高齢者・60代の膝痛|原因と自宅でできる予防ケア・受診目安

この記事を書いた人

まちFit
スタジオ運営責任者
東京・神奈川でシニア向け健康スタジオ「まちFit」を運営。
60〜80代の会員様と日々向き合う中で得た現場知識をもとに、無理なく続けられる健康習慣を発信しています。
「階段の上り下りで膝がズキッとする」「長く歩くと膝が重だるくなる」「正座やしゃがむ動作が怖くなってきた」――こうした膝の痛みは、高齢者・60代以降の方に急増します。実際、60歳以上の約半数が何らかの膝の痛みを抱えているという報告もあります。
高齢者の膝痛は「年齢のせい」とあきらめてしまいがちですが、その多くは変形性膝関節症など対処可能なものです。原因を正しく理解して適切なケアを続けることで、日常生活の不便を大幅に減らすことが期待できます。
この記事では、高齢者・60代の方に多い膝痛の原因から、受診の目安、自宅でできる予防運動、悪化させないNG行動まで、まちFitスタジオで運営する立場から見た現場知見もまじえてわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 高齢者・60代に多い膝痛の主な原因(変形性膝関節症など)
- 放置せず病院へ行くべき症状の目安
- 自宅でできるやさしい予防ストレッチ・運動
- 日常生活で膝に負担をかけないコツ
- 膝痛を悪化させるNG行動と注意点
60代の膝の痛みが起こる主な原因
① 変形性膝関節症(最も多い原因)
膝の軟骨が少しずつすり減り、骨同士が接触しやすくなることで炎症・痛みが生じます。60代以降に最も多い膝の痛みの原因で、特に女性に多い傾向があります。
初期は「動き始めに痛む」「長く歩くと重くなる」という症状から始まり、進行すると安静時にも痛みが出るようになります。
参考データ
変形性膝関節症は、レントゲン上の変化が見られる方が約2,500万人、痛みなどの症状がある方が約800万人と推計されています。40歳以上での有病率は約55%とされ、女性に多い傾向があります(膝の変形性関節症の有病率は男性約42%・女性約61.5%)。(参考:日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」)
② 筋力低下による膝への過剰な負担
太ももの筋肉(大腿四頭筋)は膝関節を守るクッションの役割を担っています。この筋肉が弱まると、歩くたびに膝関節に直接衝撃が加わりやすくなり、痛みが生じやすくなります。
実は膝の痛みがある方の多くは、太もも前側の筋力が低下しています。適切な筋力トレーニングで太ももを鍛えることが、膝の痛みケアの基本です。
③ 体重・姿勢・歩き方の影響
体重が1kg増えると、歩行時に膝への負荷は約3〜4kg増えると言われています。また前かがみの姿勢やO脚・X脚の歩き方は、膝の特定部位に負担を集中させます。

高齢者・60代の膝痛で最も多い「変形性膝関節症」とは
高齢者の膝痛で圧倒的に多いのが、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)と呼ばれる状態です。膝の軟骨がすり減って関節がスムーズに動きにくくなり、歩く・立ち上がる・階段の昇降などで痛みが出てきます。
変形性膝関節症の主な症状チェック
以下の症状に2つ以上当てはまる場合は、変形性膝関節症の可能性があります。
- 朝起きたとき、膝がこわばって動かしにくい
- 立ち上がる瞬間や歩きはじめに膝が痛む
- 階段、特に下りで膝に痛みや不安を感じる
- 正座やしゃがむ動作がつらい・できない
- 膝が腫れたり、熱を持ったりする日がある
- O脚気味になってきた、または以前より進んだ気がする
高齢者の膝痛が女性に多い理由
変形性膝関節症は女性に多く、特に閉経後の60代以降に急増します。これにはいくつかの理由があります。
- 筋力の差:女性は男性に比べて太ももの筋肉量が少なく、膝への衝撃を受け止める力が弱い
- 女性ホルモンの低下:閉経後、軟骨や骨の代謝に関わる女性ホルモン(エストロゲン)が急減する
- 骨格の特徴:女性は骨盤が広いためO脚になりやすく、膝の内側に負担が集中しやすい
- 体重変化:閉経後は基礎代謝が落ち、体重が増えやすくなる。体重1kg増で膝への負担は約3〜4kg増える
これらは「変えられない要因」が多いように見えますが、太もも(特に大腿四頭筋)の筋力をつけ、体重を適正範囲に保つことで膝への負担を確実に減らせます。今日から始める価値があります。

膝の痛みを和らげる日常生活のケア習慣
① 膝を温める(血流促進・炎症緩和)
慢性的な膝の痛みには「温める」ことが基本ケアです。血流が促進されることで炎症物質が流れやすくなり、筋肉のこわばりも緩和されます。
- 入浴時は湯船に10〜15分浸かる(38〜40℃のぬるめのお湯)
- 膝用サポーターを日中も着用する
- 貼るカイロや温熱パッドで膝を温める
ただし急性の炎症(赤く腫れている・熱を持っている状態)のときは冷やす方が適切です。腫れ・熱がある場合は温めずに受診してください。
② 膝への負担を減らす動き方の工夫
日常の動き方を少し変えるだけで、膝への負担を大幅に減らせます。
- 階段は手すりをしっかり使い、一段ずつゆっくり上り下りする
- 椅子からの立ち上がりは両手を膝に置いて体重を分散させる
- 床からの立ち座りはなるべく避け、椅子を活用する
- 長時間同じ姿勢を続けず、30〜60分に1回は立ち上がる
③ 適切な靴の選択
靴底が薄くて硬い靴は地面からの衝撃が膝に直接伝わります。クッション性の高いスニーカーを選ぶことで、歩行時の膝への衝撃を30〜40%軽減できると言われています。
- クッション性の高いスニーカーを選ぶ
- かかとが安定しているものを選ぶ
- サイズは夕方(足がむくんでいるとき)に合わせる

膝の痛みを和らげる椅子でできるやさしい運動
膝が痛いときは「動かさない方がいい」と思いがちですが、実は適切な運動こそが膝の痛みを和らげる最も効果的なケアです。特に太もも前側(大腿四頭筋)を鍛えることが、膝関節の保護につながります。
以下の運動はすべて椅子に座ったまま行えるため、膝への負担を最小限に抑えられます。
運動① 椅子での膝伸ばし(大腿四頭筋強化)
効果:膝を守る太もも前側の筋肉を鍛える・膝関節の可動域維持
- 椅子に深く座り、背筋を伸ばす
- 片足をゆっくり水平まで持ち上げ、3秒キープ
- ゆっくり下ろす。左右各10回×2セット
- 痛みが出ない範囲で行う
運動② 座ったままかかと上げ(ふくらはぎ・膝周り強化)
効果:膝周りの血流促進・むくみ改善・ふくらはぎ強化
- 椅子に座った状態でゆっくりかかとを上げる
- 2秒キープして、ゆっくり下ろす
- 10〜15回×2〜3セット
運動③ 太もも内側締め(膝の安定化)
効果:膝関節の内側を安定させる内転筋の強化
- 椅子に座り、膝の間にクッションや折りたたんだタオルを挟む
- ギュッと5秒間締める。10回×2セット
- テレビを見ながらでもできる
運動④ 足首回し(膝周りの血流促進)
効果:膝周りの血流促進・関節のこわばり解消
- 椅子に座り、片足を少し浮かせて足首をゆっくり大きく回す
- 左右各10回ずつ。1日2〜3セット
- 朝起きたときや長時間座った後に特に効果的

膝の痛みがあるときのNG行動
やってはいけないこと:
- 正座・深いしゃがみ込み(膝への圧力が体重の約8倍になる)
- 痛みを我慢して無理に歩き続ける
- 急に激しい運動を始める
- 冷えた状態で急に膝を動かす(ウォームアップなしの運動)
- 長時間同じ姿勢で座り続ける(血流が悪化し痛みが増す)

病院に行くべき目安
以下の症状がある場合は、セルフケアだけでなく整形外科への相談をおすすめします。
- 膝が赤く腫れて熱を持っている
- 安静にしていても痛みが続く
- 膝がロックされて動かなくなる
- 急に激しい痛みが出た
- 痛みで日常生活(歩行・階段)に支障が出ている
特に「膝が赤く腫れている・熱がある」状態は急性炎症のサインです。この状態では温めず、冷やしながら早めに受診してください。
よくある質問(FAQ)
- 膝が痛いときは運動しない方がいいですか?
-
急性の炎症(腫れ・熱がある状態)の時期は安静が必要ですが、慢性的な膝の痛みには適度な運動が効果的です。特に椅子に座ったままできる太もも強化運動は、膝への負担なく膝関節を守る筋肉を鍛えられます。
- 膝の痛みにサポーターは効果がありますか?
-
はい、効果があります。サポーターは膝関節を安定させ、動作時の痛みを和らげます。ただし長時間の使用で筋肉が弱まることもあるため、運動時・外出時を中心に使用するのがおすすめです。
- 体重を減らすと膝の痛みは改善しますか?
-
大きく改善します。体重が1kg減ると歩行時の膝への負荷は約3〜4kg減少するため、体重管理は膝の痛みケアとして非常に効果的です。急激なダイエットは筋肉量も落ちるためNGで、適度な運動と食事改善を組み合わせることが重要です。
- 何歳からでも膝の痛みは改善できますか?
-
はい、改善は期待できます。70代・80代の方でも、太もも筋力の強化と日常ケアを継続することで痛みが軽減したケースが多くあります。「年だから仕方ない」と諦めずに取り組むことが大切です。
参考にした主なデータ・指針
- 日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」(X線変化 約2,500万人/症状あり 約800万人/40歳以上の有病率 約55%/要介護への移行リスク 約6倍) https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00793/
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」(介護が必要となった主な原因) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/index.html
まとめ|膝の痛みは「動かし方」と「鍛え方」で和らげられる
膝の痛みの原因の多くは、軟骨の変化・筋力低下・姿勢のくせが複合的に絡み合っています。特に太もも前側の筋力低下は見落とされがちですが、最も効果的なケアにつながります。
激しい運動は必要ありません。椅子に座ったままできるやさしい運動を毎日続けること、膝を温めること、日常の動き方を工夫することで、膝への負担は大幅に減らせます。
今日から始める膝のケア習慣:
- 入浴時に湯船で膝を温める
- 椅子での膝伸ばし運動を1日10回
- 階段は手すりを使ってゆっくり上り下りする
- クッション性の高い靴を選ぶ
膝の痛みが気になるなら、まちFitがおすすめ
「膝が痛くて運動できない」「どんな運動なら膝に負担がないか不安」そんな方も多いのではないでしょうか。
まちFitでは、60〜70代の女性を中心に、膝・腰に配慮したやさしいレッスンを提供しています。
- 椅子中心で膝への負担を最小限に抑えたレッスン
- 太もも・お尻を鍛えて膝を守る筋力トレーニング
- 膝の状態に合わせて専門スタッフが個別にサポート
- 同年代の仲間と一緒だから安心して続けられる

「膝が痛くても安心して体を動かしたい」と感じた今こそ、まちFitを活用するタイミングです。
まずは見学や体験から始めてみませんか?
