体がだるい・体力が落ちた原因|60代女性の疲れが取れないときの対策

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「最近、体がだるい」「急に体力が落ちた気がする」「寝ても疲れが取れない」。60代の女性からよく聞かれるこうした変化には、更年期とその後の女性ホルモンの変化、筋肉や持久力の衰え、睡眠の変化など、いくつかの原因が重なっていることがあります。
この記事では、60代女性の体がだるい・体力が落ちたと感じる主な原因、体力が落ちてきたサインの確かめ方、受診を考えたい目安、今日からできる体力をつける方法を、厚生労働省のe-ヘルスネットや健康長寿ネットなどの公的な情報をもとに、まちFit編集部監修のもとで整理します。70代・80代の親御さんの疲れやすさが気になる方は、高齢者がすぐ疲れる原因と対策をまとめた次の記事が参考になります。

体力が落ちてきたサイン|まずは今の状態をチェック
公益財団法人長寿科学振興財団の健康長寿ネットによると、体力は「運動をするための体力(行動体力)」と「健康に生活するための体力(防衛体力)」に分けられます。行動体力には、筋力、体の動きを調整する調整力、瞬発力、持久力があります。「体力が落ちた」と感じたときは、まず日常の動作でどの力が落ちているのかを確かめてみましょう。
日常の動作で気づく7つのサイン(ロコチェック)
日本整形外科学会は、骨や関節、筋肉などの運動器が衰えているサインとして、次の7つの「ロコチェック」を示しています。
- 片脚立ちで靴下がはけない
- 家の中でつまずいたりすべったりする
- 階段を上がるのに手すりが必要である
- 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
- 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
- 15分くらい続けて歩くことができない
- 横断歩道を青信号で渡りきれない
同学会は、1つでも当てはまればロコモ(ロコモティブシンドローム)の心配があるとし、ロコトレ(ロコモーショントレーニング)を始めるよう呼びかけています。ただし、腰や関節の痛み、筋肉の衰え、ふらつきといった症状が悪化してきている場合は、まず医師の診察を受けるよう案内しています。ロコモの見分け方と予防は、次の記事で詳しく紹介しています。

握力と持久力は、年齢とともに少しずつ下がる
健康長寿ネットが紹介している文部科学省の調査によると、筋力の目安となる握力は、女性では40~44歳がピークで、それ以降は緩やかに低下していきます。長い時間、一定の強さの運動を続ける力である「全身持久力」も、一般的に加齢とともに低下し、生活習慣病や心血管疾患の発症率・死亡率と関連することが多くの研究で報告されています。
こうした変化は数字で確かめると、思い込みと実際の差がわかります。自宅でできる体力チェックの方法は、次の記事で紹介しています。

60代女性の体がだるい・体力が落ちる主な原因
体のだるさや体力低下は、一つの原因だけで起こるとは限りません。ここでは、60代の女性に関わりの深い4つの原因を整理します。
原因1:更年期とその後の女性ホルモンの変化
厚生労働省のe-ヘルスネットは、女性の更年期障害について次のように説明しています。
「女性の場合は、閉経期前後の約10年間に卵巣ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少することによって症状が現れます。」
同じページでは、更年期障害の気づきにくさについて「初期症状が、だるい、寝付けないなどの曖昧なものであるため、発症に気付かずに、身体が意のままにならない自分への不満がストレスとなって精神的症状を悪化させるケースが多いです。」と述べています。閉経後は、腰や膝の関節痛などの身体的症状と、無気力感などの精神的症状が加わることもあるとされています。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、閉経(日本人の平均閉経年齢は50歳頃)の前後5年の約10年間が更年期で、この時期は不眠症や閉塞性睡眠時無呼吸などにかかるリスクが増大することが知られています。60代は更年期を過ぎた時期にあたりますが、厚生労働省のスマート・ライフ・プロジェクトに掲載された整形外科医のインタビューでは、更年期・高齢期の女性に多い健康課題の第一に「女性ホルモンが減少することによる更年期障害と、その後の心身の不調」が挙げられています。
女性ホルモンの変化に合わせた運動・食事・睡眠の習慣は、次の記事にまとめています。

原因2:筋肉量の減少(サルコペニア)
e-ヘルスネットによると、筋肉(骨格筋)の量は「骨格筋量の低下は25~30歳頃から始まり、生涯を通して進行します。」とされています。筋肉量と筋力が落ちた状態はサルコペニアと呼ばれ、体を支える抗重力筋(背中・お腹・太もも・お尻などの筋肉)が衰えるため、立ち上がりや歩行がだんだんと億劫になります。
健康長寿ネットも「とくに高齢者は加齢によって、上肢(腕)よりも下肢(足)の筋力低下が起こりやすくなります。」と説明しています。同ネットによると、足の筋力が落ちると歩く力も落ち、階段の昇り降りや買物袋を運ぶといった日常の動作がしにくくなります。筋力が落ちる原因と体の変化は、次の記事で詳しく紹介しています。

原因3:全身持久力(心肺の力)の低下
健康長寿ネットは、全身持久力を「長時間、一定の強度の運動を続けることができる能力」と説明し、有酸素性能力とも呼ばれるとしています。運動の強さが上がっても、酸素を使ってエネルギーを作り続けられる人ほど、全身持久力が高いといえます。同ネットは、定期的に全身持久力を評価し、維持・向上させることが健康づくりにとても効果的だとしています。
歩くとすぐ疲れると感じる方は、疲れにくい歩き方のコツを紹介した次の記事も参考になります。

原因4:睡眠の変化で疲れが抜けにくくなる
健康長寿ネットは、睡眠障害や睡眠時無呼吸症候群も疲労を蓄積させる原因になるとしたうえで、「良質な睡眠をとることが疲労回復に最も効果的であるとされています。」と説明しています。前述のとおり、更年期は不眠症などのリスクが高まる時期でもあります。「寝ても疲れが取れない」ときは、睡眠そのものを見直してみましょう。
なお、かつては「乳酸が疲労物質」と考えられていましたが、健康長寿ネットは「現在では乳酸が疲労を起こす物質であるという考えは間違いであるとされています。」と説明しています。乳酸は、筋肉の細胞のエネルギー源として再利用されることがわかっています。疲れが取れない夜の過ごし方は、次の記事で紹介しています。

だるさが続くときは受診を|病気が隠れていることも
体のだるさや疲れやすさの裏に、病気が隠れていることもあります。生活を見直してもよくならないときや、次のような様子があるときは、自己判断せず医療機関に相談しましょう。
- だるさや寝付けなさ、ほてりなどの不調で、日常生活に支障が出ている:健康長寿ネットによると、更年期の症状で日常生活に支障が出る場合は、ホルモン剤や漢方薬などでの薬物治療や、生活習慣の改善などが行われます
- 動悸や息切れをともなって疲れやすい:健康長寿ネットは、貧血の症状について「一般的には、貧血の症状は動悸や息切れ、疲れやすい、倦怠感などです。」と説明しています
- 気分の落ち込みが続く、好きだったことを楽しめない:抑うつの身体症状として「体が重だるく、疲れが取れない、すぐに疲れる」状態がみられることがあり、女性特有の原因の一つに更年期が挙げられています(健康長寿ネット)
- 生活を整えても、睡眠で休養がとれた感じがしない:睡眠ガイド2023は、50歳代より徐々に不眠症や閉塞性睡眠時無呼吸などの睡眠障害が出現しやすくなるとしています
e-ヘルスネットは、更年期障害の治療について「治療には、ホルモン剤などの薬物治療や漢方療法、予防的な意味合いの食事療法などがあります。」と紹介しており、詳しい情報として日本産科婦人科学会の解説を案内しています。どこに相談すればよいか迷うときは、まずかかりつけ医に相談してみましょう。
体力をつける方法|60代女性が今日からできる対策
原因を確かめたうえで、体力そのものを取り戻すには、体を動かす量を増やし、筋力をつけ、しっかり休むことの組み合わせが基本です。
体を動かす量と筋トレの目安
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(高齢者版)は、次のような目安を示しています。
「強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)。」
「筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を、週3日以上行うことを推奨する。」
「筋力トレーニングを週2~3日行うことを推奨する(多要素な運動に含めてもよい)。」
同じ推奨シートは「上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨する。」とも明記しています。いきなり目安に届かなくても、今より少しずつ増やしていけば十分です。
自宅でできる筋力トレーニング
健康長寿ネットは、自分の体重を使ったレジスタンス運動(筋力トレーニング)として、次のような運動を紹介しています。各運動はゆっくりと10回ずつ行いましょう。
- 椅子スクワット:足は肩幅に開き、椅子からゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと腰を下ろします。膝の負担を軽くするために股関節を曲げることを意識し、視線は前を見ます
- 踵上げ:足を肩幅に開き、膝は伸ばしたまま踵を上げて5秒静止してから下ろします。立位が不安定な場合は、椅子の背などに手を添えて行います
- もも上げ:背もたれから背中を離して椅子に座り、お腹に力を入れて片方のももを上げます。座面から太ももの裏が離れるように上げてから下ろし、左右交互に行います
- 足上げ(座位・膝伸展):背もたれから背中を離して椅子に座り、膝を伸ばして10秒静止してから下ろします。反対の足も同様に行います
厚生労働省のe-ヘルスネットは、筋力トレーニングについて「いずれの方法も血圧の急激な上昇を抑えるために、息をこらえないように注意してください。」としています。また、筋肉には疲労から回復する時間が必要なため、同じ筋肉を鍛える日は間隔をあけましょう。ゴムバンドを使って座ったまま行う筋トレは、次の記事で紹介しています。

更年期以降の女性にとっての運動の効果
健康長寿ネットは、更年期女性に対する運動の効果を報告した研究として、日頃、座位中心の生活スタイルの女性がレジスタンス運動を行うと、筋力の向上、血中脂質、骨機能への効果があったことを紹介しています。あわせて、有酸素運動であるウォーキングは体力・持久力の向上や骨密度の改善を促し、運動には睡眠リズムを整える作用もあるとしています。
60代の女性向けに、自宅でできる筋トレを部位別にまとめた次の記事もあわせてどうぞ。

疲れを翌日に残さない休み方
健康長寿ネットは、疲労の回復方法として、良質な睡眠をとることに加え、1日3食のバランスのとれた食事を摂り、生活リズムを整えることを挙げています。具体的には、食事は眠る時間の3時間前に済ませておき、「眠る1~2時間前に8分程度、38~40度のぬるま湯にみぞおちの辺りまでつかることが質のよい睡眠を招きます。」としています。
運動した日の夜こそ、ぬるめのお湯で体をゆるめ、早めに休む習慣をつくりましょう。
よくある質問
- 60代で急に体力が落ちたのは、年齢のせいですか?
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年齢による変化はあります。健康長寿ネットによると女性の握力は40~44歳がピークで、e-ヘルスネットによると骨格筋量の低下は25~30歳頃から始まります。ただし、更年期とその後の女性ホルモンの変化や睡眠の変化、病気が関わっていることもあります。日本整形外科学会の「ロコチェック」で日常の動作を確かめ、気になる症状があれば医療機関に相談しましょう。
- 体がだるいのは、更年期のせいでしょうか?
-
e-ヘルスネットは、更年期障害の初期症状が「だるい、寝付けない」などのあいまいなものであるため、気づかれにくいと説明しています。一方で、貧血や抑うつなど、ほかの原因でもだるさや疲れやすさは起こります。日常生活に支障が出るほどの不調が続くときは、自己判断せずかかりつけ医などに相談しましょう。
- 寝ても疲れが取れないときの対策は?
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健康長寿ネットは、良質な睡眠をとることが疲労回復に最も効果的としています。1日3食のバランスのとれた食事と規則正しい生活リズムに加え、食事は眠る3時間前までに済ませ、眠る1~2時間前に8分程度、38~40度のぬるま湯にみぞおちの辺りまでつかることをすすめています。生活を整えても休養がとれた感じがしないときは、睡眠障害の可能性もあるため医師に相談しましょう。
- 体力をつけるには、どんな運動がよいですか?
-
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(高齢者版)は、筋力トレーニングを週2~3日、筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上行うことを推奨しています。健康長寿ネットが紹介している椅子スクワットや踵上げなど、自分の体重を使う運動から始め、ウォーキングなどで体を動かす時間も少しずつ増やしましょう。
- 乳酸が疲れの原因だと聞きました。本当ですか?
-
健康長寿ネットによると、かつては「乳酸は疲労物質」と考えられていましたが、現在では乳酸が疲労を起こす物質であるという考えは間違いであるとされています。乳酸は筋肉の細胞のエネルギー源として再利用されることがわかっています。
参考にした主なデータ・指針
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「更年期障害」(女性の更年期障害の説明、初期症状がだるい・寝付けないなどあいまいであること、閉経後の症状、治療法を引用)
- 厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト「高齢期の女性に関する健康支援」(更年期・高齢期の女性に多い健康課題についての整形外科医の説明を引用)
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(PDF)(更年期の定義と不眠症・閉塞性睡眠時無呼吸のリスク、50歳代から睡眠障害が出現しやすくなることを参照)
- 健康長寿ネット「更年期の運動の効果」(更年期の症状で日常生活に支障が出る場合の対応、更年期女性に対する運動の効果を参照)
- 日本整形外科学会 ロコモONLINE「ロコチェック」(運動器の衰えを示す7つのサインと受診の案内を引用)
- 健康長寿ネット「体力とは」(行動体力と防衛体力、加齢にともなう握力の変化を参照)
- 健康長寿ネット「全身持久力の測定方法と指標」(全身持久力の定義と加齢による低下を参照)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「サルコペニア」(骨格筋量の低下が25~30歳頃から始まることを引用し、抗重力筋の低下を参照)
- 健康長寿ネット「レジスタンス運動の効果と方法」(下肢の筋力低下についての記述を引用し、自宅でできるレジスタンス運動の方法を参照)
- 健康長寿ネット「疲労とは?疲労の原因と回復方法」(睡眠と疲労の関係、乳酸についての現在の考え方、疲労の回復方法を引用)
- 健康長寿ネット「貧血」(貧血の一般的な症状を引用)
- 健康長寿ネット「抑うつ」(抑うつの身体症状と女性特有の原因を引用)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」(息をこらえないようにという注意を引用し、トレーニング間隔をあける必要があることを参照)
- 厚生労働省「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』推奨シート:高齢者版」(「強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)。」「筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を、週3日以上行うことを推奨する。」「筋力トレーニングを週2~3日行うことを推奨する(多要素な運動に含めてもよい)。」「上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨する。」を引用)
まとめ|体がだるい・体力が落ちたときの対策は「確かめる・動く・休む」
60代女性の体がだるい・体力が落ちたと感じる背景には、更年期とその後の女性ホルモンの変化、筋肉量や全身持久力の低下、睡眠の変化などが重なっていることがあります。まずはロコチェックで日常の動作を確かめ、動悸や息切れ、気分の落ち込みなど気になる症状があれば医療機関に相談しましょう。そのうえで、体を動かす量と筋力トレーニングを少しずつ増やし、睡眠で疲れを取る習慣を整えていくことが、体力を取り戻す近道です。
今日から意識したいポイント:
- ロコチェックの7項目で、日常の動作の衰えを確かめる
- 日常生活に支障が出るだるさや、動悸・息切れ・気分の落ち込みが続くときは相談する
- 椅子スクワットなどの筋力トレーニングを週2~3日、息を止めずに行う
- 歩く時間を少しずつ増やし、推奨値に届かなくても体を動かす
- 眠る1~2時間前にぬるめのお湯につかり、良質な睡眠で疲れを取る
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