健康寿命とは何か?日本の現状と60代から延ばすための習慣

この記事を書いた人

まちFit
スタジオ運営責任者

東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。

「できるだけ長く、自分の足で歩き続けたい」「介護が必要になることなく、最後まで自分らしく生きたい」――こうした思いを持つ方は多いのではないでしょうか。

この思いに深く関わるのが「健康寿命」という概念です。単に長く生きるだけでなく、「健康で自立した状態でどれだけ長く生きられるか」を示す指標として、近年注目が高まっています。

この記事では、健康寿命の定義・日本の現状・平均寿命との差が意味すること、そして60代から健康寿命を延ばすための具体的な習慣を詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 健康寿命とは何か・平均寿命との違い
  • 日本の健康寿命の現状とデータ
  • 健康寿命を縮める主な原因
  • 健康寿命を延ばす4つの柱(運動・栄養・睡眠・社会参加)
  • 60代から始めることで得られる効果
目次

健康寿命とは何か

WHO(世界保健機関)の定義

健康寿命(Healthy Life Expectancy / HALE)とは、WHO(世界保健機関)が提唱した概念で「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指します。

日本では厚生労働省が「日常生活に制限のない期間の平均」として算出し、定期的に発表しています。

平均寿命との違い

平均寿命は「生まれてから亡くなるまでの平均年数」ですが、健康寿命は「健康で自立した生活を送れる期間」です。この2つの差が「不健康な期間(介護・療養が必要な期間)」にあたります。

参考データ

厚生労働省の最新データ(2022年・令和4年)によると、日本人の平均寿命は男性81.05年・女性87.09年。健康寿命は男性72.57年・女性75.45年です。つまり「不健康な期間」は男性で約8.5年・女性で約11.6年にのぼります。(参考:厚生労働省「健康日本21(第三次)の目標一覧」)

日本の健康寿命の現状と課題

世界と比較した日本の立ち位置

日本は世界最長寿国のひとつであり、健康寿命においても世界トップクラスです。しかし課題は「平均寿命と健康寿命の差(不健康な期間)」が依然として10年前後あることです。

政府は「健康日本21(第三次)」において「健康寿命の延伸」を国家目標として掲げています。ただし目標値は「男性◯年」といった具体的な年数ではなく、令和14年度(2032年度)までに「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」を達成する、という形で設定されています。つまり、ただ長生きするのではなく、元気でいられる期間の伸びが寿命の伸びを上回ることを目指しています。

都道府県別の健康寿命格差

健康寿命は都道府県によって差があります。国は「健康日本21(第三次)」で、上位4分の1の都道府県の平均と下位4分の1の都道府県の平均を健康格差の指標としており、令和4年時点で男性は73.27年と71.75年(差は約1.5年)、女性は76.12年と74.77年(差は約1.4年)と報告されています。国はこの差を縮めることを目標のひとつに掲げています。

参考データ

厚生労働科学研究による都道府県単位の分析では、健康のために「特に何もしていない」人が多い都道府県ほど健康寿命が短く、逆に何らかの取り組みを実行している人が多い都道府県ほど健康寿命が長いことが報告されています。また、喫煙率が高い都道府県では平均寿命と平均自立期間が短く、女性では関節痛など筋骨格系の症状を訴える人が多い都道府県ほど健康寿命が短い傾向もみられました。(参考:横山徹爾「健康寿命の地域格差とその要因に関する研究」令和3年度 厚生労働科学研究 分担研究報告書)

健康寿命を縮める主な原因

要介護状態になる主な原因(再掲・詳細版)

厚生労働省「2025年(令和7年)国民生活基礎調査」によると、介護が必要となった主な原因の上位は①認知症(16.7%)②高齢による衰弱(15.6%)③骨折・転倒(14.6%)④脳血管疾患・脳卒中(12.5%)⑤関節疾患(9.1%)です。このうち②③⑤を合わせると約4割にのぼり、いずれも生活習慣・運動習慣による予防が期待できる分野です。

生活習慣が健康寿命に与える影響

  • 運動不足:筋力低下・心肺機能低下・肥満・糖尿病リスク増大
  • 栄養不足・偏食:たんぱく質不足による筋肉量低下・骨粗しょう症
  • 睡眠不足:免疫力低下・認知機能低下・生活習慣病リスク増大
  • 社会的孤立:認知機能低下・うつ・フレイル進行の加速
  • 喫煙・過度な飲酒:循環器疾患・がんリスクの大幅な増大

逆に言えば、これらの生活習慣を改善することが、健康寿命延伸への最も直接的なアプローチです。

健康寿命を延ばす4つの柱

①:定期的な運動習慣(最も効果が大きい要因)

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行う高齢者は、身体活動をほとんど行わない高齢者と比べて、総死亡および心血管疾患死亡のリスクが約30%程度低下することが示されています。また有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動などを組み合わせた多要素な運動により、転倒リスクが12〜32%、転倒・骨折のリスクが15〜66%低減したと報告されています。

  • 週3回以上・各20〜30分の運動が推奨される
  • 椅子に座ったままでもできる運動から始めて構わない
  • 「楽しい・続けやすい」という要素が長期継続の鍵

②:バランスのとれた栄養(特にたんぱく質)

食事からの栄養、特にたんぱく質の摂取は健康寿命に直結します。60代以降のたんぱく質不足は筋肉量低下→転倒リスク増大という流れで、健康寿命を短縮させます。

  • 体重1kgあたり1g/日以上のたんぱく質を1日3食で均等に摂る
  • 野菜・魚・大豆製品を中心とした食事パターンが健康寿命と正の相関
  • 過度な飲酒・加工食品の摂りすぎを避ける

③:良質な睡眠(回復・記憶・免疫の基盤)

睡眠不足は認知機能や免疫、生活習慣病のリスクと関わることが知られています。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人はおおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間とされ、60歳以上でも6〜8時間が目安とされています。長く眠るほど良いわけではなく、床上時間が8時間以上にならないことも目安とされています。

④:社会参加・人とのつながり

人とのつながりは、健康寿命を考えるうえで欠かせない要素です。国も「健康日本21(第三次)」で「社会活動を行っている高齢者の増加」を目標に掲げ、令和14年度までに80%(ベースライン69.6%)を目指すとしています。

  • 地域活動・ボランティア・趣味のグループへの参加
  • 友人・家族との定期的な交流
  • スポーツクラブ・スタジオなど「人と一緒に体を動かす」機会

60代から始めることで得られる具体的な効果

「60代は健康寿命を延ばすための最後の重要な分岐点」とも言えます。70代・80代からでも改善は可能ですが、60代から取り組んだ場合の効果の大きさは格別です。

参考データ

年齢を重ねてから始めても、体はきちんと応えてくれます。平均87歳(72〜98歳)の方を対象とした研究では、10週間の筋力トレーニングで筋力が平均113%向上したと報告されています。(参考:Fiatarone MA et al., N Engl J Med. 1994;330:1769-75)

健康寿命と「まちFit」の存在意義

まちFitは「健康寿命を延ばす」という社会的使命のもとに運営されているシニア特化型の健康スタジオです。

60〜80代の方が「楽しく・安全に・仲間と一緒に」体を動かせる環境を提供することで、池上・川崎エリアのシニアの健康寿命延伸に貢献することがまちFitの使命です。

  • 運動習慣の形成:週複数回の継続的なレッスン参加
  • 社会参加の場:同年代の仲間とのコミュニティ形成
  • 専門的サポート:個々の体の状態に合わせた安全な指導

健康寿命延伸に向けた国・地域の取り組み

個人の取り組みと並行して、国・地域の介護予防施策を活用することも健康寿命延伸の重要な手段です。

厚生労働省「健康日本21(第三次)」

2024年度から始まった「健康日本21(第三次)」では、健康寿命の延伸・健康格差の縮小を最重要目標として掲げています。令和14年度(2032年度)までに「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」を目指しており、運動習慣の向上・たんぱく質摂取の推進・社会参加の促進が主要施策として位置づけられています。

地域包括支援センターの活用

各市区町村に設置されている「地域包括支援センター」では、介護予防サービスの案内・地域の運動教室の情報提供・フレイルチェックなどが無料で受けられます。「まだ介護認定は受けていないが、体力が心配」という段階でも相談できます。

  • 65歳以上であれば誰でも無料で相談できる
  • 地域の介護予防教室・運動教室の情報を提供してもらえる
  • かかりつけ医・ケアマネージャーへの橋渡しもしてもらえる

よくある質問(FAQ)

健康寿命を延ばすために最も効果的なことは何ですか?

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者は歩行またはそれと同等以上(3メッツ以上)の身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上)、筋力トレーニングを週2〜3日、多要素な運動を週3日以上行うことがすすめられています。あわせて、地域活動やスポーツクラブなど人と関わる機会を持つことも、健康日本21(第三次)の目標に掲げられています。

健康寿命と平均寿命の差はどうすれば縮められますか?

運動習慣・栄養管理・定期的な健康診断・社会参加を組み合わせることが大切です。日本の平均寿命と健康寿命の差は令和4年時点で男性が約8.5年・女性が約11.6年あり、この期間を縮めることが国の目標として掲げられています。

何歳から健康寿命への意識を持つべきですか?

理想は40代から意識することですが、60代でも十分に間に合います。大切なのは「今日から始めること」であり、60代で習慣を作った方は70代・80代でも元気に生活している方が多いです。

参考にした主なデータ・指針

  • 厚生労働省「健康日本21(第三次)の目標一覧」(健康寿命 令和4年値:男性72.57年・女性75.45年/平均寿命:男性81.05年・女性87.09年/目標=平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001707761.pdf
  • 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」(介護が必要となった主な原因) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/index.html

まとめ|健康寿命延伸は「今日の習慣の積み重ね」で実現できる

健康寿命とは単に長く生きることではなく「健康で自立した状態で生きられる期間」です。日本人の不健康な期間は男性で約9年・女性で約12年にのぼりますが、この差は生活習慣の改善によって大幅に縮めることができます。

今日から始める健康寿命延伸の習慣:

  • 週3回・20〜30分の適度な運動
  • 毎食のたんぱく質意識(体重×1g以上)
  • 7時間前後の良質な睡眠
  • 地域活動・スポーツクラブへの参加

健康寿命を延ばしたいなら、まちFitがおすすめ

「健康寿命を延ばしたい」「介護が必要になる前に体を整えたい」そんな思いを持つ方に、まちFitは最適な場所です。

まちFitでは、60〜70代の女性を中心に、運動初心者でも安心して取り組めるレッスンを提供しています。

  • 週複数回の継続的な運動習慣を楽しく形成できる
  • 同年代の仲間との社会参加効果も同時に得られる
  • 専門スタッフが個々の状態に合わせた安全な指導を提供
  • 厚生労働省「健康日本21(第三次)の目標一覧」(健康寿命・健康格差の指標/令和4年度ベースライン値)
    https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001707761.pdf
  • 横山徹爾「健康寿命の地域格差とその要因に関する研究」令和3年度 厚生労働科学研究 分担研究報告書
    https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202109015A-buntan12_0.pdf
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