高齢者の熱中症予防|シニアが自宅で今日からできる対策と見守りのコツ

涼しい室内で水分補給をしながらひと休みする60代女性のイラスト

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まちFit
スタジオ運営責任者

東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。

夏の暑さがきびしくなるこの季節、高齢者の熱中症予防は、シニアご本人にとっても、離れて暮らすご家族にとっても大切なテーマです。熱中症は屋外だけでなく自宅の室内でも起こり、水分補給やエアコン(冷房)の使い方、暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートの活用、そして家族の見守りといった日々の工夫で、予防につなげることができます。この記事では、60代・70代の方が今日から無理なく続けられる対策を、公的なデータをもとにやさしく整理しました。

「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、年齢を重ねると体は少しずつ暑さに弱くなります。正しい知識を身につけて、健康寿命を延ばし、自立した生活を長く続けるための一歩にしていきましょう。

目次

なぜシニアは熱中症になりやすいのでしょうか

同じ気温のもとでも、シニアは若い世代より熱中症になりやすい傾向があるといわれています。その背景には、加齢にともなう体の変化があります。ここでは主な三つの理由を、体温調節や脱水のしくみとあわせて見ていきましょう。

体温を調節する働きが低下しやすい

私たちの体は、汗をかいたり皮膚の血流を増やしたりして体温を一定に保っています。ところが年齢を重ねると、この体温調節の働きが少しずつ低下しやすくなります。汗をかき始めるのが遅れたり、体にこもった熱を外へ逃がしにくくなったりするため、体温が上がりやすく、熱中症の予防にはより意識的な対策が求められます。

暑さやのどの渇きを感じにくくなる

暑さやのどの渇きを感じる感覚も、加齢とともに鈍くなりやすいとされています。「まだ暑くない」「のどは渇いていない」と感じているうちに、体の中では脱水が進んでいることがあります。感覚だけに頼らず、時間や場面を決めて水分補給をすることが、体力維持と熱中症予防の両方につながります。

体内の水分量がもともと少なくなりやすい

体にたくわえられる水分の量は、加齢とともに少なくなりやすいといわれています。水分を多くふくむ筋肉が減るサルコペニアが進むと、その傾向はさらに強まります。少しの発汗でも脱水に傾きやすいため、こまめな水分補給が欠かせません。日ごろから体力維持のための運動を続けることも、暑さに負けにくい体づくりにつながります。

シニアの熱中症はどこで起きやすいのでしょうか

熱中症というと炎天下の屋外を思い浮かべがちですが、実はシニアの場合、自宅の中で起こるケースが少なくありません。公的なデータからも、屋内でのリスクの高さがうかがえます。発生しやすい場所を知ることが、身近な予防の第一歩です。

直近の夏は、救急搬送が過去最多になりました

総務省消防庁のまとめによると、令和7年(2025年)5月から9月に熱中症で救急搬送された方は、全国で10万510人にのぼりました。これは調査を開始した平成20年以降で最も多い人数です。この夏は梅雨明けが早く、熱中症警戒アラートの発表回数も過去最多となりました。搬送された方のうち、入院が必要な中等症以上の方が約36%を占めており、「たいしたことはない」と考えずに備えておきたい数字です。

搬送される方の半数以上がシニア世代

同じまとめでは、熱中症で救急搬送された方のうち、65歳以上の高齢者が5万7,433人と全体の57.1%を占めています。半数を超える方がシニア世代であり、介護予防や転倒予防と同じように、熱中症予防を毎年の夏の習慣として意識したいところです。

最も多い発生場所は、屋外ではなく「住居」

発生場所別の内訳では、自宅などの「住居」が3万8,292人と全体の38.1%で最も多く、次いで道路が1万9,773人(19.7%)となっています。つまり、熱中症でもっとも多く搬送されているのは炎天下の屋外ではなく、ふだん安心して過ごしている自宅の中なのです。「家にいるから大丈夫」と考えず、室内こそ暑さ対策を行うことが大切です。

暑さ指数(WBGT)と熱中症警戒アラートを味方につけましょう

「今日はどのくらい危険なのか」を数字で知る手がかりが、暑さ指数(WBGT)と熱中症警戒アラートです。テレビや環境省のウェブサイトで手軽に確認でき、その日の過ごし方を決めるものさしになります。ここでは二つの目安を整理します。

暑さ指数(WBGT)の目安を知る

暑さ指数(WBGT)は、気温だけでなく湿度や日ざしの影響もふくめて暑さのきびしさを表した数値です。環境省は日常生活に関する指針として、次のような目安を示しています。数字が高いほど熱中症の危険が高まります。

  • 31以上:危険 ― 高齢者は安静にしていても熱中症が起こる危険があるとされる段階です。
  • 28以上31未満:厳重警戒 ― 外出はなるべく避け、涼しい室内へ移りましょう。
  • 25以上28未満:警戒 ― 運動や作業の合間に、こまめな休憩と水分補給を。
  • 25未満:注意 ― 危険性は下がりますが、油断せず基本の対策を続けましょう。

熱中症警戒アラートが出た日の過ごし方

熱中症警戒アラートは、翌日または当日の日最高暑さ指数(WBGT)が33に達すると予測される場合に、環境省と気象庁から発表されます。発表された日は、不要不急の外出を避け、エアコンの効いた涼しい場所で過ごすことが予防につながります。外出や運動の予定を、朝夕の涼しい時間帯にずらす判断材料にもなります。

今日からできる高齢者の熱中症予防・5つの対策

ここからは、シニアが自宅を中心に無理なく続けられる熱中症予防の対策を、五つの観点にまとめてご紹介します。どれも特別な準備は必要ありません。できるところから一つずつ、毎日の習慣に取り入れてみてください。

① のどが渇く前に、こまめに水分をとる

水分補給は熱中症予防の基本です。のどの渇きを感じにくいシニアは、渇く前に少量ずつこまめに飲むことを心がけましょう。「一日に何回」と回数で考えるより、毎日必ずある場面に結びつけておくほうが、無理なく続きます。

  • 起きたとき―寝ている間の汗で失った分をコップ一杯で補います
  • 毎食のとき―食事といっしょなら忘れにくく、食べ物からも水分がとれます
  • お風呂の前と後―入浴中は思った以上に汗をかいています
  • 外出の前と帰宅後―出かける前に飲んでおくのがポイントです
  • 寝る前―夜間の脱水をふせぎます

汗を多くかいたときは、水分とあわせて塩分(電解質)を補うことも大切です。麦茶や水だけでは塩分が補えないため、経口補水液や塩分を含む飲料、梅干しなどを組み合わせるとよいでしょう。なお、心臓や腎臓の病気などで水分や塩分の制限をうけている方は、自己判断で量を増やさず、かかりつけの医師に相談しながら進めてください。

② エアコンと扇風機で室温を上げすぎない

「電気代がもったいない」「体が冷える」と、暑い日にもエアコンを使わずに我慢してしまう方がいます。しかし救急搬送が最も多いのは住居です。室内での熱中症を防ぐには、暑い日はためらわずにエアコンを使うことが予防につながります。扇風機を併用して空気を循環させると、体感の涼しさが増します。

ここで大切なのが、暑さを「感じる」のではなく「見る」ことです。暑さを感じにくくなるのがシニアの体の特徴ですから、感覚を頼りにしていると判断が遅れてしまいます。ふだん長く過ごす部屋に温湿度計を置き、数字で判断するようにしましょう。台所や洗面所、二階の部屋、風の通らない廊下などは、居間より暑くなっていることがよくあります。数字が見えていれば、「暑くないから大丈夫」ではなく「この数字ならエアコンをつけよう」と決められます。

③ 服装・入浴・睡眠環境を整える

通気性のよいゆったりした服装を選び、外出時は日傘や帽子で直射日光をさえぎりましょう。入浴の前後は汗をかきやすいため、コップ一杯の水分をとるのがおすすめです。寝ている間にも汗をかくので、寝室の温度と湿度にも気を配り、就寝前と起床時の水分補給を忘れないようにしましょう。

④ 外出や買い物は涼しい時間帯に

日ざしが強く気温が高い日中を避け、外出や買い物、庭仕事は朝や夕方の比較的涼しい時間帯に行いましょう。外出の際は、こまめに日かげや冷房のきいた店内で休むことも予防に役立ちます。熱中症警戒アラートが出ている日は、予定そのものを見直す勇気も大切です。

⑤ 暑さに負けない体づくりを続ける

日ごろから適度な運動を続けている方は、汗をかく力が保たれ、暑さに順応しやすいといわれています。無理のないウォーキングや自宅でのストレッチ、体操などで体力維持を心がけましょう。運動そのものが、フレイル予防や転倒予防、健康寿命の延伸にもつながります。

ただし、暑い時期は「がんばりすぎない工夫」もセットで必要です。夏のあいだは運動する場所と時間帯を変えるのが基本です。屋外のウォーキングは朝や夕方にずらし、日中はエアコンの効いた室内でのストレッチや椅子に座ってできる体操に切り替えます。運動の前後と途中にも水分をとり、少しでも息苦しさやめまいを感じたらすぐに中止して涼しい場所で休みましょう。夏に運動をやめてしまうと、秋には筋力や体力が落ちて転倒しやすくなります。「休む」ではなく「やり方を変えて続ける」と考えるのが、シニアの夏の過ごし方のコツです。

熱中症を疑うサインと家族の見守り

どれだけ対策をしていても、体調の変化に早く気づけるかどうかが分かれ道になります。シニアご本人だけでなく、ご家族が「いつもと違う」を見逃さないことが大切です。ここでは代表的なサインと、離れて暮らす家族にできることを整理します。

こんなサインに気をつけましょう

次のような様子が見られたら、熱中症のはじまりかもしれません。無理をせず、まず涼しい場所へ移り、水分と塩分を補いましょう。

  • めまいや立ちくらみ、顔のほてりがある
  • 手足の筋肉がつる、体がだるく力が入りにくい
  • 頭痛や吐き気、気分が悪い
  • 汗のかき方がおかしい(大量に出る、または暑いのに出ない)

涼しい場所で休んでも回復しない、水分を自分でとれない、意識がはっきりしないといった場合は、ためらわずに救急車を呼ぶなど、周囲の人がすぐに助けを求めることが大切です。判断に迷うときは、早めに医療機関へ相談しましょう。

離れて暮らす家族ができる見守り

一人暮らしのシニアや、日中ひとりで過ごす親御さんには、家族のちょっとした声かけが大きな支えになります。こまめな電話やメッセージで体調をたずね、「エアコンは使っている?」「お水は飲んだ?」と具体的に確認しましょう。暑さ指数や熱中症警戒アラートを家族で共有し、暑い日ほど連絡の回数を増やすなど、無理なく続けられる見守りの形を話し合っておくと安心です。

熱中症予防は、フレイル予防や介護予防と同じく、毎日の小さな積み重ねが自立した生活を支えます。

よくある質問

高齢者はなぜ熱中症になりやすいのですか?

年齢を重ねると体温を調節する働きが低下しやすく、暑さやのどの渇きを感じにくくなる傾向があるためです。体内の水分量ももともと少なくなりやすく、気づかないうちに脱水が進むことがあります。

のどが渇いていなくても水分をとったほうがよいですか?

はい。シニアはのどの渇きを感じにくくなる傾向があるため、渇く前に少量ずつこまめに水分をとることがすすめられています。起床時や入浴の前後、就寝前など、タイミングを決めておくと続けやすくなります。

エアコンはどのように使えばよいですか?

暑い日は「もったいない」と我慢せず、日中もためらわずに使いましょう。扇風機も併用して室温が上がりすぎないようにし、暑さ指数(WBGT)が高い日は屋内でも数値を確認する習慣をつけると安心です。

室内にいても熱中症になりますか?

なります。総務省消防庁のまとめでは、令和7年(2025年)に熱中症で救急搬送された方の発生場所は「住居」が3万8,292人(38.1%)で最も多く、屋外を上回っています。屋内でもエアコンの活用と水分補給を心がけましょう。

熱中症警戒アラートが出た日は、どう過ごせばよいですか?

熱中症警戒アラートは、翌日または当日の日最高暑さ指数(WBGT)が33に達すると予測される場合に発表されます。発表された日は不要不急の外出を避け、エアコンの効いた涼しい場所で過ごすことが大切です。

離れて暮らす親のためにできることはありますか?

こまめな電話やメッセージでの声かけ、エアコンを使っているかの確認、暑い日の見守りが役立ちます。暑さ指数や熱中症警戒アラートを家族で共有し、無理なく続けられる予防を一緒に考えてみましょう。

参考にした主なデータ・指針

まとめ|高齢者の熱中症予防は毎日の小さな習慣から

高齢者の熱中症予防は、水分補給・エアコンの活用・暑さ指数や熱中症警戒アラートの確認・家族の見守りといった、毎日の小さな習慣の積み重ねで進めることができます。シニアは屋内でも熱中症になりやすいことを心にとめ、「まだ大丈夫」と我慢せずに早めの対策を心がけましょう。無理なく続く習慣が、体力維持や介護予防、健康寿命の延伸にもつながります。

今日から始める熱中症予防の習慣:

  • のどが渇く前に、時間を決めてこまめに水分をとる
  • 暑い日はためらわずエアコンと扇風機で室温を上げすぎない
  • 外出や運動は朝夕の涼しい時間帯に、アラートの日は予定を見直す
  • 暑さ指数(WBGT)を確認し、家族で情報を共有して見守り合う

暑い季節も、無理なく体を動かす習慣をまちFitで

熱中症予防には、暑さに負けない体づくりも大切です。まちFitは、シニアの方が涼しい室内で、専門スタッフの見守りのもと無理なく体を動かせるまちの健康スタジオです。「一人だと運動が続かない」「暑い夏こそ体力を落としたくない」という方も、仲間と一緒なら楽しく続けられます。

  • 涼しい室内で季節を問わず体を動かせます
  • 専門スタッフがその日の体調に合わせて見守ります
  • ゆったりした運動で体力維持・転倒予防・フレイル予防に
  • 同世代の仲間とのつながりが続ける力になります
まちFit池上スタジオで体を動かすシニアの様子

運動が初めての方や、体力に自信がない方も安心してご参加いただけます。ご自身のペースで、健やかな毎日を、まちのそばで。

まずは見学や体験から始めてみませんか?

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【編集体制】この記事は、まちFit編集部監修のもと、シニアの健やかな毎日を応援する目的で作成しています。内容は環境省・総務省消防庁など公的機関の情報を参考に、まちFit編集部が構成・執筆しました。

【免責事項】本記事は健康づくりに関する一般的な情報の提供を目的としたものであり、診断・治療などの医療行為に代わるものではありません。体調やお持ちの疾患には個人差があります。気になる症状がある場合や、水分・塩分・運動の制限をうけている方は、自己判断せず、かかりつけの医師など専門家にご相談ください。

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