体調のすぐれない日は、無理に外へ出る必要はありません。室内での足踏みや体操で体を動かし、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにするだけでも十分に意味があります。

よくある質問
- 高齢者は1日何歩を目安にすればよいですか?
-
健康日本21(第三次)では、65歳以上の1日の歩数目標として6,000歩が示されています。また身体活動・運動ガイド2023(高齢者版)では、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上に相当)行うことが推奨されています。いずれも一つの基準であり、体力や体調に合わせて調整することが大切です。まずは今より少し多く歩くことから始めてみてください。
- やはり1日1万歩を歩かないといけませんか?
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いいえ、1万歩を無理に目指す必要はありません。65歳以上の目標はおよそ6,000歩とされています。大切なのは数字を追いかけることではなく、無理なく続けられる歩数を見つけることです。膝や腰に不安のある方は、体調と相談しながら、今より少し増やすことを目標にしましょう。
- ほとんど歩いていません。何歩から始めればよいですか?
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まずは歩数計やスマートフォンで、今の歩数を1週間ほど記録してみましょう。そのうえで、今の歩数に1,000歩ほど足すことを最初の目標にすると取り組みやすくなります。身体活動・運動ガイド2023(高齢者版)でも、推奨量に届かなくても少しでも身体活動を行うことがすすめられており、日頃あまり動いていない人ほど少し増やしたときの変化は大きいとされています。小さな一歩から無理なく始めてください。
- 歩数は朝と夕方など、分けて歩いてもよいですか?
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はい、問題ありません。歩数は1日の合計で考えて構いません。まとまった時間がとれなくても、5分・10分の細切れを積み重ねるだけで十分です。買い物や家事などの生活の中で歩いた分も含まれますので、こまめに体を動かすことを心がけましょう。
- 膝や腰が痛むときも歩いたほうがよいですか?
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痛みがあるときは無理をせず、休むことを優先してください。痛みが続く場合は、我慢せずかかりつけの医師や専門家にご相談ください。関節に負担のかかりにくい、いすに座ってできる運動などに切り替えるのも一つの方法です。痛みのない範囲で体を動かすことを心がけましょう。
- 雨の日や暑い日はどう過ごせばよいですか?
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無理に外に出る必要はありません。室内での足踏みや体操で体を動かし、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにしましょう。特に夏の暑い時間帯は熱中症を避け、朝夕の涼しい時間を選ぶことが大切です。天候に左右されずに通える運動の場を持っておくと、活動量を保ちやすくなります。
参考にした主なデータ・指針
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「健康日本21(第三次)における身体活動・運動の目標」(65歳以上6,000歩・20〜64歳8,000歩・全体7,100歩という1日の歩数目標を参照)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』推奨シート:高齢者版」(週15メッツ・時以上の身体活動、歩行1日40分以上〈約6,000歩以上に相当〉、週23メッツ・時=1日約8,000歩程度という記述を参照)
まとめ:歩数の目安は「今より少し」から
高齢者の歩数の目安は、65歳以上でおよそ1日6,000歩が一つの基準です。これは健康日本21(第三次)の歩数目標や、身体活動・運動ガイド2023(高齢者版)が示す「歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上に相当)」という推奨にもとづくものです。ただし数字はあくまで目安。1万歩を無理に目指すより、今より少しだけ多く歩くことを積み重ねるほうが、フレイル予防・介護予防・転倒予防、そして健康寿命を支える力になります。毎日の一歩の積み重ねは、サルコペニアやロコモティブシンドロームを遠ざけ、自立した生活を長く保つことにもつながります。
今日から始める、歩数を増やす習慣:
- まずは今の歩数を知り、1週間の平均を把握する
- 今より1,000歩多くを最初の目標にする
- 買い物や家事など、生活の中で歩く機会を増やす
- 痛みや体調のサインがあれば無理をせず休む
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