高齢者の腰痛ストレッチ|今ある痛みを自宅でやさしくほぐす5選

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まちFit
スタジオ運営責任者
東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
年齢を重ねるとともに「朝起きると腰が重い」「立ち上がるときに腰が痛む」と感じる方は少なくありません。高齢者の腰痛は、腰まわりの筋力低下や姿勢の変化などがいくつも重なって起こりやすく、そのままにしておくと外出がおっくうになり、転倒予防や体力維持の面でも心配が広がります。この記事では、シニアの方が自宅で無理なく取り組める高齢者の腰痛ストレッチと、腰をやさしくケアする習慣を、まちFit編集部が分かりやすくご紹介します。腰の痛みとうまく付き合いながら、健康寿命を延ばし、フレイル予防やロコモティブシンドロームの予防にもつなげていきましょう。
高齢者に腰痛が起こりやすい原因とは
まずは、なぜシニアの方に腰の痛みが起こりやすいのかを整理しておきましょう。原因を知ることで、自分に合った腰痛ストレッチやケアの習慣を選びやすくなります。ここでは、加齢にともなう体の変化と、日常生活のなかにひそむ腰への負担について、やさしく解説します。
厚生労働省の「2025年(令和7年)国民生活基礎調査」によると、体の自覚症状のなかで「腰痛」を訴える方の割合は、男女ともに1位となっています。腰の悩みは、多くの方が年齢とともに感じるごく身近なものだといえます。かつては「腰痛の大半は原因を特定できない非特異的腰痛だ」と言われてきましたが、日本整形外科学会・日本腰痛学会の「腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)」は、その根拠は再考が必要だと指摘しています。日本の整形外科専門医による調査では75%以上で診断が可能で、原因が特定できない腰痛は約22%だったと報告されています。いずれにしても、日々の姿勢や筋肉の状態が腰の負担と深く関わることに変わりはありません。
シニアの方の腰痛には、主に次のような背景が重なっています。ひとつだけが原因になることは少なく、複数が組み合わさって腰に負担がかかっている場合がほとんどです。
- 腰やお尻まわりの筋力低下:加齢によって筋肉量が少しずつ減るサルコペニアが進むと、背骨を支える力が弱まり、腰に負担が集中しやすくなります。
- 姿勢の変化:背中が丸くなる猫背や、骨盤の傾きが崩れることで、腰の一部分にだけ力がかかりやすくなります。
- 筋肉の柔軟性の低下:太もも裏やお尻の筋肉が硬くなると、前かがみの動作がしづらくなり、その分だけ腰でカバーしようとして負担が増えます。
- 運動不足と血流の低下:体を動かす機会が減ると腰まわりの血流が滞り、こわばりや重だるさにつながりやすくなります。
- 骨や関節の加齢変化:椎間板や関節のクッションが少しずつ変化することも、シニアの腰痛の一因とされています。
こうした変化は、放っておくと足腰全体の衰えにつながり、ロコモティブシンドローム(運動器の衰えで移動機能が低下した状態)へと進むこともあります。だからこそ、腰まわりをやさしく動かすストレッチで柔軟性と血流を保ち、体力維持につなげていくことが大切です。足腰の衰えの原因をより詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

腰痛ストレッチを始める前に押さえたい注意点
腰痛ストレッチは、正しく行えば腰まわりのこわばりをやわらげ、腰痛の予防につながることが期待できます。ただし、やり方を誤ると、かえって腰に負担をかけてしまうこともあります。シニアの方が安全に続けるために、始める前に次のポイントを確認しておきましょう。無理をせず、心地よいと感じる範囲で行うことが何よりも大切です。
- 痛みが強いときは休む:ぎっくり腰のように急に強く痛む「急性期」は、無理に伸ばさず安静を優先しましょう。
- 反動をつけない:勢いよく伸ばすと筋肉を痛めやすくなります。ゆっくりと呼吸に合わせて伸ばしましょう。
- 息を止めない:伸ばすときに息を止めると力が入りすぎます。「ふーっ」と息を吐きながら行うのがコツです。
- 痛気持ちいいところで止める:「痛い」と感じる手前、「気持ちいい」と感じる範囲でキープしましょう。
- 転ばない環境を整える:滑りにくいマットの上で、必要に応じて壁や椅子に手を添えて行いましょう。
持病があり治療を受けている方や、腰の手術を受けたことがある方は、始める前にかかりつけの医師に相談すると安心です。また、床での動作がつらい方は、椅子に座ったまま行えるストレッチから始めるのもおすすめです。椅子を使ったやさしいケアは、次の記事で詳しくご紹介しています。

自宅でできる高齢者向け腰痛ストレッチ5選
ここからは、高齢者・シニアの方が自宅で無理なくできる腰痛ストレッチを5つご紹介します。どれも特別な道具はいらず、布団やマットの上で取り組めるものばかりです。1日5分ほどを目安に、できるものから始めてみましょう。毎日続けることで柔軟性が保たれ、転倒予防や体力維持にもつながっていきます。
① 膝かかえストレッチ(腰・お尻をゆるめる)
あお向けに寝て、両膝を胸のほうへゆっくり引き寄せ、両手で膝をかかえます。腰の下からお尻にかけてがやさしく伸びるのを感じながら、「ふーっ」と息を吐いて20〜30秒キープします。腰が浮きすぎないよう、背中はマットにつけたままにするのがポイントです。片膝ずつ行うと、より負担が少なくなります。朝起きたときや寝る前のこわばりをやわらげるのに向いています。
② 猫の背伸びストレッチ(背骨をやわらかく)
四つんばいになり、息を吐きながら背中を天井へ向けて丸め、次に息を吸いながらゆっくり反らします。この動きを5〜10回、呼吸に合わせてくり返します。背骨の一つひとつを動かすイメージで、ゆっくり行いましょう。手首や膝が痛い場合は、テーブルに手をついて立ったまま背中を丸める方法でも構いません。背中から腰にかけての血流を促し、朝のこわばりをほぐすのに役立ちます。
③ 太もも裏(ハムストリング)のストレッチ
椅子に浅く腰かけ、片足を前にまっすぐ伸ばしてかかとを床につけます。背すじを伸ばしたまま、股関節から上体をゆっくり前に倒すと、太もも裏が心地よく伸びます。20〜30秒キープしたら、反対側も同じように行いましょう。太もも裏が硬いと骨盤が後ろに傾き、腰への負担が増えます。ここをやわらかく保つことは、腰痛の予防につながる大切なポイントです。
④ お尻(殿筋)のストレッチ
あお向けに寝て片方の足首を反対の膝の上にのせ、下の太ももを両手でかかえて手前に引き寄せます。上にのせた側のお尻がじんわり伸びるのを感じながら、20〜30秒キープします。お尻の筋肉が硬いと骨盤の動きが制限され、腰がその分をカバーしようとして負担がかかります。椅子に座って足を組むように行うと、床が苦手な方でも無理なく取り組めます。
⑤ 体幹をやさしくひねるストレッチ
あお向けで両膝を立て、そろえた両膝を息を吐きながら左右へゆっくり倒します。肩は床につけたまま、腰から背中にかけてがねじれる感覚を味わいましょう。左右それぞれ5回ほど、心地よい範囲で行います。急にひねると腰を痛めやすいので、あくまでゆっくりと。腰まわりの柔軟性を保ち、寝返りや振り向きといった日常動作をスムーズにする助けになります。
ストレッチに慣れてきたら、足腰の筋肉を軽く鍛える運動を少しずつ加えると、腰を支える力が育ち、より安定します。自宅でできる足腰トレーニングは、こちらの記事で種目とやり方をていねいに紹介しています。

腰痛ストレッチを毎日続けるためのコツと生活習慣
腰痛ストレッチは、一度にたくさん行うよりも、少しずつ毎日続けることが大切です。とはいえ「三日坊主になってしまう」という方も多いもの。ここでは、シニアの方が無理なく習慣にするためのコツと、腰にやさしい生活習慣をご紹介します。ストレッチと合わせて日々の暮らしを整えることで、転倒予防や介護予防、健康寿命を延ばすことにもつながっていきます。
- 時間を決めて「ながら」で:入浴後や歯みがきの前など、毎日の行動とセットにすると忘れにくくなります。体が温まったお風呂上がりは特におすすめです。
- カレンダーに印をつける:できた日に印をつけると、続けている実感がわいて励みになります。
- 長く座りっぱなしにしない:30分〜1時間に一度は立ち上がって腰を動かすと、こわばりを防げます。
- 体を冷やさない:腰まわりを冷やすと血流が滞りやすくなります。腹巻きやひざ掛けで温かく保ちましょう。
- たんぱく質をしっかり摂る:腰を支える筋肉を保つには、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質が欠かせません。
ストレッチに慣れてきたら、ウォーキングなどの軽い有酸素運動を組み合わせると、腰まわりだけでなく全身の体力維持に役立ちます。歩き方や続けるコツについては、シニアのウォーキングの始め方をまとめた記事が参考になります。また、筋肉を保つための食事については、たんぱく質の摂り方の記事もご覧ください。


こんな腰痛は医療機関へ|受診の目安
腰痛の多くは日々のケアでやわらいでいきますが、なかには医療機関での診察が必要なものもあります。ストレッチを続けても改善しない場合や、次のようなサインがあるときは、無理をせず整形外科などを受診しましょう。早めに相談することが、安心して自立した生活を続けることにつながります。
これらは、ストレッチだけでは対応しきれない状態のサインである場合があります。特に転倒のあとの痛みは、骨の変化が隠れていることもあるため注意が必要です。転倒そのものを防ぐ体づくりについては、転倒予防の記事もあわせて参考にしてください。

よくある質問
高齢者の腰痛ストレッチについて、シニアの方やご家族からよく寄せられる質問にお答えします。日々のケアの参考にしてください。気になる点があれば、無理をせず専門家に相談することも大切です。
- 腰痛ストレッチは1日にどのくらい行えばよいですか?
-
まずは1日5分ほどを目安に、無理のない範囲で始めましょう。たくさん行うことよりも、毎日続けることのほうが大切です。朝と寝る前など、生活のなかで時間を決めると習慣にしやすくなります。
- ストレッチ中に痛みを感じたらどうすればよいですか?
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「痛い」と感じたら、その手前で止めてください。ストレッチは「痛気持ちいい」と感じる範囲で行うのが基本です。強い痛みやしびれがある場合は中止し、症状が続くときは整形外科などにご相談ください。
- 腰痛ストレッチで腰痛は治りますか?
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ストレッチは腰まわりの柔軟性や血流を保ち、腰痛の予防や、こわばりの軽減が期待できる習慣です。ただし痛みの感じ方には個人差があり、原因もさまざまです。改善しない場合や強い痛みがある場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。
- 床に寝るのがつらい場合はどうすればよいですか?
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椅子に座ったままできるストレッチから始めるのがおすすめです。太もも裏やお尻を伸ばす動きは、椅子でも十分に行えます。ご自身が安全に取り組める姿勢を選ぶことが、長く続けるうえで大切です。
- 朝と夜、どちらに行うのが効果的ですか?
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どちらでも構いませんが、体が温まっている入浴後は筋肉がやわらかく、伸ばしやすいためおすすめです。朝は動きが軽くなり、夜はこわばりをやわらげてくれます。ご自身の生活に合わせて続けやすい時間を選びましょう。
- 運動が苦手でも続けられますか?
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はい。今回ご紹介したストレッチは、運動初心者の方でも取り組みやすいやさしい動きです。一人で続ける自信がない方は、シニア向けの教室で仲間と一緒に取り組むと、楽しく無理なく習慣にできます。
参考にした主なデータ・指針
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」(自覚症状の状況・腰痛の有訴者率は男女ともに1位)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/index.html - 日本整形外科学会・日本腰痛学会「腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)」(非特異的腰痛の考え方)
https://www.joa.or.jp/ - 日本整形外科学会「ロコモティブシンドローム 公式サイト(ロコモ ONLINE)」
https://locomo-joa.jp/ - 厚生労働省「健康日本21(第三次)・健康寿命に関する資料」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html - スポーツ庁「スポーツの実施状況等に関する世論調査」
https://www.mext.go.jp/sports/
まとめ|腰痛ストレッチをやさしい習慣に
高齢者の腰痛は、筋力低下や姿勢の変化などが重なって起こりやすいものですが、腰まわりをやさしく動かすストレッチを続けることで、柔軟性と血流を保ち、腰痛の予防につながることが期待できます。大切なのは、無理をせず、心地よい範囲で毎日少しずつ続けることです。
- 腰痛ストレッチは「痛気持ちいい」範囲で、息を吐きながらゆっくり行う
- 膝かかえ・猫の背伸び・太もも裏・お尻・体幹ひねりの5つを1日5分から
- ウォーキングやたんぱく質の食事と合わせ、体力維持と健康寿命を意識する
- しびれ・発熱・転倒後の痛みなどのサインがあるときは医療機関へ
今日から始める腰痛ケアの習慣:
- お風呂上がりに膝かかえストレッチを20秒
- 長く座ったら立ち上がって腰を軽く動かす
- 腰まわりを冷やさず、たんぱく質を意識した食事を摂る
- できた日はカレンダーに印をつけて続ける
まちFitで、腰にやさしい運動習慣を始めませんか
「一人だと続けられるか不安」「自分に合ったやり方を教えてほしい」という方は、シニア向け健康スタジオ「まちFit」で、無理のない運動習慣を始めてみませんか。まちFitは「健やかな毎日を、まちのそばで。」をコンセプトに、60代・70代の方が安心して通える運動の場をご用意しています。腰やお尻をやさしくほぐすストレッチから足腰を支える体づくりまで、専門のスタッフがお一人おひとりの体調に合わせてサポートします。
- 体調や腰の状態に合わせた無理のないプログラム
- 転倒予防や体力維持を意識したやさしい運動
- 同世代の仲間と楽しく続けられる雰囲気
- 健康寿命を延ばす習慣づくりをスタッフがサポート

体を動かすことは、腰痛のケアだけでなく、フレイル予防や介護予防、そしてこれからも自立した生活を続けるための大きな支えになります。まずは気軽に、体験から一歩を踏み出してみましょう。
まずは見学や体験から始めてみませんか?
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