すぐ疲れる・しんどい原因と対策|シニア・高齢者が疲れやすい理由

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まちFit
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「少し動いただけで、すぐ疲れる」「何をするにも、しんどい」。年齢を重ねると、こうした疲れやすさを感じる方が増えます。高齢者の疲れやすさの裏には、筋肉量の減少や活動量・食欲の低下、気づきにくい脱水、睡眠の変化、ときには病気が隠れていることもあります。
この記事では、シニア・高齢者がすぐ疲れる主な原因と、疲れをためない生活の対策、受診を考えたい目安を、健康長寿ネットや厚生労働省などの公的な情報をもとに、まちFit編集部監修のもとで整理します。ご家族の疲れやすさが気になる方にも役立つ内容です。60代女性の体のだるさや体力の低下については、更年期とその後の変化も含めて次の記事で詳しく解説しています。

高齢者が疲れやすい・しんどいのはなぜ?「疲れ」は体からの警報
公益財団法人長寿科学振興財団の健康長寿ネットは、疲労を、痛みや発熱と同じように「これ以上、運動や仕事などの作業を続けると体に害が及びますよ」と知らせる、体の警報のひとつと説明しています。日本疲労学会は、疲労を次のように定義しています。
「疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」
つまり、疲れやすさは「休みが必要」というサインであると同時に、病気が原因で起こることもあります。「年のせい」と決めつけず、原因を確かめることが大切です。
「疲れやすい」はフレイルのサインのひとつ
健康長寿ネットによると、加齢により心身が老い衰えた状態を「フレイル」といい、その判定によく使われるFriedの基準は、次の5項目です。
- 体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
- 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
- 歩行速度の低下
- 握力の低下
- 身体活動量の低下
3項目以上に当てはまるとフレイル、1または2項目だけの場合はその前段階であるプレフレイルと判断されます。同ネットは「フレイルは、早く介入して対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性があります。」としています。疲れやすさが続くときは、ほかの項目にも当てはまっていないか確かめてみましょう。フレイルの予防については、次の記事で詳しく紹介しています。

シニア・高齢者がすぐ疲れる・しんどい5つの原因
すぐ疲れる背景には、たいてい複数の原因が重なっています。当てはまるものがないか、確認しながら読んでみてください。
1. 筋肉量の減少(サルコペニア)
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、「骨格筋量の低下は25~30歳頃から始まり、生涯を通して進行します。」。高齢期に筋肉量と筋力・身体機能が低下した状態はサルコペニアと呼ばれ、体を支える抗重力筋(背中・お腹・太もも・お尻などの筋肉)が衰えるため、立ち上がりや歩行がだんだんと億劫になるとされています。
サルコペニアの主な要因は加齢ですが、活動不足や病気、栄養不良が危険因子とされています。筋肉量を守る運動と食事のコツは、次の記事にまとめています。

2. 活動量と食欲が落ちる悪循環
健康長寿ネットは、加齢による食欲の変化の原因として「筋力の低下に伴い買い物や散歩などの外出が億劫になり、外出する頻度が減ると、運動量が減るため、お腹が空かず、エネルギーの必要量も減ります。」と説明しています。外出が減って運動量が落ちると食欲も落ち、e-ヘルスネットがサルコペニアの危険因子に挙げる「活動不足」と「栄養不良」が重なりやすくなります。
食欲が落ちたときの原因と対策は、次の記事で紹介しています。

3. 気づきにくい脱水
健康長寿ネットによると、高齢者は口の渇きを感じる働き(口渇中枢)の感受性が低下するため、のどが渇きにくくなり、水分補給が減りがちです。夜間のトイレなどを気にして水分を控える方もいます。脱水が進むと、易疲労感(疲れやすさ)、脱力、食欲低下、意欲低下、立ちくらみといった症状が出ることがあり、「何となく元気がない」「ぐったりしていて反応が鈍い」という様子も脱水の可能性があるとされています。
1日の水分補給の目安と続け方は、次の記事にまとめています。

4. 睡眠の変化(長すぎる床上時間・長い昼寝)
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、高齢者に向けて次の3つを推奨しています。
- 長い床上時間は健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する。
- 食生活や運動等の生活習慣、寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
- 長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中の長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす。
同ガイドによると、高齢世代は体内時計の変化から昼夜のメリハリが低下しやすく、昼間の眠気や疲労感は、このメリハリの低下に伴って出現しやすくなります。同ガイドは、長寝をしても実際に眠れる時間が増えるわけではなく、寝つきが悪くなったり途中で目が覚めやすくなったりして、睡眠で休養がとれた感覚(睡眠休養感)が低下しやすいと説明しています。床上時間の目安は、1週間の平均睡眠時間(実際に眠っている時間)+30分程度とされています。眠りの質を高める習慣は、次の記事で紹介しています。

5. 病気が隠れていることも(貧血・抑うつなど)
疲れやすさは、病気のサインのこともあります。健康長寿ネットによると、貧血の一般的な症状は動悸や息切れ、疲れやすい、倦怠感などですが、高齢者は日常の生活動作がゆっくりであることも多く、貧血の症状に気づかない可能性があります。
また、抑うつでは「体が重だるく、疲れが取れない、すぐに疲れる」といった身体症状がみられることがあり、同ネットは「高齢者の場合は認知症と間違われることや身体症状のみが強調され、抑うつが見逃されて重症化することもあるので注意が必要です。」と注意をうながしています。受診を考えたい目安は、このあと紹介します。
疲れをためない生活習慣と疲労回復のコツ
すぐ疲れる状態を和らげるには、毎日の生活習慣を少しずつ整えることが近道です。できそうなものから一つずつ取り入れてみてください。
のどが渇く前に、こまめに水分をとる
健康長寿ネットは、口が渇いていなくても定期的に飲む習慣をつくることをすすめており、食事以外にお茶の時間を設けることや、入浴の前後、就寝前、起床時の水分補給を挙げています。高齢者の場合は飲み物だけで補うのは難しいため、水分量の多い食事を心がけることも大切です。ただし、心臓や腎臓の病気がある方は、急に多く飲むことは避け、ゆっくり補給するよう説明されています。
毎食、たんぱく質をとり、食事を楽しむ
e-ヘルスネットは、サルコペニアの予防について「特に1日に(適正体重)1kg当たり1.0g以上のたんぱく質摂取は、発症予防に有効な可能性があります。」としたうえで、栄養摂取と運動は、それぞれ単独よりも両者を併用することがより効果的と説明しています。
食欲が落ちがちなときは、食べる環境も工夫しましょう。健康長寿ネットは、会話をしながらの楽しい食事は食欲も増すとし、決まった時間に食事をとって生活リズムを整えることをすすめています。たんぱく質の1日の必要量と摂り方は、次の記事にまとめています。

少しでも体を動かす量を増やす
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(高齢者版)は、高齢者に向けて次のような目安を示しています。
「強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)。」
あわせて「上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨する。」とも明記されています。疲れやすい方は、いきなり目安を目指さず、今より少しだけ動く時間を増やすことから始めましょう。体力をつける筋力トレーニングのやり方は、冒頭で紹介した60代女性向けの記事でも紹介しています。70代・80代でも無理なく続けられる体操は、次の記事が参考になります。

昼は外で活動的に、夜は寝床で過ごしすぎない
睡眠ガイド2023は、高齢世代に向けて、日中にできるだけ長く太陽の光を浴びること、習慣的に運動を行うことをすすめています。地域で開かれているラジオ体操やヨガなどのイベントを活用して運動習慣をつけることも、良質な睡眠の確保に役立つとされています。昼寝は短めにし、夜は必要以上に寝床で過ごさないようにしましょう。
受診の目安|疲れやすさが続くときに気をつけたいサイン
疲れやすさの多くは生活習慣の見直しで和らぎますが、なかには病気が隠れている場合もあります。次のような様子があるときは、自己判断せず、かかりつけ医に相談しましょう。
- 動悸や息切れ、胸の痛みをともなって疲れやすい:健康長寿ネットは、高齢者の貧血では物忘れや胸の痛み、食欲がわかないといった症状が出ることもあるとしています
- 「なんとなく元気がない」「ぐったりしていて反応が鈍い」、口や舌が乾いている:高齢者では、こうした症状が複数あるときは著明な水分不足が考えられるとされています(健康長寿ネット)
- 気分の落ち込みが続き、好きだったことも楽しめない:抑うつは治療が必要で、治療により予後も良好であることが説明されています(健康長寿ネット)
- 意図せず体重が減ってきた:Friedの基準では、意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少がフレイルの項目のひとつです
- 生活を整えても、睡眠で休養がとれた感じがしない:睡眠ガイド2023は、加齢に伴い様々な睡眠障害の発症率が上昇するとし、対策で改善しない場合は医師に相談するようすすめています
健康長寿ネットは、特に症状がなくても、1年に1回定期的に健康診断を受けることが、早めに貧血に気づける良い機会になるかもしれないとしています。
よくある質問
- 年齢のせいで疲れやすいのは、もう仕方のないことですか?
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加齢による変化はありますが、あきらめる必要はありません。健康長寿ネットによると、疲れやすさを含むフレイルは、早く介入して対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性があります。一方で、貧血や抑うつ、脱水など、年齢以外の原因で疲れやすくなっていることもあるため、気になる様子が続くときはかかりつけ医に相談しましょう。
- しんどくて動く気になれないときは、どうすればよいですか?
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厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(高齢者版)は、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨しています。まずは今より少しだけ体を動かす時間を増やしましょう。気分の落ち込みが続き、好きだったことも楽しめない場合は、抑うつの可能性もあるため、医師に相談してください。
- たんぱく質はどのくらいとればよいですか?
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e-ヘルスネットは、サルコペニアの予防について、1日に(適正体重)1kg当たり1.0g以上のたんぱく質摂取は発症予防に有効な可能性があるとしています。体重50kgの方なら、およそ50g以上が目安です。あわせて運動も行うと、それぞれ単独よりも効果的とされています。
- 疲れているので、長めに寝たほうがよいですか?
-
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、高齢者について、長い床上時間は健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安にするよう推奨しています。床上時間の目安は、1週間の平均睡眠時間+30分程度です。日中の長時間の昼寝も避け、活動的に過ごしましょう。
- どのくらい歩けばよいのでしょうか?
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厚生労働省の推奨シート(高齢者版)は、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上に相当)行うことを推奨しています。ただし、推奨値に満たなくとも少しでも身体活動を行うことが推奨されているので、今より少しだけ多く歩くことから始めましょう。
- 疲れやすさが続くとき、受診したほうがよいのはどんな場合ですか?
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動悸や息切れ、胸の痛みをともなう場合、「なんとなく元気がない」「ぐったりしていて反応が鈍い」など脱水が疑われる場合、気分の落ち込みが続く場合、意図せず体重が減ってきた場合、生活を整えても睡眠で休養がとれた感じがしない場合は、かかりつけ医に相談しましょう。健康長寿ネットは、年に1回の健康診断も早めに貧血に気づける機会になるとしています。
参考にした主なデータ・指針
- 健康長寿ネット「疲労とは?疲労の原因と回復方法」(疲労が体の警報であること、日本疲労学会による疲労の定義を引用)
- 健康長寿ネット「フレイルとは」(Friedの基準5項目とフレイル・プレフレイルの判断、早く介入すれば健常な状態に戻る可能性を引用)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「サルコペニア」(骨格筋量の低下が25~30歳頃から始まること、たんぱく質摂取の目安を引用し、抗重力筋の低下と危険因子、栄養と運動の併用を参照)
- 健康長寿ネット「加齢と食欲の変化」(筋力低下と外出・運動量・食欲の関係を引用し、食欲を保つ工夫を参照)
- 健康長寿ネット「脱水症」(高齢者が脱水になりやすい理由と症状、水分補給の工夫を参照)
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(PDF)(高齢者版の推奨事項3項目を引用し、昼夜のメリハリと疲労感、床上時間の目安、日中の活動、睡眠障害の相談を参照)
- 健康長寿ネット「貧血」(高齢者の貧血の症状と気づきにくさ、健康診断のすすめを参照)
- 健康長寿ネット「抑うつ」(抑うつの身体症状と高齢者で見逃されやすいことを引用)
- 厚生労働省「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』推奨シート:高齢者版」(「強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)。」「上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨する。」を引用)
まとめ|すぐ疲れる・しんどいときは、原因を一つずつ確かめる
シニア・高齢者がすぐ疲れる背景には、筋肉量の減少、活動量と食欲の悪循環、気づきにくい脱水、長すぎる床上時間や昼寝といった睡眠の変化、そして貧血や抑うつなどの病気が重なっていることがあります。疲れやすさは体からの警報です。「年のせい」と決めつけず、生活を整えながら、気になるサインがあれば早めに相談しましょう。
今日から始めたい、すぐ疲れる対策:
- のどが渇く前に、お茶の時間や入浴前後・起床時にこまめに水分をとる
- 毎食たんぱく質をとり、会話を楽しみながら決まった時間に食べる
- 推奨値に届かなくても、今より少しだけ体を動かす
- 日中は外の光を浴びて活動し、床上時間は8時間未満を目安にする
- 動悸・息切れ、ぐったりした様子、気分の落ち込みが続くときは相談する
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